表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】私の居場所はあなたのそばでした 〜悩める転生令嬢は、一途な婚約者にもう一度恋をする〜  作者: はづも
気まぐれ番外編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/118

バレンタイン2023 前半 叩き込まれた日本式 どう見ても作りすぎた嫁

「チョコが……食べたい……!」


 就寝も近くなった頃。

 ジークベルトとともにベッドに乗りあげた私は、ぴーんとなにかを受信して、こう口にした。

 あまりにも突然のチョコ発言に、ジークベルトには、ちょっと驚いた様子で「ん?」と言われてしまった。


「どうしたんだい、急に」

「無性にチョコが食べたいの……!」


 寒さの中にも、春の足音を感じ始めるこの季節。

 日本人として生きた記憶もある私は、突然のチョコ欲に襲われた。

 日本式バレンタインの記憶に、引っ張られているのである。

 当時は普通の高校生だったから、友達と簡単な手作りチョコを交換していたぐらいで、高級品にはほとんど縁がなかったし、好きに買えるわけでもなかった。

 それでも、この季節はチョコだと、叩き込まれてしまっているのだ。

 

 この国にも、バレンタインに類似するイベントはある。

 男性から女性に贈り物をする機会であり、選ぶプレゼントはお菓子やアクセサリー、小物など、それぞれの自由だ。

 なので、チョコイベント! という雰囲気ではない。

 しかし今の私はチョコが食べたい。とてつもなくチョコが食べたい。

 チョコのお菓子を作りたいし、日本式バレンタインにならって、夫に手作りチョコレートだって渡したい。

 大好きな旦那様に渡す、手作りチョコレート。いい響きだ。

 ここが日本じゃないことは承知で、是非やりたい。


 就寝モードだった頭を回転させ、明日の予定を思い出す。

 明日は……お菓子作りに使えそうな時間が、ある!

 材料もレシピも、多分ある!

 私の中で、明日の空き時間にチョコのお菓子を作り、ジークベルトに渡すことが決定した。


「ジーク! 明日をお楽しみに!」

「うん?」

「じゃあ、そろそろ寝よっか」

「あ、うん……。よくわからないけど、楽しみにしておくよ」


 ジークベルトにはなんの説明もしなかったけれど、彼も私のこういった面にはもう慣れっこなようで。

 何の話かと追及されることはなく、二人並んですやすやと眠った。



***



 そして翌日。


「やりすぎた……」


 夫に手作りのお菓子を渡したい。

 使用人にそう話し、厨房の一画を使わせてもらった私は、久々だからと張り切って、どう見ても二人では食べきれない量のお菓子を作ってしまった。

 これでも王族の妻だから、普段はあまり自分で料理をしないよう、気を付けているのである。

 そうやって抑えていた部分もあったからか、調子にのって作りすぎてしまった。

 チョコチップクッキー、ガトーショコラ、フォンダンショコラ、チョコプリン。

 計4種のスイーツが、私の前に鎮座している。

 しかも、それぞれそれなりの個数や大きさがある。


「どうしよう……。流石にこの量は、私とジークだけじゃ無理な気が……」


 私は作るのも食べるのも大好きだし、ジークベルトも好き嫌いなくよく食べるほうだ。

 それでも食べきれる気がしない。手作りなため、できるだけ早めに食べる必要があるからなおさらだ。

 スイーツの前でうーんとうなり、近場の親族や友人に分けることも考え始めた頃。


「アイナ、ただいま!」


 私が夫に渡すお菓子を作っている、と使用人から聞いたのだろう。

 満面の笑みのジークベルトが、厨房に現れた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ