3 第一歩
記憶がなかった理由は簡単でしたわ。
私が気絶したからでしたわ。目を覚ました時にメイドからそう聞きましたの。鼻から血を出して突然倒れたと。
鼻血を出すなんて、漫画みたいなこと本当になるんですわね。
おっと、つい口調が元々のミーティアになってましたね。
たまにぽろっと出てしまうんです。あ、勿論社交のときはこの話し方ですわよ?この口調がルールですの。
さて、これからどうしましょうかね。私、ぶっ倒れたんですよね。しかもなんかライくんすごい号泣したみたいで。私早速嫌われてしまったかも…。
様子を見に行こうとベッドから起き上がり、ライくんの部屋へ向かう。
「ライくん?」
ドアをノックした後にそう声をかける。
ガチャっと扉が開くと、
「!ミーティア、もう動いて大丈夫なのかい?」
旦那様が出てきた。部屋の中からは寝息が聞こえている。どうやら寝ているようだ。
「はい、もう大丈夫ですわ、旦那様。ところでライくんは?」
「ああ、眠っていてね、夕食までには起こそうと思うよ。」
これはチャンスかもしれない。
「旦那様、起こす役目私がしてもいいでしょうか。少しでもライくんと仲良くしたいですわ。」
私は仲良くしたい旨を旦那様に熱弁していった。途中から少し引いていた気がするが気にしない。
「…だいぶ噂とは違うんだな。」
「え?」
「すまない、高飛車な女だとばかり思っていたから。息子のことを気にかけてくれてありがとう。大切な私の子なんだ。」
一 つ言い忘れていたことがあります。旦那様もイケメンです。寂しげな笑顔、心に刺さるものがありますね。
そんなことを考えていると頭の上に何か乗った感覚がした。
頭を撫でられていることに気づくと勢い良く顔を上げた。
「あ、すまない。私は何を…」
旦那様はぷいっと後ろをむいてしまったが耳が赤いのが見えた。
え、え、旦那様ってそういうキャラでしたの?
私まで赤くなってしまった。
…なんだかすごく暑いんですが、おかしいですよね。今冬なのに。
ま、まぁ少し夫婦関係も良くなったので良かったですね。
バッドエンド回避のために奮闘します!