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12話 約束

「あ、あの、助けてくれて本当にありがとうございました。」


 目の前では全裸の少女がジンに頭を下げていた。

 正直、前屈みになりたいのはこちらの方だ。


「怪我は無いか?」


 ジンはスーツの上着を脱ぐと少女に渡す。

 いくらなんでもこの格好のままにしておくわけにはいかない。


「ありがとうございます。・・・あっ。」


 少女はジンの姿を見て絶句する。

 上着を脱いだジンの白いシャツは血塗れだったからだ。


「だ、大丈夫ですか!?」


 少女は心配そうにジンに聞く。


「ああ、問題ない。」


 実際、なんの問題も無かった。

 傷も残っていないし、痛みも無い。

 ただ、疑問だけが残っている。

 この流れ出た血液は身体に戻ったわけでは無い。

 ジンの身体を流れている血液は減ったのか?それとも、減った分だけ増えたのか?

 貧血の症状も無いし、恐らく血液は減っていないと思う。

 しかし、だとしたら今自分の身体を流れているのは何なのだろうか?


「どうしたんですか?」


 ジンが考えに耽っていると、少女がジンの顔を覗き込んで来た。


「いや、何でも無い。それより、何があったんだ?」


 ジンの問いに少女は顔を俯く。


「分かりません。塾で勉強してたら、突然外が明るくなって、気付いたら塾ごとこの森に移動していたんです。そしたら、あいつらが現れて・・・。」


 塾?

 もしかして、この少女は。


「君は、もしかして、日本人か?」


「はい、佐野春香さのはるかと申します。あの、一体、ここはどこなんでしょうか?」


 やはりか、まさかこんな近くで同じ世界の人間と出会えると思っていなかった。

 益々クロの仮説が現実味を帯びて来たな。


「俺の名前は黒鉄仁くろがねじんだ。すまないが、俺にも分からない。兎に角、安全な場所を探そう。塾には他の人達は残っていないのか?」


 塾ごと転移して来たのなら他の日本人もいるかも知れない。

 人手は有るに越したことはないからな。


「います。 けど、今は100体以上のこの化物達が支配していて・・・。」


 成る程、囚われていると言う事か。

 100体以上か、自分1人でどうにかなるのだろうか?

 とは言え、放って置く訳にも行かない。

 取り敢えず、様子を見ておいた方が良いだろう。


「場所を教えてくれるか?」


 ハルカは来た道の方を指差した。

 その手は小刻みに震えている。

 この怯え具合からして相当酷い目に遭ったのだろう。

 

「分かった。君はこの近くで隠れていてくれ。俺が様子を見てくる。」


「ダメ!行かないで!行ったらあなたも死んじゃうわ!」


 ハルカは首を横にブンブン振ってジンの手を掴む。

 

「安心しろ。俺は死なないよ。」


 そう言うとジンは右手に黒の魔道書を出す。


「これを持っていてくれ。大事にしてくれよ。そうすれば、俺は必ずここに戻る。」


 ジンは自身の心臓である黒の魔道書をハルカに預けた。


(ちょっ!?マジか!?そんな簡単に他人に預ける奴がいるか!)


 ジンはクロの言葉を無視して、オークの死体から剣を取る。


「お願い、死なないで。」


「任せとけ!危ない橋は渡らない主義だからな。」


 ジンは親指を立てて、ハルカの来た道を進み始めた。


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