ニルリティ/高木 瀾(らん) (3)
「『1、2の3』で持ち上げるぞ」
「了解」
「1、2の3」
「うわっ……何で、ウチの強化装甲服より防御力が下なのに、こんなにクソ重いんだよ?」
「知るか。設計したマヌケに聞いてくれ」
強化装甲服を着装したまま、気を失なってる上に……どうやら邪気とやらに汚染されてるのが4人。
早い話が、対異能力犯罪広域警察の「レンジャー隊」の隊長、副隊長、あと汎用型が2人。
ようやく到着した救急車に運び入れようにも……クソ重い強化装甲服の外し方が判らない。
それで、急遽、ウチのチームの獣化能力者「早太郎」に現場まで来てもらって、力仕事の手伝いをやってもらう事になった。
「こりゃ……羅刹天が『表』の仕事から帰って来たら、レスキュー専門チームの計画を前倒ししてもらった方がいいな……」
「いつだっけ? あの人が帰って来るの」
「2月末か3月初め」
「それまでに、また、今回みたいな事態……うわっ?」
その時、爆音。と、言っても、私の方は一瞬聞こえただけで、すぐに「鎧」の聴覚センサがシャットアウトしてくれたが……。
「耳が良すぎるのも考えモノだな」
狼男形態に変身中の早太郎にそう言ってみたが……。
反応なし。
ハンドサインで「耳は大丈夫か?」と伝えると……返って来たのは「駄目」のハンドサイン。
『市内の一般の「魔法使い」系の人達は、みんな、昨日の現場の「浄化」で手一杯みたい。今、近隣にも声かけてるけど……』
その時、後方支援要員から連絡が入る。
「ある程度の人数が到着するまで、どれ位、かかる?」
『下手したら、博多近辺や他県からも応援を呼ばないといけないかも』
「鳥栖も『他県』に入るのか?」
『知るか。そもそも、鳥栖や小郡の人達なら、とっくに久留米の手伝いをやってる』
今の爆発は、金翅鳥の能力の副作用だ。
応援に来た金翅鳥と水神は、「魔法使い系」と似て非なるいわゆる「神様系」だ。
人数は「魔法使い系」より3桁か……下手したら4桁ぐらい少ない。
1人1人は強力だが、通常の魔法・心霊・超能力とは「互換性」みたいなモノが無く……例えば、自分の能力と関わりが無いタイプの「気」「霊力」は感知出来ないのが普通だ。逆に「魔法使い」系からすると、魔法的な手段で相手が「神様系」かを判別するのは、ほぼ不可能らしい。
例えば、金翅鳥は「邪気」を浄化する力を、ほぼ無制限に放出出来るが、邪気そのものを感知出来ず、魔法使い系による邪気の浄化と違って、浄化に伴なって熱と衝撃波が発生する。
一応、警察署内から持ち出した機動隊用の盾を防護壁代りに使って、浄化も一気にやるのではなく、少しづつやってはいるが……。
「後で、どう説明すんの、これ。あたし達、完全にテロリストだよ……」
水神が指差す先には……何も無かった。
一〇分ほど前まで存在していた警察署は……完全に跡形もなく吹き飛んでいた。




