ニルリティ/高木 瀾(らん) (2)
「てめえ、何で、昨日、電話に出なかったッ?」
携帯電話の着信履歴を見たら、夜中に陽からビデオ通話が有ったらしいので、かけ直したら怒鳴り声。
「夜中は耳栓して寝てるんだ。妹が午前1時過ぎまでオンラインRPGやってて、うるさいんでな」
しかし……。
「あと、その顔の痣、何だ? 何をやった?」
「喧嘩を止めようとした」
「はあ?」
「噂には聞いてたけど、ここの病院、どうなってる? 警官と犯罪者の両方を仲良く入院させてんのか?」
「大体、事情は推測出来た。その病院は、そう言う所だ。患者の素性は訊かない。あと、警察や大概の犯罪組織・テロ組織も、そことトラブるのは避けるよ〜な場所だ。その病院とトラブるより、軍事基地1つ壊滅させる方が遥かに楽でリスクが小さいそうだ……。戦力もコストも……あとどれだけ頭を使わなきゃいけないかも」
「まぁ、いいや、ちょっと訊きたい事が有る」
「これから学校なんだ。手短に頼む」
「Wi−Fi使えない。何とかしてくれ」
「はあっ?」
「だから、ここの病院、患者向けのWi−Fiが無えんだ。この通話だけで、結構な電話代が……」
「荷物の中にモバイル・ルータを入れといたんだが……」
「へっ?」
「モバイル・ルータと取説が入った透明なプラスチック・バッグが有る筈だ。よく探せ。定額で通信量無制限のヤツだ」
「あ……そ……。あと、そのモバイル・ルーターって、例の衛星回線使えるのか? あの仕事で使ってるヤツ」
「どうした?」
「なんつ〜か……ここの病院で見ちまったんだよ……。理系用語を口にしたら体に悪寒が走るよ〜なあたしでも、一般回線で話したらマズいって事ぐらいは判るよ〜なモノを……」




