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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (5)

 何でだよッ⁉

 ふざけんじゃね〜ッ‼

 折角、温泉付きの病院で療養する羽目になったのに……。

 医者に言われた一言が……最悪なモノだった。

「筋肉もあっちこっちかなり痛めてますね。ちょっと、温めると悪化するタイプの痛め方なので……」

 おい、こちとら、東京生まれで、NEO TOKYO育ちのチャキチャキの江戸っ子だぞッ‼

 風呂ってのは熱いモノだって育ち方してんだぞ。

 クソ。

 なのに、医者の許可が出るまで、入れるのは微温(ぬる)めのお湯。

「あ……昨日は……すまなかったな……」

「あ……いいっすよ、気にしなくて……ははは……」

 一緒の風呂に入ってるのは……何か、ここんとこ、やたらと出喰わす対異能力犯罪広域警察(レコンキスタ)の久留米レンジャー隊の副隊長(ブルー)

 どうやら、瀾の別居中の警察関係者の姉らしい。

 の……割に、何か、口調が「関東弁」っぽい気がするが……まぁ、いいや。

 ともかく、ゾンビ化しなかったのが奇跡クラスの邪気を受けたんで(まぁ、あの強化装甲服(パワードスーツ)には、ある程度の防御魔法がかけられてたが)、勤務先(カイシャ)からここでの療養を命じられたらしい。

「ところで、どっかで会った事ない?」

「えっ? そうっすか?」

「そう言や、何で、ここに入院する事になったの?」

「へっ?」

「ここって、クソ高価(たか)いんだよね?」

 畜生……流石は警官。察しが良過ぎる。

「あ……『魔法』の師匠が受けた心霊スポットの『浄化』の仕事を手伝ったら、ドジこいちゃって……あははは……」

「ああ、なるほど……」

「報酬が全部、あたしの入院費で消えちまった、って散々怒られましたは、はは……」

「大変だなぁ……そっちの仕事も……」

「ええ……」

 マズい。

 とっとと逃げよう。

 風呂から上がると……。

「あれ?『魔法使い』系にしては、いい体してるな……」

「へっ?」

「ムキムキになるような体質じゃないっぽいけど……筋肉はしっかり付いてる」

 こ……こいつ……現場ではヌケてた癖に……。

「あ……修行の一貫で山籠りも有るんで」

 まぁ、これは本当だ。

 って、何で、あんたまで風呂から上がる?

 って、あ〜、畜生、これ以上、ややこしくなったら、うっかりヤバい情報与えそうだから、付いてくんなって……。

 もうやだ、と喉元まで出かけてる状態で更衣室に入ると……。

「ん?」

「あ……てめぇ……」

 そこに居たのは……全ての元凶。

 あたしの父親の家系の本家の天才娘。

 ある意味で、瀾と同じて「天才は天災」と言いたくなるよ〜なクソ野郎。

「お……押えて……」

「でも……でも……でも……ッ」

「またお前か……」

「うるせえ、手前(てめ)ェのせいで何人死んだと思ってるんだッ?」

「私が史上最悪の連続殺人鬼で、お前が、その被害者遺族だとしても、ここでは、先に手を出した方が悪い。昨日は、そいつに庇ってもらって無事で済んだが、ここの職員に2度目は無いと思えと言われた筈だ」

「うるせえ〜ッ‼」

「おい、小学校マトモに出てるのか? 語彙が貧弱にも程が有る」

「押えて……」

「あががが……」

 体調は少しはマトモになったが……何だよ、ここまで精神衛生的に悪い病院も、そうそう無い(ねえ)よ……。

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