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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (5)

「ごばあッ‼」

「ぐがぁッ‼」

 ドアが開いた途端に作業着を着た2体の……。

「体温を測定」

 相棒は冷静に後方支援チームに連絡。

『通常の哺乳類なら死んでる筈の体温……あと、その部屋の気温、かなり低い』

 そう言や死体の一時安置所か……って……。

 グギャッ。

 ゴキャッ。

 飛び出してきた2匹のゾンビは……あっさりと、足が変な方向に曲がって……床に……。

「マズい‼ あ〜、隊長さん、逃げてッ‼」

「えっ?」

 このゾンビどもは……負傷すると、その傷口が剣呑(ヤバ)い「異界」への「門」と化す。

 その癖、体は生きてる人間よりも脆くなってる。

「2体とも倒れた拍子に頭蓋骨を損傷した模様」

 相棒の冷静過ぎる声……ああ、クソ。相棒が実験した通りだ。骨まで脆くなってる。

「畜生がぁッ‼」

 あたしは2体のゾンビに目掛けて思いっ切り「気」を放つ。

「○×△□ッ‼」

「∴∵∩∪ッ‼」

 ゾンビどもは苦しみ続け……続け……続け……。

「終ったのか?」

「あ……ああ……」

 ゾンビの体は、ほぼ、腐汁と化し……残った骨もボロボロ。異界への門も閉じている。だけど……。

「クソ……こいつらと同じ程度の奴らを……あと1〜2体浄化出来りゃあ御の字だな、こりゃ……」

「大丈夫か?」

「何とか、動けるし……まだ、意識が飛ぶ程じゃねえが……疲れた。あと、邪気の発生源は……この部屋の中だ」

「それが、この2人をゾンビに変えたのか? しかし、この作業着……」

「えっと、たしか、県警の鑑識の……」

 そう言ったのはレンジャー隊の隊長(レッド)

「ちくしょう……焦点具を持ち込めてたら……もう少しマシだったんだが……」

「待て、焦点具って『ハリー・ポッター』あたりで言うなら『魔法の杖』だったよな?」

「そうだけど」

 相棒は顔を少し下げて、右手の人差し指を額に当て……何かを考えてるような仕草。

「その『焦点具』とやらが有ると無いとでは……同じ術を使っても威力やら力の消費が違ってくるって事か?」

「そういう事、体感だけど3割強から4割弱ぐらいは違ってくる」

「えっと……ひょっとして、お前、あの馬鹿デカいハンマの事以外の『焦点具』とやらを持ってないのか?」

「そ……」

 相棒の口調は……何かいつもの……異様に理屈っぽい罵詈讒謗を浴びせる1分前みたいな感じになってる。

「その……『ハリー・ポッターで言う魔法の杖』は……あんな馬鹿デカくする必要が……何って言うか魔法上の理由でも有るのか?」

「え……えっと……」

「小さくても言いのか?」

 相棒は、どんどん不穏な口調になっていきながら……部屋の奥に進む。

「……う……うん……」

「何で、屋内での取り回しに難が有る位デカくした?」

「い……いや……その……」

「理由を簡潔に答えろ」

「あ……あのさ……誰でもマッチョぶって、デカい武器をブン回したくなるよ〜なお年頃って有ったじゃん。あたし、その頃に、たまたま、一人前になってさ……」

「マヌケか、お前は? 漫画の『ベルセルク』の読み過ぎだ」

「うるせえよ……」

「私も私が思ってた以上に馬鹿だった。お前が馬鹿じゃないかもと何度も思ってし……」

「だから、うるせ……どうした……」

「あのゾンビは……体に傷が付くと……そこが異界への門になるんだったな……」

「いや……だから、それ、お前も知って……おい、何が有った?」

「昨日の鬼の腕だ……。多分、証拠品として警察署(ここ)に持ち込まれ……そのせいで、警官や職員がゾンビに変った……」

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