6話 異世界転移?
暗い通路を抜けた先には、扉が1つだけ在った。
鉄の扉のノブを回すと、ギーッと錆びついた金属音と共に扉が開く。
永らく使ってないのか埃が舞う。
一体、ここは何処なのだろうか?
ジンは、扉を開けながらも底知れぬ不安を感じていた。
当然だ。
いくら冷静さを保とうと努めていても、この状況は異常過ぎる。
そもそも、自分の足でこんな場所に来るわけが無いし、来れるはずも無い。
酔いも完全に覚めているが、全く身に覚えが無いのだ。
まるで、異世界にでも転移したかの様な気分だ。
可能性があるとすれば、やはりあの光のカーテンか。
しかし、今は考えても仕方ない。
兎に角、外に出て確認しなくては何にも分からないのだから。
扉の向こうには、上り階段が続いていた。
「上り階段・・・と言うことは、ここは地下か?」
ジンは、慎重に階段を登っていく。
暗く灯りも無い階段のため、スマートフォンのライトで足元を照らしながら進んでいった。
これ程、スマートフォンに感謝した事は今までなかった。
ライトが無ければ、あの暗闇の中で、冷静さを保つ事は出来なかっただろう。
そうしたら、彼処で朽ち果てていた可能性も高い。
100段程登った所で、前方から僅かに光が見えてきた。
「外か?」
ジンは、疲れよりも出られる喜びが勝り、走り出す。
一気に階段を登り終えると、そこは森の中だった。
「も、森!?・・・どうなっているんだ?」
それは木々が鬱蒼とした深い深い森の中だった。
地面は草花が咲き乱れ、人が通る為に整備された道は無い。
緑のツンとした匂いが鼻に付く。
ビルも電車も車も無い。
東京の公園とは違う自然の森だ。
そこは間違いなくジンの知らない土地だった。
そして、ジンは確信する。
「マジで異世界転移しちゃったのかよ!!」