アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (1)
「上に、昨日の奴らが現われた……」
レンジャー隊の隊長が、そう言うと同時に、強化装甲服のヘルメットの内側の網膜投影式のモニタに地上に有る四輪バギーのカメラが撮影した映像が映る。
「あ、バカ、そいつらを攻撃すんじゃねえ。とりあえず、逃げろッ‼」
「えっ?」
思わず、その映像を観て絶叫。
「とりあえず、上に向かう。応援は?」
『先にドローンで追加の武器を輸送中。応援は……あ、もう到着するけど……えっと……』
「誰だ、応援はッ?」
めずらしく、相棒の声に焦り。
『警察病院の方も、そっちと同じような状況。擬似ゾンビ化してた機動隊員を生きてると判断して運び込んだらしい』
「冗談だろ」
『人が多数居る分、そっちよりマズい状況。他チームから来た「魔法使い」系の応援も警察病院に回すしかない』
「来れる奴は居ないって事か」
『いや、居るよ。すぐ行けるのは水神と金翅鳥』
「やれやれ……判った。おい、行くぞ」
相棒は、そう言うとサーバー・ルームを出る。
「待てよ、応援って、まさか……」
「よりにもよって、プランB要員が先に到着らしい」
「プランBって何?」
事情を知らないレンジャー隊の隊長が質問。
とは言え、何か、不穏な雰囲気を感じ取ったらしい口調だが……。
「確実にこの事態を完全解決出来ます……。ただし……この警察署は吹き飛ぶ可能性大」
「解決なの、それ?」
後にして思えば……この事件が始まりにして終りだった。
「悪モンをブチ殺せば、とりあえず解決」って呑気な時代の終りで……「『悪モンをブチ殺せば、とりあえず解決』なんてヌルい犯罪をやらかしてくれるのは、悪モンどもの中でもトップ級に間抜けな奴らだけ」ってシビアな時代の始まり……。
冗談じゃねえ……中二病っぽい言い方だが……「時代の変わり目」なんて、それに立ち会う羽目になった奴らからすりゃあ、ただただ、ロクデモねえだけだ。




