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8 舞踏会 4

 非難の声がこだまする。連れ子をいじめているのか、形見を捨てるなんてとんでもない。そんな声と冷たい視線が私に刺さる。

 …なんだか私が捨てた風に話が進んでいるが、これだけは言わせてほしい。


 私、捨ててないから!!なんなら、ハンカチに包んで大事に引き出しの中に入れているから!たまにニヤニヤしながら眺めていたから!


 もちろん、私はライ君がくれた石を捨ててなどいない。そうなるとあの使用人何故あんなウソをついているのか。あの使用人はまだわが家に来て長くないと聞いている。ならば、、そんな推理をしていると、


「使用人、名前はルナといったか。ウソを言うのはやめていただきたい。」


 場を一変させたのは旦那様だった。


 使用人の女は、ウソではないと主張している。その主張を遮るように旦那様が言う。


「いやいや、息子の大事なものを捨てるような冷酷な人間が、わざわざそのもらった石を磨いたり、眺めてニヤニヤすると思うか?その石に向かって、 「ライくん今日も可愛かった…後ろついてきてヒヨコみたいだった。可愛すぎて心臓が痛かったわ。」 や 「エイダさん、ライくんを生んでくれてありがとう。本当に可愛い子ね。」 や 「ライくんいつか月に帰ったりしないわよね ?!」 と言うと思うか?毎日何かしら語りかけているぞ、その石に。」


 え、なんで知ってるの旦那様。というか、なんで暴露するの旦那様。天然なの?わざとなの?てか、私のものまね上手いわね!


 必然的に私に注目が集まる。

「私、いじめてなどおりません…。」


 声が小さくなっていったのは許してください。顔が赤いのも許してください。

 引いた目で見ないでください。使用人さん、私とその石を交互に見てなんとも言えない顔しないでください。あなたが勝手に持ってきたからこんなことになってるんですよ……!





 結局、あの使用人はアリスたち家族の差し金で、私の部屋にあった石を取ってきたらしかった。

 元々、アリスたち家族の家に仕えていたらしい。私と旦那様が結婚すると聞いて自分たちの息のかかった人間を送り込んできたということだった。

 …いや、雇っちゃダメだろ。誰が採用したんだよ。あ、旦那様か。うん、屋敷の人事についても帰ったら話し合わなくてはいけないわね。ふふっ、今夜は寝かせないわよ、旦那様?たっぷり話し合いましょうね。なんで雇ってしまったのかを。いくらでも語り合いましょうね。心配はいりませんわ。私、石にでも語りかける女なんでね!!

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