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アータヴァカ/関口 陽(ひなた) (1)
「あれ? ここは?」
救急車か、ここは?
意識を取り戻して、まず思ったのが、それだった。
『医療チームの車です。現場に居たメンバーの大半が意識を失なうか、戦闘継続困難になったので回収しました』
後方支援チームから無線通信。
「あたし、どれ位、気絶してた?」
「一〇分少々ですね」
医療チームのスタッフが答える。
「結局、逃げられたの?」
『ええ……「早太郎」と……安徳グループの狼男だけが意識を失なわずに済みましたが……でも、あの「鬼」と女性が逃げる隙は出来てしまいました』
「あいつら……化物だな……」
『ところで……あ……「ニルリティ」の方がトラブってるんで……』
音声通話だけで状況を推測するしかないが……何か、すげ〜事が起きてる……ら……し……。
『おい、何て真似してくれた? あの馬鹿が怒り狂うぞ』
『あのな。こうしないと、お前、自分の体で衝突の衝撃を減らすつもりだったろッ‼』
「おい、『あの馬鹿』って、あたしの事か? 何が起きた?」
『大した事じゃない。ちょっと帰りが遅れるだけだ』
「待て、あたしのバイク、どうなった?」
『壊した』
「ふざけんな、ボケッ‼」
「元気な病人ですね……」
医療チームのスタッフは……呆れたように、そう言った。




