散歩
白い日傘を廻したら
太陽の光もくるりと廻った
小さな紫
転々とつける生垣
乱れたアスファルトの小路
高さの違う屋根
茶虎の猫が
開かない窓の内側
だらりと寝そべる
降りる為ではなく
登るために作られた
石の階段をゆっくりと
踏み締めて
木漏れ日の音色
陽に透けるは
命の皺を
残した脱け殻
姿のない笑い声が
駆け抜ける昼下がり
曲がり角を曲がれば
立ち上がる雲
道しるべも
つけられぬような
勇ましい青
重なる蝉の
声で飛び立つ
白い日傘を廻したら
青い空もくるりと廻った