ニルリティ/高木 瀾(らん) (3)
『おい、羅刹女達は大丈夫かッ⁉』
爆風や炎を上に逃がせたとはいえ、爆音は㎞単位先まで届いたようで、相棒から慌てたような音声通話。
通信リンクが切れてない時点で、ま、少なくとも私が生きてる事は判りそうなものだが……向こうは慣れてないので仕方ないだろう。
「ああ……。だが、もう1台の国防戦機が来ても……迂闊に撃破するな」
『えっ? どう言う事だよ……』
「今、起きた事から奴らが何をやったか推測出来るだろ? やっぱりだ。今回の敵の指揮官の思考パターンは、私に良く似てる。そして、向こうも自分と似た思考パターンの奴が、こっちに居る事に気付いただろう」
『マズいよ。警察署の方にも爆薬を積んだ国防戦機が現われた』
これから起きそうな最悪の事態を説明しようとした所で、後方支援要員から割り込み通話。
「その国防戦機は、とんでもない量の爆薬を積んでる。下手に迎撃すると、半径数百mか……下手したら1㎞以上の範囲が吹き飛ぶぞ」
とりあえず、やったらマズい事を手短に伝える。
だが……。
『あと、何か変だ。国防戦機と、熊本県内から来た警察の応援車両が、同時に到着した』
「映像の転送を頼む」
「なに、その『やっぱり、そうなったか』みたいな感じは?」
ある程度は、他人の思考や体調なんかを読める水神から指摘。
「今回のゾンビは、体が常人より脆いクセに、下手に傷付けると、ゾンビ化の原因になった魔物だか悪霊だかが居る異界への門が開いて、周囲が心霊スポットになる。その心霊スポットに下手に入った一般人もゾンビになり、どんどん、ゾンビが増えてく訳だ」
「うん、そこまでは判ってる」
「対抗手段は3つ。1つ目は、浄化系の魔法を使う。しかし、効率がクソ悪い。2つ目は金翅鳥の能力で浄化する。しかし、副次的に爆発が起きる。3つ目は、霊力を込めた武器。しかし、例えば、霊力を込めた弾丸がゾンビの体を貫通して、どこかに行ってしまえば効力が落ちる。霊力を込めた弾丸や刃物は、ゾンビの体内に留めておく必要が有る」
「そこも聞いてるよ。でも、ゾンビの体が脆くなってるから、霊力を込めた銃弾が貫通しちゃうから、フツ〜の人間より脆い体になってるゾンビを貫通しない弾丸を短期間で用意しようとして苦労……あっ……」
「そうだ。敵も、こっちがそうすると読んでたら、何をする? 一番、簡単な方法は、防弾装備を着けたゾンビを大量生産する」
「機動隊の防具や、レンジャー隊の強化装甲服か……」
今度は、ミカエルが、そう言った。
「だから、重装備の警官が大量に出動しなきゃいけない事態を、わざと起こした」
そして、転送された映像の中では……。
「いよいよバレるな……向こうのサイコ野郎にも……こっちにも奴と同じ思考パターンのサイコ野郎が居るって事が……」
「自分で自分の事、サイコ野郎とか言う、フツ〜?」




