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【本編完結】私の居場所はあなたのそばでした 〜悩める転生令嬢は、一途な婚約者にもう一度恋をする〜  作者: はづも@『婚約13年目』コミカライズ連載中!
最終章 夫婦と、家族

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3 ちっちゃなレディと子供な紳士

 ラティウス邸の次は、ナターシャさんが嫁いだ家へ。

 せっかくだから姉弟揃って会うことになったとかで、ジークベルトの1番上の姉・ミリーナさんも来ているそうだ。


「お兄ちゃん、お姉ちゃん!」


 お屋敷に通されると、幼い女の子が駆けてくる。ジークベルトの足にぽすんと抱きついて、花がほころぶような笑顔を向けてくれた。


「久しぶりだね、エーリカ」

「はい!」


 エーリカちゃんは、ナターシャさんの娘。今年で5歳になる。

 私たち夫婦をお兄ちゃんお姉ちゃんと呼んで、慕ってくれる。

 おじさんおばさんと呼ばれたらちょっと悲しくなるだろうから、お姉ちゃん呼びはありがたい。

 シュナイフォード家の血が流れているだけあって、とても可愛らしい女の子だ。

 2つにくくられた茶色い髪がふわふわと揺れ、愛らしさを倍増させている。


「お兄ちゃん、あの……」


 幼いその子はジークベルトの足から離れ、もじもじし始めた。

 言いたいことがあるけど、恥ずかしくて言えない。そんな雰囲気だ。

 ジークベルトもそれを察し、しゃがんで姪に視線を合わせ、小さな手を取った。


「レディ、エスコートさせていただいても?」

「きょかします!」


 ぱあっと表情を明るくし、エーリカちゃんは両手を上にあげる。小さなレディは、抱っこをご所望のようだ。



***



「あらあらエーリカちゃん」

「レディだから、エスコートしてもらってるんです」


 案内された部屋では、ナターシャさんとミリーナさんが談笑していた。

 ナターシャさんは、娘が抱っこされて登場したことに少し驚いてるみたいだ。

 ジークベルトがエスコートなんて言い方をしたものだから、エーリカちゃんは得意げにしている。

 甥っ子姪っ子が何人もいるだけあって、私の夫は子供の扱いが上手い。


「エーリカは、本当にジークベルトのことが好きだね。……まあ、リーンも似たようなものだけど」


 そう話すのはミリーナさん。リーンくんは、エーリカちゃんのお兄さん。7歳だったはずだ。

 おっとりした雰囲気のナターシャさん・エーリカちゃんと違い、リーンくんは活発なタイプ。やんちゃな男の子らしさが可愛かったりする。

 名前はあがったものの、本人の姿は見えない。


「あの、リーンくんは……」

「リーンならあちらにいますよ」


 ナターシャさんが部屋のすみっこを指し示す。そこには、壁に向かって縮こまるリーンくんの姿があった。

 ナターシャさんの許可を得て、リーンくんに近づいてみる。


「リーンくん、そんなところでどうしたの?」

「……ん」


 体勢は変えず、リーンくんが、ずい、と手を出してきた。


「花……?」


 小さなその手は、一輪の花を握っていた。小ぶりな黄色い花びらがついた、可愛らしいものだ。


「……アイナさんに、あげます」

「……!」


 リーンくんが、私に……? 7歳の男の子から、花をプレゼントされてしまった。

 目を合わせず、ちょっとぶっきらぼうに渡してくるところが可愛い。とても可愛い。


「ありがとう、リーンくん」


 喜んで花を受け取り、頭を撫でる。

 男の子だし嫌かなと触れてから気が付いたけど、リーンくんはなにも言わずに受け入れてくれた。

 ……この花は、押し花にして保存したい。




 ミリーナさんのお子さん二人も来ていたため、以降は大人と子供に分かれて過ごした。

 けど、リーンくんだけはジークベルトから離れず、トランプやチェスで遊んでいる。二人は仲良しなのだ。

 ときおり、リーンくんが「また負けた!」と大きな声を出したりもしていて、なかなかの盛り上がりだ。

 こういうとき、私がリーンくんに誘われることはない。やっぱり、叔父さんとその妻だと、過ごしやすさや距離感が違うんだろう。


「ジークとリーンくんは、本当に仲がいいんだね」

「まあ、うん。はは……」

「絶対勝つ……。見ててください、アイナさん」

「うん。頑張って」

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