表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東京時代 第3話 大輔  作者: 夏希
1/1

第3話 大輔


 あきらが、馴染みのゲイバーへ行きたいと言うので、まずそこへ行くことにした。


 店に入ると、不謹慎、極まりない男たちが、ワラワラといた。


 「あら、髭が青いのよ。」

 と言いながら、スパンコールのミニスカを身につけた、0脚のゲイボーイがやって来た。


 突然、あきらは、そのゲイボーイに、抱きついて泣いた。

 「お願い、許して、ごめんなさい。」


 「あら、いいのよ。忘れちゃったわ。」

 青い髭を、さすりながら、桜にウインクした。

 あきらは、ほっとした様子で涙を拭いた。


 ショーが始まり、桜は美しいゲイボーイ達が、踊る華麗な舞に、うっとりとした。


 「あなたは、踊らないの?」

 青髭のゲイボーイをからかう。


 「いやーだー。私は夜の蝶じゃないのよ。夜の蛾なのよ。」

 あははーと、低い声で笑った。


 あきらは、そのやりとりを微笑んで見ていた。

 事情は分からないけれど、これでいいのだ。


 

 ゲイバーを後にし、

 大輔のクラブへ向かう。


 桜は、胸がドクンドクンと高鳴った。

 もう、会えないと思っていた。


 店の厚いドアを開けると、曲に合わせ床が、揺れていた。人混みをかき分け、奥のブースに進む。

 

 ニット帽に、だぼだぼのジーンズ、赤いTシャツを着た男が、レコードを見ていた。

 「大輔さん。」


 しばらくして

 「桜!」

 大輔が、桜を抱き締めた。


 ブースの周りで、腰を揺らしていた女達の動きが止まった。


 大輔と桜は、抱き合いながら、キスをしていた。周りの目など、忘れてしまったかのように。


 大輔のファンたちは、さぞかし悔しかっただろう。


 桜は嬉しかった。大輔、大輔。

 忘れたことなど一度もなかった。いつも、思っていた。

 

 違う男と付き合う度に、一生会えないと胸がキリキリした。


 「なあ、ちょっと静かな所へ行こうか。」


 大輔と桜は、片手に酒、片手に煙草で曲にのる客達をすり抜け、外に出た。


 手を繋ぎ、バーへ向かう。

 夢のようだ、桜はふわふわしていた。


 近くのバーのボックスに座る。

 せきを切った様に、大輔が話し始めた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ