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救世者みも救世者にも成長の修行が必要なんだ。

学校からのいつもの帰り道、カバン付けているお守り袋がゆらゆらと揺れている。


俺の名前は空閑満月くがみつき高校2年生だ。俺はクラスでは目立たない影の薄い存在だ。

当然友達もいない。いわゆるボッチだ、昼休みにはいつも独りで図書室の本を読んでいる。


高校生になれば環境も変わり自分も少しは変われると思っていたが、そんな事はなかった。

特にいじめられていたと言う訳ではなかったが、小学生の頃から俺は独りだった。


「今日も一日何事もなく平和だったなぁ」


背伸びをしてそんな独り言を呟きながら家に帰った。

そしていつもの様にジャージに着替えゲームをしていると

急な眠気に襲われ、一瞬目を閉じて寝てしまった。


(・・・ツ・キ)


(・・・・ミツキ)


誰かに呼ばれた気がした、そして「ガクッ」と頭が下がって

目を開けるとどうやら部屋の外にいるようだった。


手元を見るとさっきまで握っていたコントローラーは無く

いつものカバンを持って立っていた。


「あれ? 僕は家に帰って来てたんじゃなかったのか? 」


寝ぼけ眼で周りを見渡すとぼんやりとしていた視界が段々とハッキリしてきた。

広い石壁の部屋の真ん中に僕はいるようだった。


そして3、4メートル先に白いローブを着た女の人が立っていた。

すると、その女の人が近づいてきて目の前まで来た。


良く見ると大人の女の人と言うよりも少女といった方がよさそうな年齢に見えた。

そして目の前まで来た彼女は俺に向かっていった。


「よく来てくれました救世主様、どうかこの国をお救い下さい」

「!? きゅ、救世主様? お、俺がぁ? 」


何が何だか分からず、つい他に誰かいないか周りをキョロキョロと見てしまった。

足元を見ると床に何やら模様が描かれていた。


横目で床を見渡すと魔法陣のような模様の真ん中に俺はいるようだ。

もしかして、魔法陣これで俺はここに転移させられたのだろうか? 


顔を上げ彼女に問いかけてみた。


「あのぉ、ここは何処で、貴女は誰ですか? 」

「はい、ここはフォルクス王国南部、私はトゥラ・ブランドーです」


「もしかして、俺は貴女に召喚されたんでしょうか・・・」

「はい、貴方は導かれここに来たのです」


「俺の名前は空閑満月くがみつきっていいます。

で、でも俺なんか何の役にも立ちませよ・・・・」


「いいえ、クガミツキ様あなたがここに呼ばれて来たという事はすでに

女神様より祝福を受け取っているという事です。」


「え? でも俺にはこのカバンしかないのですが」


「・・・・まあいいでしょう、ここに600ルアございますので

まずはこの資金で武器や防具、装備品などをそろえてご出立を」


「ご出立って、俺は何処に何しに行けばいいんだよ」


「・・・何かあればこの教会においでください。それでは失礼いたします。」


すると俺はお金の入った袋を渡され、

彼女はあっさりとその場から立ち去ってしまった。


「何かあればって・・・今が何かあった直後だよ、どうすりゃいいんだ」


何はともあれ俺はこの教会の外にに出た。


外は人通りが多く賑わっていて獣人や亜人なんかが普通に

歩いていて本当に異世界に来たんだなと実感した。

あれは馬車? いやあれは獣車だな、なんか恐竜みたいなのが荷台を引いている。


「ここが教会って事は、さっきのトゥラさんだっけ? あの人は

教会のシスターだったのか? 武器や防具をそろえてって事は

何かしら物騒な事に巻き込まれたって事だよな? 国を救ってくれとも言っていたな? 

戦争か何かか? しかし情報が少なすぎる、いったい俺に何をしろってんだよ、

もう少し具体的に説明してほしかったな」


ブツブツと独り言を言いながら歩いていると「グーグルグル」と腹が鳴った。


「そういえば召喚される前に夕飯食ってなかったな、どこか食べ物屋がないかな? 」


歩いていると『冒険者ギルド:銀の盾』という看板が見えて来た。


「なんか、知らない字なのに読めるぞ」


そういえば言葉も分るし、字も読める。何とか情報収集出来そうだぞ。


すると「ドン」と小柄な男にぶつかった。


「あ、すみません」

「・・・・・・・」


(なにも言わずに行かなくたっていいのに)


「あれ? さっきより身軽になったような・・・ってえ荷物ぜんぶねえ!! 」


さっきぶつかった時に手荷物を全部スラれていたのだ。

俺は振り返り全力疾走でさっきの奴を追いかけ、カバンを持った男を見つけた。


「あ、あのカバンは俺のだ! 見つけたぞ! まちやがれ! 」

「ビクッ」


こちらに気が付いたのか男は走り出したが俺の方が早かった。

もう少しで追いつきそうなところで男は横道に入ったが俺も

その横道に入った。


すると男が俺を待ち構えているかのように後ろ向きで立っていた。


「こんな処にまでこなければ怪我するこたぁ無かったのになぁ」

「なに訳の分かんない事言ってんだ! その荷物を返せ! 」


すると路地の陰から5、6人の男達が現れた。


「訳分かんない事言ってんのはお前の方だぜ兄ちゃん、もうこの荷物は俺らのもんだ」


一人の男が言ってきた


「そんなはずないだろ!? さっきそっちの男が俺から盗んだんだ! 」


「ページ、その荷物はどうしたんだ? 」

「へい、昨日から捨ててあったから拾ってきただけです」

「だとよ、兄ちゃん! 」

「そんなはずないだろ!? 」

「はー!? 言っても分からん奴にはこうするしかないな! 」


その男は拳を振り上げ殴りかかってきたが妙だ、男の動作がゆっくりと

スローモーションのように見える。

なんなんだ? このチンピラどもは。


俺はそれをかいくぐった、その事に頭に来たのか男は左右の拳で俺を

殴りかかってきたが全てかわした。だが、後ろから羽交い絞めされてしまった。


「ちょこまかと動き回りやがって、これでもう逃げられんぞ! うぅりゃあ! 」


依然、パンチはスローモーションだ。


(こんな遅いパンチ喰らってもたいして痛くないんじゃないか? 一発位殴られてもいいか)


「ドカッ! 」

「・・・いってぇ! やっぱり痛いじゃないか! 」

「何寝言いっていやがる! この野郎! 」


「ドスッ! 」

「まだねんねの時間じゃないぜ! 」「ボカッ! 」


「倒れ込んでも許さねえよ! 」「ドカッ! 」


相手の動きがゆっくり見えても俺自身の動きが早くなったわけじゃない。


俺は男たちに殴られ続け意識が遠のく中声が聞こえた


(ワタシハ、ティア、ワタシノナマエヲヨンデ・・・)













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