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荒神録 ─ Demonic Divinity Saga ─:毒戰寒流  作者: HasumiChouji
第三章:ピースブレイカー
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ニルリティ/高木 瀾(らん) (1)

 昼頃に始まった事件なのに、拠点に戻れたのは日が暮れた後だった。

「まず……このカードだけど……」

 後方支援チームで、一番のベテランの権藤さんが説明を始める。

 大型モニタに写ってるのは……今回の「敵」が使っていたカード。

「うんすんカルタって知ってる?」

「へっ?」

「元々は、戦国時代にポルトガルから伝わったトランプが日本で変化したもの。スートが5種類になってたりとか、今のトランプとは色々と違いが有るけど……」

 権藤さんが、そう言ったと同時に、画面に検索サイトの画像検索の結果が表示され……その中に「九州国立博物館」って文字が……。

「なるほど……あそこに行った時に見たのか……」

「じゃあ、スペードのAだとコレみたいな感じで……数字と……えっとスートだっけ……の組合せで、どう言う呪符かを区別……待てよ……何通りだっけ?」

 (ひなた)が、そう発言する。

「えっと……たしか一五×五だから……」

「覚えらんねえよ……」

「何かの規則が有るんだろうけど……その『うんすんカルタ』って言うのを呪符として使う事ってめずらしいのか?」

「聞いた事ねえ」

 一応の専門家の(ひなた)が即答。

「私もだ」

 (ひなた)と一緒にウチのチームに加わった同じ「魔法使い」系の千明も同じ意見。

「昔は……たしか江戸時代のどこかまでらしいけど……広くカードゲームとして遊ばれてたらしいけど、今は、熊本の人吉にしか伝わってない」

「じゃあ……その辺りに居る呪符職人みたいな奴が作ったモノなのか?」

「多分ね」

「あと、関口さんが持ち帰った違法薬物の正体が……9割方判ったかも……」

 続いて、分光分析機を操作していた「猿神(ハヌマン)」の中身で、私の兄貴分である金子裕天(のりたか)が、そう言った。

「もう?」

「ああ……ちょっと、これ、表示してもらっていいですか?」

「わかった」

 だが、大型モニタに表示されたのは……分光分析機から出たてホヤホヤのグラフだった。

「待てよ、普通は……ここから、色々とデータを処理して……」

「そうなんだけど、実は、過去に別チームが、ほぼ同じ成分のモノを回収していた」

「どこで? 誰から?」

「安徳グループが、熊本県内と北九州市内に築いた橋頭堡から」

「へっ?」

「九州三大暴力団の内……安徳グループが販売してる違法薬物。ただし、他の2つの縄張り内でのみ」

「いや……でも、久留米(ここ)は安徳の御膝下だろ……それに……」

「九州三大暴力団の残り2つ……龍虎興業と青龍敬神会のどっちか……多分、熊本の方が、製法を入手して、仕返しに安徳の御膝下で販売し始めた……んじゃないかな」

「それで、成分表は?」

「判ってる限りでは……ほぼ一〇〇%、植物由来。どうも、元々は、岡山かどこかの民間信仰系の呪術流派が作ってた薬らしい……」

 そう言って、画面に、問題の違法薬物の材料らしい植物の一覧が表示され……。

 チョウセンアサガオ……ハシリドコロ……それに……。

「マズいぞ、これ」

「ああ、私が名前知ってる奴だと、ほぼ、麻薬や幻覚剤の効果が……」

(ちげ)ぇよ。あたしが……マズいと思ったのは別の意味だ」

 そう言った(ひなた)の目は厳しかった。

「喩えるなら……ドーピングだな、これ……」

 同じく千明も……「マズいものを見てしまった」という表情。

「ドーピング? 何のだ?」

「魔法……呪術……心霊……超能力……霊能力……何と呼んでもいいけど……あたしらが使えるような力のだ……」

「お……おい……」

「このクスリをキめて……何か幻覚が見えたとするだろ……。でも、その場合、その幻覚が実は……マジモンの霊とか魔物だったとしたら?」

 クソ……前にも似た事が有ったし……私自身は見えないが……その手の話は何度も聞いてきた。

「そっか……その手のモノは……見える奴に寄って来る性質が有るんだったな……」

「ああ、それも『観』る能力を巧く制御出来ない奴にな……」

「話を整理させてもらっていいか? つまり……この違法薬物(クスリ)をキめた奴は……心霊現象に巻き込まれるのか?」

「概ね、その通りだ。特に……本人は気付いてないけど『魔法使い』系とかの才能が有ったり、『魔法使い』系の修行をやった事が有るけど途中でモノにならずに、脱落した奴とかな……」

「おい、お前……あの鬼と女の正体を知ってるようだったけど……心当り有るのか?」

 (ひなた)の説明に千明が口を挟む。

「鬼の方は……顔が変ってんで確実じゃないが……落ちた腕に彫られてたタトゥーは見た事が有る。女の方は……2〜3回しか会った事がねえけど……あの『気』は……そうそうド忘れしねえよ」

「特殊な術者なのか?」

「あたしら、密教系の術者は、自分の『守護尊』に対応した術が……いわば『得意技』だけど……あいつは、得意技の引き出しが無茶苦茶多い。『明王』系の術のほどんどが得意技だ。……まぁ、一種の天才だな」

「誰なんだ?」

「何で九州に居るか知らねえけど……栃木の山伏の家系のヤツ。ただ……旧弊つ〜の? 後継(あとと)りは男しか駄目って、風習が有ってさ……。ところが……2人居た子供の内、男の方はモノにならず……女の方が、とんだ天才だったんだよ」

「どうして、そこまで詳しいんだ?」

「本家だ……あたしの父親の家系の」

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