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肩までかかる黒髪に、ところどころまばらに茶色がかったロングヘア。それにあわせて、まゆにも薄く茶色のライナーをいれている。唇には白いグロスが塗られていて、照明に照らされてまばゆく光っている。
白地にネイビー色のラインを貴重とした縞模様のシルエットのワンピースはこれでもかというくらい香奈恵にマッチしていた。
いつもと変わらない香奈恵のよそゆき姿がそこにはあった。
そのことがかえって翔の悲しみを一層ふくらませた。
笑ってたかと思われた香奈恵は突然神妙なおももちになり、そしてしゃべりだした。
翔はかたずをのみこんだ。
「翔。私はある男に脅迫されていました。そのことで精神的においつめられたの。今から話すことはしんじつです。私がなぜ自殺したのかあなたに知ってほしくてこのビデオレターを送ります。あっ、安心してね。両親には別途、別の手紙をおくってあるから。翔が、これからはなすこととか内容とか伝えなくていいから。ってか、知られたくないの、両親に・・・・・・」
彼女の顔が悲しみにかわり言葉がつまる。その後、目もとに光るものがあるのを翔はみのがさなかった。
それは彼女のながす涙だった。