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初めての依頼


ここが「獅子のたてがみ」かぁ。

随分と賑わっているな、「狼の牙」や「女神の光」どころじゃないぞ。


くぅ、さっきの二軒のギルドのせいで心が折れそうだ・・・。

いや違う、悪いのは弱い自分だ・・・と言いたいがそこまでポジティブじゃないぞ俺。



これだけの人数、中に入ってしまえば俺一人なんてゴマ団子のゴマ一粒にすぎん!

誰も俺なんかに注目するはずがない。


「よし!」


一歩踏み出し中へと入っていった。

心なしか皆煌びやかに見えるなぁ、いやいやいやそんな事はどうでもいい!

まずはギルド登録受付カウンターだ。


あ、あった、あそこだな。

俺はなるべく周りを見ないよう少し伏し目がちにカウンターへ急いだ。


「いらっしゃいませ、本日はギルドご登録ご希望ですか? 」

「はい」


「それでは」

「ランクはありません! 魔物も倒した事ありません! 登録料金もありません! 」


「・・・・は、はあ。 あのうギルドご登録ご希望でよろしかったですか? 」

「はい」


「わかりました」

「え、いいんですか? 」


「はい、大丈夫です。それでは貴方様の装備品を一度チェックさせていただきます」

「?? それはなんででしょうか? 」


「装備品っていうのは最後の切り札みたいな物ですのでこちらでは重視していまして、いくらランクやレベルが高くても

装備している「物」で同じランク、レベルの人と大きく差がでてしまいます! 」


「た、たしかに」


「逆にランクやレベルが劣っていても装備品でそれらをカバー出来るんです! 」


「・・・・そうですね」


「それではあちらの個室にて装備品を脱いでお待ちください」


「は、はあ」





5分後





「おまたせいたしました」

「はい、それで結果は? 」


「お・・」

「お? 」

(おめでとうございます? ・・・)


「恐れ入りますが残念ながら未経験様の装備で合計620万ルア以下の装備品でしたので「獅子のたてがみ」での

ご登録は出来ません」


「・・・・・そう、ですか・・」


すごすごとギルド「獅子のたてがみ」を後にした。



「なんなんだよ「獅子のたてがみぃ」さん・・・」


「良い装備品にはなあ金が掛るんだよお金がぁ・・

あんのギルド連中どうりでいい装備してやがったと思ったわ」



はぁ・・気持ちを切り替えなくては、やっぱり最初の「銀の盾」でギルド登録しよう!



そしてギルド「銀の盾」についたが、他の三軒が三軒だったからか余計に寂れて見えてしまう。

本日二度目の「銀の盾」・・・


「こんにちはー」

「いらっしゃいませ! ご依頼でしょうか!? ご登録でしょうか!? ってさっきの人ですよね?」


「はい、実はここのギルドに登録したくて」

「え!? 本当ですか!? 」


「他の三つのギルドも見て来たんですがやっぱりここかな? なんて」

「え!? 本当ですか!? 」


「ええ、本当です。何ていうか他のギルドは人に優しくないって言うか気が進みませんでした」

「え!? 本当ですか!? 」


(お前はRPGのNPCか・・・)


「ここの登録条件て何かあるのかな? 」

「特にはありまあせんよ、強いて言うならやる気のある元気な方でしょうか」

(NPCは撤回、いい娘だ)


「俺、魔物とか倒したことないんだ、それでも大丈夫ですか? 」

「もちろんです! 最初は皆そんなものですよ! 」


「それじゃ登録お願いします」

「クガミツキさんですね・・・・はい! 出来ました、このプレートを首から下げていて下さいクガミさん」


「あ、いや、あのうクガ・ミツキなんですけど」

「あら! すみません! 作り直します・・・・」


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「はい! 今度こそ大丈夫です! それではこのプレートを首から下げていて下さい。

それとクガさん登録記念とお詫びとしてこの収納袋をどうぞ」


「ありがとう、えーっと」


「「名前」」


「ですか!? ルウです! ルウって呼んで下さい!」

「じゃ、じゃあルウちゃん俺はちょっと表に出て来るよ」


「はい! いってらっしゃい! 」

「俺の事もミツキでいいからねぇー!」


(銀の盾、やけに簡単にギルド入り出来たもんだ、勘ぐるのはよくないが他のギルドは明らかに違う)



いちおう、これで冒険者ギルド登録も済ませたし、またトゥラさんとこに行って報告してこようかな。

しかし魔物とか倒さなきゃレベル上がらないのにギルド依頼が畑の耕しと草むしり

だもんなぁ。


「あ、教会に着いた。 ホント近いよなぁ「銀の盾」と教会、

それにこの教会の前の広場って無駄に広いんだよな」


まあ、不便じゃなくていいけどね。

そして教会のドアを開けるとトゥラさんが片隅に立っていた。


「あのう、トゥラさん俺冒険者ギルドに登録したんだけど仕事の依頼が畑の耕しと草むしりしかなくて」

「すうぅ・・はあぁ・・ミツキ、そんな事を言いにわざわざ来たのですか? 」


「ええ、一応逐一報告した方がいいかなと思いまして、それに仕事の依頼についても相談しようかと

思いまして、実は依頼内容が畑を耕す事と草むしりなんで魔物と戦えなくてえ」


「はい、わかりました。仕事は仕事としてちゃんとやる事、

それが終わってからでもいいので北の森にでも行って魔物なり魔獣なりを倒してきて下さい」


「ええぇ、かってに魔物とか倒しちゃっていいんですか!? 依頼も来てないのに?」

「ミツキ・・・ちゃんとギルドで規約を聞いてきたんですか? 

依頼が無くても魔物を倒せば報奨金が出ますよ? それが依頼であれば報酬でしょうが」


「分かりました! 確認して実行します! 」

「私だけでなく他の人とも相談出来るようになりなさい! 」


俺はまた「銀の盾」に来ていた。

そしてギルドの大まかなルールの説明をルウさんから聞いて椅子に座って依頼掲示板をぼーっと眺めていた。


「あのぉ、ミツキさん、今依頼が二件ありまして・・」

「ええ、分かってます。引き受けましょう」


「ルウさん質問宜しいでしょうか?」

「はい、その前にルウって呼び捨てでかまいませんよ。」


「そうですか、でも一応「さん」付で呼びます。なんか落ち着かないので」

「あ、はい、それでは・・・ミツキさん質問とはどんな事でしょう?」


「あのですね、ここ最近魔物が出やすい場所ってありますか? 」


「魔物が出やすい場所はありますけど、

既に他のギルドへ依頼が行ってしまっていて「銀の盾」は手出しができませんし、

Eランクのミツキさんが受けられる位の魔物は限られてしまいますよ」


「分かりました、でも、もし偶然魔物に出くわしてしまった場合どうすればいいんですか? 」

「そうですねぇ、もしも魔物に出くわしてしまったらまずは逃げる事を考えて下さい」


「逃げることですか・・・」

「はい、逃げる事です。基本的には倒してもいいんですけど、ミツキさんの場合は逃げる事を強くお勧めします」


「魔物討伐の依頼がきた場合以外は魔物は倒しに行かない方が良いんですね」

「先ほども説明しましたが、まずはちゃんと受理された依頼をこなして下さい。その中で魔物討伐の依頼が

あった場合は倒した魔物の指定された部位を持ちかえれば大丈夫です。一応これ渡しときますね」


「なんですかこの本? 」

「どの魔物のどこのどの位の魔石を持っているか書いてありますのでご参考にして下さい」


「ありがとうございます、こんな何も知らない輩にご手寧に」

「言ったじゃないですかミツキさん、最初は誰でもそんなもんですよ」


「ありがとうルウさん、俺この依頼遂行してくるよ」

「いってらっしゃい! 最近魔物が頻繁に出るから気を付けてねー!」


俺は依頼された畑へ向かっていたが、トゥラさんからは魔物は倒すか逃げるように言われてるんだよなー。

取り敢えず相手の動きは見切れるし、もし魔物がでたら倒すつもりでいよう。


あ、この依頼同魔物が出る場所とじ場所だ、それにしても俺以外に「銀の盾」の人員いないのかな?

でも依頼が来てるって事はそれをこなしている人も居るって事だよなー。


まだギルドマスターにも会ってないな、皆何処にいるのかな?

そうこうしているうちに畑に着いた。一反でも二反でも耕すよ!




そして夕方頃、畑を耕し終えて草むしりももう少しで終わるという時に土の盛り上がりが

「ボコボコボコッ」っと、まるで巨大な何かが穴を掘って来るように俺の方へと向かってきた。


俺は怯えながらも素早く剣を構えて土の盛り上がりの先端部分を思い突き刺した。


「ピギョエエエエ! ブチョグェエエエエ! 」


土の中からその正体が現れた。

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