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魂サポート  作者: KiCa
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プロローグ

はじめましてKiCaです。

今作は面白そう!と思った事を自分なりに書いてみました。


楽しんで読んでいただけたらと思います。


『この感じ、、まさか!』


何かを感じとった女は手で輪っかを作り急いで地上を見下ろした。


『あの方の、、気配がする!』


ここは雲に隠れた秘密の場所。そこは女が安全に暮らすためにあの方が用意してくれた特別な空間で、あの方が亡くなった後も女はそこでのびのびと暮らしていた。


久々に感じたあの方の気配は小さくもハッキリと女の感覚を刺激し、女は興奮を隠すことなく、落ちないギリギリまで身を乗り出して地上を見渡した。


(『何してるの、危ないよー。』)


、、、、


あ!あそこだ。


あの病院から気配がする!どんな子かな。


さらに目を凝らして、中の様子を伺ってみる。


『おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ』


少しあの方に似て優しくも強い雰囲気を放つ女性に抱かれた赤ちゃんは元気な男の子。その産声は姿しか見えていない女のいる所まで、耳をすませば聞こえてきそうなくらい、本当にそれくらい元気な姿で、女は安心のため息をついた。


『あの様子ならあの方に負けないくらいの素晴らしい人間になって、最高の人生を送るんだろうな。』


知れずのうちに涙が頬を伝ってゆく。女のあの方に対する恩義はそれほどまでに大きかった。


『会いたいけど、私はいるはずのない存在。あの子に会うわけには行かないわ。』


そうして湧き出る気持ちを押し殺し、女はいつものプライベートな空間へと戻って行ったのだった。



ーーーーーーーー


それから時は流れ、西暦2020年4月10日。


『見たい。。。』


『見たい見たい見たい。。。』


『見たい知りたい見たい知りたい見たい知りたい。。。』


やることがない訳では無い。あのお方が用意してくれたこの空間に不満などある訳が無い。


ただ、、、


女はあれから約20年の間、あの方、いやあの子のその後が気になって仕方がなかった。


あの子に関わらないために、この空間以外との接続を全て閉じた女はそれでも、自分の甘さゆえに1度だけ地上と交信ができる抜け穴を設定してしまっていた。


こんな抜け穴を設定してなければ、諦めもついていたかもしれない。でもあるんだから仕方ないよね!


完璧に開き直って久しぶりに手で輪っかを作り地上を覗き込んだ女は、その後抜け穴を作成した行為を約20年越しに後悔することになる。


『えーと、あれ?』


19年も経てば、洗練されたあの方の魂はより強い気配を発しているはず。一瞬で見つからないはずがない。どこだ、どこだと探していると、あの時赤子を抱き抱えていた女性がある民家から飛び出しているのが見えた。


民家はほかと変わらぬ普通の大きさで、飛び出した母親の様子からどうやら苦労しているようだ。


、、、苦労?あの方の生まれ変わりを息子に持ったのに?


恐る恐る家の中を覗き込むと、2階の暗い1室でテレビゲームをしている冴えない男がそこにはいた。


『あれ?、、あれ?』


目を擦って再び覗き込むと、あの方の気配は間違いなく彼から漂っている。


『う、そでしょ。。。』


女は何より、あの方の生まれ変わりである彼より先に彼の母親を見つけてしまったことに驚きが隠せなかった。その男は覇気が無さすぎる。


落胆を通り越したその感情は長い間生きた中で経験したことがないもので、思考がしばらく停止した。


あの子の状況、母親の様子から大体を察した女は外との1度きりの接触が終わる前に、そしてそれら含め考える前に地上に向かって飛び出していた。


『やばっ。勢いでとび出ちゃった。どうしよう。見た目は、、、あっ、あれいいかも。あとは〜〜、まずは人のいないところに落ちなきゃ、後は着いてから考えよ!』



そうして女は明確な目的のないまま、安寧の地を後にした。

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