11話
「それにしても驚いたよ。まさかカズヤに妹がいるなんて」
「言ってなかったか」
カズヤが部屋にお菓子を持ってきてくれた。
「ほんとよね。すごく可愛い子だったわ」
「僕にはすごく冷たい態度だったけどね」
僕の心が折れた後、放心状態の僕をカズヤとサヤカが部屋まで運んでくれたらしい。
「兄である俺が言うのも変だが、世界で一番かわいいぞ」
カズヤが誇らしげに胸を張っている。
「でもあの子すごくお兄ちゃん思いなのね。カズヤの性格上嫌われると思ったけど」
「ほんとだよ。あんなにお兄ちゃん思いの妹さんなかなかいないよ」
普通妹は兄のことを避けると思っている僕としては、こんな兄弟はラノベの中だけだと思ってた。
「教育のたまものだ」
「教育?」
もしかしてカズヤって面倒見のいい兄なのかな。
「睡眠教育として毎日寝た後に耳元でお兄ちゃん大好きとささやいている」
「教育を間違えてるよ」
なんてことだ。
まさか妹にそんなことをしているなんて。
「ほかにも小さい頃は絵本を読んでやるときは内容を兄と妹の話に書き換えてお兄ちゃんを好きになるように努力したからな」
「その努力を別のところに回せたらよかったのにね」
サヤカもさすがに引いているみたいだ。
よし、これでカズヤに対する女子の支持率も下がるはず。
「初めて喋った言葉がお兄ちゃんだったときは思わず泣いちまったな」
「「両親に謝れ」」
正真正銘の外道だ。