ニルリティ/高木 瀾(らん) (1)
3人で上まで駆け上がると、そこには……。
警察署の入口で立ち往生している残りのレンジャー隊。
昨日の麻薬ならぬ魔薬の売人を連れ出そうとしているが……肝心の売人氏は意識が朦朧としているようだ。
そして、入口の外には……。
昨日の「鬼」。ただし、昨日失なった片腕は……。
「どこで調達してきたんだ、あの腕は?」
「あんまり、考えたくねえな……あと……あいつらが連れてる奴ら……全員……」
「人間・河童、両方ともゾンビか……」
「『擬似』も含めりゃ……あの女除く全員だ」
失なった筈の片腕は、いつの間にか元に戻っていた。
ただし、その片腕だけ、顔やなんかと比べると、何故か妙に血色がいい。とは言っても、相対的にという意味で、健康な人間と比較すると……まぁ、死にたてほやほやと言った所か。
そして、昨日の女に……何匹もの河童と人間……ただし、全員、目は虚ろで、顔色はイマイチだ。
「その醜いデブを渡せば……大人しく引き下がってやろう。ありがたく思え」
昨日の女は、だるそうな……演技かも知れないが……口調で、そう告げた。
「黙れ、こいつには自白ってもらわなきゃいけねえ事が山程有るんだ‼ 貴様らこそ引き下がれッ‼」
レンジャー隊の副隊長が、そう叫ぶ。
「何か意味の有る事をしゃべれるとは思えんが、私も仕事なんでな。でも、こちらとしても対案を出そう。そいつを殺せば、引き下がって差し上げるぞ」
「フザけんなッ‼ 警察を舐めてんのかッ‼」
次の瞬間、例の女が、昨日も使った「うんすんカルタ」とやらを何枚も取り出し……。
「交渉決裂か……」
次の瞬間……絶叫……そして、レンジャー隊の隊員の驚愕の声。
そして……おかしい……私以外のほぼ全員の様子が。
「魔法か?」
「ほう……噂には聞いていたが……その『護国軍鬼』とやらには本当に魔法系の力は効かないようだな。次に会うまでに対策を考えておこう」
「くそ……あの野郎……お前と同じタイプのサイコ野郎だな……」
「軽口でも叩かないと冷静さを保てない状況なのは理解した……」
おそらく、ヤツが発動した何かの「魔法」のせいで、昨日の麻薬ならぬ魔薬の売人の体の大半は骨を除いて腐汁と化しつつあった。




