ニルリティ/高木 瀾(らん) (3)
「なぁ、えっと警官やってるって言う……」
「仕事中に個人情報は口にするな」
私は地下に向かいながら、相棒に、そう注意する。
「え、でも、そっちもみんな知ってる話……」
「やめて下さい。無線の向こうには他のチームの後方支援要員も居るんです」
今度はレンジャー隊の隊長に警告。
「あ……あの、それ、何?」
レンジャー隊の隊長は、私の「鎧」の腕に出現した刃を指差しながら、そう訊いた。
「何って?……『警告』ですが」
「判った。変な事は言わない」
警察署の地下に有るのは、倉庫。
ただし、事件の証拠品の一時格納場所も兼ねている。
レンジャー隊の副隊長と汎用型は上の階に向かい、私と相棒とレンジャー隊の隊長は地下に向かっている。
「ところで、そっちに『魔法使い』系の人は居ないんですか?」
「少ない上に、県警からロクな情報を渡してもらってない状態で来たんで……」
「やれやれ……あと、私達と行動してたら、流石に言い訳が……」
「大丈夫、監視カメラのデータを保存してるサーバも、この階に有る筈だから、ついでに……」
「おい、お前がいつも言ってる通り『悪ってのは安易な選択を現実的だと勘違いする奴らの事』なら、こいつら殺した方がいいぞ。どう考えても、お前が『悪』と呼んでる連中だろ」
相棒から当然の指摘。
「ぶっそうな事言わないで……」
「ところで、邪気の発生源は判ったか?」
「この壁の向こうあたりだな……」
相棒が作った「強い気の流れを追う呪符」は壁に貼り付いていた。
「この壁の向こうに有る部屋は何ですか? あと、その部屋の入口は?」
「えっと、この壁の向こうには何もないよ」
「創作怪談だったら小説投稿サイトでやって下さい」
「あ……遺体の一時安置室」
「やな予感しかしねえな」
相棒は天を仰いで、そうボヤく。
「本当に何も無かった方が、まだ、怪談としては恐くなかったな……」




