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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (4)

「え、ちょっと待って下さい。あいつらの配属は月曜の筈じゃ……?」

 その時、レンジャー隊の隊長(レッド)が、どこかと無線通信。

 守る筈だった警察署が、もうすぐ消えてなくなろうって時にしては、呑気な内容の会話みたいだが……。

「ウチの新人と大牟田チームの連中が迎撃に向かった」

 無線通信が終った後に、レンジャー隊の隊長(レッド)は、そう説明。

「迎撃って、どこからだ? あと、武器は何だ?」

 副店長が当然の質問。

「対物ライフルと、成形炸薬弾を射出可能な汎用バズーカが大牟田支局に有った」

「ギリギリ、国防戦機の装甲をブチ抜けるな……。狙うなら、バッテリーの有る胸だな」

 国防戦機……富士の噴火前に旧政府が作った4m級のパワーローダーだ。

 有人操作・無線操作・AIによる半自立行動の3つが可能。

 特徴は……たしか……世界ほぼ初の戦闘用パワーローダーの為、そもそも「ベテラン操縦士」が存在しなかったので、AIによる補助で、新人でも想定されてた任務の9割以上は何とかなるらしい。操縦士の体の動きをトレースしてる癖に、AIによる補正で「転びたくても転べない」ようになってるそうだ。

 しかし、何せ一〇年以上前の骨董品で、富士の噴火で旧政府が壊滅して以降、制御AIのアップデートも行なわれてないらしく、例えば、射撃補正機能の「癖」は解析済み。あたしらが使ってるヴィークルを半自動操縦モードにすれば、まず、国防戦機が撃つ弾は当ら……。

 ん?

 何か、変だぞ。

「ちょっと待って下さい。何で、あんな骨董品を持ち出したんですか? ここ1年ぐらいで、何体もオシャカにされてるでしょ、あれ」

「しかも、デビュー戦で国防戦機を2台もオシャカにした当人が、この現場にやって来る可能性が高い事は、奴らも知ってる筈だ……」

 誰かと言えば、あたしの相棒だ。

 その時、ヘルメット内部の網膜投影式ゴーグルに梵字の「Ni」の字が表示される。

 あたしの相棒である護国軍鬼4号鬼こと「羅刹女(ニルリティ)」のアイコンだ。

「どうした?」

『レンジャー隊の阿呆どもと一緒らしいな』

「はあ?」

『阿呆どもと話がしたい。重要な話だ』

「判った。あたしらのバイクのコンソールを経由する」

 副店長がそう言うと、副店長のバイクに有るモニタに……。

 えっ?

 何、これ?

「おい、これ……まさか……」

『私達のドローンが撮影した映像だ。あんた達が狙撃手を送り込もうとした……海辺の大学の建物は……()()()()()

 そこに映ってたのは……海岸に有る……元建物、今は瓦礫の山。

「ああ、そうか……国防戦機の標準装備の機関砲は……対物ライフル並の威力の弾を毎分数百発発射可能だったな……」

『どこのマヌケがどんな指示をしやがった? 大学の建物の横の広場に警察車両だと丸判りな車を着けやがったらしい。()()()()()()()()()()()()()にな』

「あの……えっと……大牟田チームと新人に連絡……」

 隊長(レッド)からの質問に、絶望的な感じで首と手を横に振る副隊長(ブルー)パワー型(イエロー)

「すげ……ウチのチームの新記録更新だ……()()()()()()()()()()()()()

「笑えると思ってんのか、そのギャグ?」

 レンジャー隊の2人の汎用型(グリーン)が、完全に何かが麻痺してるとしか思えねえ漫才を始めやがった。

『もう1つ、絶望的なお報せをいいかな?』

 その時、相棒がロクデモない事を言い出した。

「まだ、何か有んのかよッ⁉」

『龍虎興業が所有してる国防戦機は、もう1台有る』

「こっちが所有してる武装ブルドーザー(キルドーザー)の片方を向かわせる。あと、こいつも向う」

 大牟田チームの戦闘用ロボが、自分を指差しながら、そう告げた。

『いや、海側のは私達が向かう。試してみたい事が有る』

「何だよ、試してみたい事って?」

『ただ、もし、私の手が巧くいったら……ちょっと厄介な事になる』

「だから、何を言ってんだ?」

『私の予想通りだったら……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「へっ?」

『もし、相手も、私が奴と似た思考パターンの敵だと悟ったらどうなると思う?』

「どうなるって、判んねえよ」

『千日手だ。互いの手の読み合いで降着状態(デッドロック)が起きる可能性が高い。「もし私が敵だったら、私が打つ手にどう対応するか?」なんて考え出したら、行き着く先は、それだ。その時に事態を打開出来る奴が居るとすれば……』

「何か、嫌な予感がしてきたぞ」

『そうだ。勘が鋭いな相棒。それが、お前の数少ない長所だ』

「なるほどね……。やっぱ、そうか」

『お前は欠点だらけの阿呆だ。でも、私と違う(ルート)から、私とは違う正解に辿り着ける。だから、お前を相棒に選んだ。私のような奴が、もう1人居ても、私が手詰まりになったら、そいつも手詰まりになるだけだ』

「誉めてんのか、それ?」

『自覚してなかったのか? お前、どう考えても、誉められ過ぎたりして、調子に乗ると駄目になるタイプだろ』

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