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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (3)

「こいつは、強い気の流れのを検知すると、その源の方に行こうとする呪符だ」

「おい、なら、これは……? お前の言う『強い気』の源は、この付近に……」

 何枚もの呪符の内、あるモノは天井の方に……あるモノは床の方に……そして、残りは、この警察署の入口の方に向って行く。

「少なくとも、この警察署内に、強い気を出してるモノは3つ。1つは、さっき、お前が作った死体の山。1つは上の階。1つは地下」

「なるほどな……」

「どうする? 手分けして調べるか?」

「別行動したら、2人1組(ツーマンセル)の意味が無い。どちらか片方で予想外の事が起きたら、巧く対処出来る可能性が激減する」

「じゃ、上と下、どっちに行く?」

「そうだな……じゃんけんで決めるか?」

「だから、いつものクソ理屈っぽいお前は、どこ行った?」

「この状況は、お前の方が、専門家だからお前のやり方に合わせただけだ。私が勝ったら上の階。お前が勝ったら下の階。『最初はグー』は無しだ」

「お前、あたしの事を何か誤解してないか? はい、じゃんけんぽん」

「じゃあ、下行くぞ。階段を探すか」

「警察署内の地図とか無いのか?」

「流石に、そこまでは入手してない。地元のヤクザの『安徳ホールディングス』の『関連会社』の連中なら知ってる可能性が有るんで、今度、奴らの拠点を襲撃した時にでもデータを手に入れる」

「おい、待て、何で、ヤクザが警察の情報を持ってんだ?」

「安徳グループに福岡・佐賀・熊本の各県警と検察、あと各広域警察の支局のエラいさんの個人情報を握られたんだ。子供の通学路とか、親を入れてる老人ホームとかな。今や県警の麻取に組対(マル暴)、あと広域麻取と広域組対(マル暴)の支局も地元のヤー公の手先だ。無事なのは、ウチのカイシャぐらいだ」

 その声のする方を見ると……。

「本当に無事だと言い切れるのか?」

「あれ? 昨日の対異能力犯罪広域警察(レコンキスタ)? ところで、副隊長(ブルー)さん、腕は?」

「まだ、新しいのが届いてない。あと、屋内で使えるか、あんなパワーは有っけど小回りが効かねえ代物(モノ)

 そこに居たのは、対異能力犯罪広域警察(レコンキスタ)のレンジャー隊の隊長(レッド)副隊長(ブルー)、あと汎用型(グリーン)が2人。

 昨日はパワー型(イエロー)とのハイブリッドだった副隊長(ブルー)は背中の大型金属腕が無くて、単なる副隊長(ブルー)型のまま。

「何で来た? と訊く意味は無いか……」

「ああ、県警本部でも、ここの異変に気付いて、ウチに応援要請が来た」

「異変は、いつ起きて、いつ応援要請が来たんだ?」

「異変が起きたのは、昨日の夕方。今朝になって、ようやくウチに応援要請」

「嫌な予感がする……。あんた達の前にも、ここに突入した県警の警官が居た可能性は?」

「少なくとも聞いてないが……警察も、お役所仕事だからな。同業とは言え()()()()()()()()()()警察機構(カイシャ)に渡す情報は最小限だ」

「おい、あたしらと警察がズブズブでいいのかよ?」

 昨日に続いて、妙に仲がいい相棒とレンジャー隊にツッコミを入れる。

「利用出来るモノは、警察でもヤクザでも利用する。お前だって、昨日、ヤー公と共闘しただろ」

「おい、警察(おれたち)はヤー公の同類かよ?」

「違うのか? あと、ところで、その強化服、魔法・心霊系の力への防御はされてんのか?」

 相棒が当然の疑問。

「まぁ、そこそこ程度はな」

「そこそこなのか?」

 あたしの解説にレンジャー隊の隊長(レッド)が反応。

「当面は大丈夫だけど、後で、精密検査受けた方がいい。魔法・心霊系のヤツな」

「まぁ、いいや。後で上に申請しよう。で、何がどうなってる?」

 副隊長(ブルー)が、そう訊いてくる。

「邪気の発生源は上の階と地下」

 相棒が、そう解説。

「上は……オフィスと取調べ室、下は……」

「何だ?」

「倉庫ぐらい……待てよ……」

 そう言いながら、レンジャー隊の隊長(レッド)は考え込み出した。

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