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24話 グリモア・マスター

 ジンは暗い闇を彷徨っていた。


 肉体は完全に消滅し魂だけが在る。

 これは一種の臨死体験と言うのだろうか?


 損失感や虚無感・・・大切なモノを失った様な・・・なのに、何も感じる事が出来ない。

 思考も定まらない不安定さ・・・このまま、消えたら・・・何処に辿り着くのだろうか?


 死後の世界?

 それとも、永遠に無となるのか?



 ・・・目を覚ますと、ジンは地面に横たわっていた。


「・・・。」


 辺りを見渡して見るが、既に黒騎士と魔女の姿は無い。

 恐らく死んだと思って立ち去ったのだろう。


「助かった・・・のか?」


 黒騎士は強かった。

 恐らく、今のジンでは何百回と生き返っても勝つ事は出来ないだろう。

 悔しいがそれが現実だ。


 結局、少女達を救う事は出来なかったし、魔女を倒す事も出来なかった。

 自分の正義を貫くには、力が必要だ。

 

 不死身なら最強かと思っていたが、どうやらこの世界には、もっと凄い化物がいっぱい居る様だ。


「・・・この借りはいつか返してやる。」


 ジンは右手を強く握り締めて、復讐を誓う。


 立ち上がると、股の辺りがスースーして落ち着かない。

 そこで、漸く自分が全裸だった事に気がついた。


「人が居ないとは言え、森の中で全裸ってのは、何とも言えない開放感だな。」


 そんな独り言を呟いて後ろを振り向くと、黒髪の少女と目が合った。

 裸の上にジンが渡した上着を羽織り、胸には大事そうにクロが抱えられている。


 先程、森で助けたハルカだ。


 その黒い瞳は真っ直ぐにジンを見つめていた。


「なんでここに?待ってなきゃダメじゃないか。ここは危険だ。」


 ジンは、ハルカに近づく。


「来ないで!」


 ハルカの強い口調に、ジンは足を止める。

 ハルカの目には警戒が見て取れる。


 ジンは、自分の格好を見て納得した。

 全裸の男が近づいて来たら、そりゃあ警戒するわな。


「心配するな、服なら・・・。」


 ジンが暗黒物質ダークマターで服を創造しようとする。


「これは、あなたがやったの?」


 ハルカは、焼け落ちた塾の建物と横たわる少女だった死体の山を見ていた。

 ジンは、何となく状況が飲み込めて来た。

 どうやらハルカは凄い勘違いをしている様だ。


「待て、誤解だ。これは俺がやったんじゃ・・・。」


 ジンは、誤解を解こうとハルカに近づく。


「来ないで!」


 ハルカが言葉を発した瞬間、身体が硬直した様に動けなくなった。

 どう言う事だ!?

 一歩も進む事が出来ない。


「あなた以外に誰がこんな事をするって言うのよ!?」


「これは、魔女と黒騎士の仕業で・・・。」


「そんな奴は何処にも居ないわ!」


「いや、多分、何処かに行ってしまったから・・・。」


「何故あなただけ無傷なの?・・・私、あなたを信用できない!」


「それは・・・!」


 その時、森の中で何かが動いた。

 オークの弓兵だ。

 生き残りが居たのか!?

 オークは弓矢をハルカの背中へと構えていた。

 ハルカは気付いていない。


 矢が放たれた瞬間、ジンは地面から槍を伸ばす。

 ハルカの顔の横すれすれを抜けると、何とか矢を弾き飛ばす事に成功する。


 弓兵のオークは、直ぐに森の奥へと逃げて行ってしまう。


 ハルカの左頬から一雫の血が流れ落ちる。


「私の事・・・殺すつもりだったの?」


 ハルカは、左手で頬を押さえながら、恐怖と失望を孕んだ瞳でジンを見つめていた。

 そして、次第に怒りと覚悟の色が滲み出る。


「いや、違っ!」


「もう黙って!」


 ジンは慌てて誤解を解こうとするが、ハルカが黙れと言った瞬間に口が閉じられ、言葉を発せられなくなる。


 さっきからどうなっているんだ?

 ハルカの命令に逆らえない!?


 ジンは困惑する。


「あなたの事、信じていたのに・・・。」


(さっきは信じられないって言ってたじゃねーか!)


「あなたの事、素敵だと思ってたし、助けてくれた事には感謝しているわ。でも、これでハッキリしたわ。あなたは・・・人殺しの化物。」


(はあ!?)


 ジンは必死に抗議の言葉を発しようとするが、口を接着剤で塗り固められた様に開かない。


「でも、今のあなたを見て、確信したわ。この魔道書に書いてある事は・・・真実だと。」


(魔道書に書いてある事?俺の能力の事か?)


「あなた、ジンは不老不死の化物・・・でも今のジンの魔道書の主人グリモア・マスターは私よ。」


魔道書の主人グリモア・マスター?何だそれは?)


「これからは私の命令に従ってもらうわ。」


 ジンは、ハルカが何を言っているのかが、分からない。


「うふふ、そろそろ話しても良いわよ。」


 ハルカが許可すると、口の縛りが一瞬で解ける。


「はぁ?どう言う意味だ?何で俺が君の命令に従うん・・・。」


「お座り!」


 ハルカが命令した瞬間、俺の身体が勝手に動いて、犬の様に座らされる。

 全裸でこの格好はかなりヤバイ。

 しかもJKの前で、下手しなくても警察に捕まる。


「分かった?ジンは私には逆らえないのよ。」


「何でこんな事に・・・!?」


「何で?どうせ、あなたも私に変な事をする気だったんでしょ?エロ漫画みたいに!」


「い、いや、しない・・・と思う。」


 どうしてこう言う時に口籠るんだ!


「やっぱりね・・・この首輪は、あなたの方が似合っているわよ。」


 ハルカは拾った鍵で首輪を外すとジンの首に嵌めた。


「うふふ、これで正真正銘私の犬ね!」


「・・・どんな趣味だよ。」

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