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確かにシャーロット様からは大人の色気を感じます。
シャーロット様とレンティル様の言う通り、シャーロット様に比べると、わたくしは子供っぽいのかもしれません。
恐らく、レンティル様はシャーロット様にわたくしとの関係を色々と話していたのでしょう。
レンティル様の制止を聞くことなく、シャーロット様は衝撃的な事実を次々と口にします。
わたくしはシャーロット様の言葉を黙って聞いていました。
これは思っていたよりも、ずっと複雑な展開になりそうです。
「今更何を言っているの……?この子に私達の関係を知らしめる良い機会でしょう!?」
「……っ」
「それに、私と結婚するって言っていたじゃない!それは嘘だったって言うの!?」
「だからっ、違う!それは…」
「この子とはすぐに"婚約破棄"するから待っててくれって言ったでしょう……!?」
「……っ、シャーロット!それは今、言わない約束だろう!?」
「婚約破棄……?」
わたくしがシャーロット様の言ったことを復唱すると、レンティル様は更に顔を青くさせました。
今の今迄、わたくしはレンティル様と結婚式の準備を進めていました。
婚約破棄の話などレンティル様の口から今まで一度も出てきていません。
全くの初耳です。
一体、どういうことでしょうか。
シャーロット様とレンティル様のやっていることと、言っていることが噛み合いません。
「違う、リディア、あのっ、聞いてくれ……!」
レンティル様は慌てた様子で首を振ります。
シャーロット様は我慢出来なくなったのか、わたくしに掴みかかろうとしています。
「貴女さえいなければ……ッ!」
「あの」
「っ、私がレンティルと幸せになれたのに!!」
どうやらシャーロット様は、わたくしの存在が相当気に入らないようです。
レンティル様は、今にも殴りかかりそうなシャーロット様を落ち着かせようと、必死で押さえています。
ここでシャーロット様に殴られるのも、話が早くていいですが、それではレンティル様への罰にはなりません。
わたくしは此処に留まり最後まで話そうと決めました。
「……貴女がッ、レンティルのことを離してくれないと、私が結婚出来ないじゃない!!」
「シャーロット、頼む…!落ち着いてくれっ」
「落ち着いていられないわッ!私はもう二十二よッ!?」
「分かっている、分かっているから……!」
「分かってないッ!どれだけ私は貴方との結婚を待ったと思っているの!?もう限界なのよッ」
二十二歳になるシャーロット様。
貴族の令嬢としては、ギリギリのところでしょうか。
シャーロット様はとても焦っているようにも見えます。
それにしても、話を聞く限りではレンティル様はシャーロット様と結婚の約束をしていたようです。
けれどわたくしと婚約した際も、シャーロット様の話は出て来ておりません。
愛人を作る話も聞いておりません。
レンティル様がもしそのようなことを言いましたら、婚約には至っていませんし、シャーロット様の存在がバレれば間違いなくお父様は、レンティル様と結婚させることはないでしょう。




