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「四話目」三雲ターン☀

 どうしよう。

 うん、ツッコむべきなのは分かってるんだけどね。なんであたしとカイ、こんな手繋いで商店街歩いてるんだろう。

 おかしいね。どきどきするよ?


 という訳で勇気を出してあたしは言ったの。


 気安く汚い手で触らないでちょうだい。アメリカ文化だのなんだのに染められちゃってんでしょうけどね、ここは日本なのよ? 業に居ては業に従えという言葉お分かり?

 会う度手を繋ぐなんて文化もハグする文化もほっぺにチューもここにゃありゃしねーんだバーロー!

 日本のわびしさ舐めんな!

 というか、カイのくせにナマイキよ!

 ハーフだからって何でもかんでも許される訳じゃないんだから!


「あ、あの、心臓が飛び出そうなんだけど」

「え? あ、ああゴメンっ。つい昔の癖で」

 なんてことは当然言えません。

 だってあたし日本人だもん。思ったことをそのまま口に出すような野蛮さは持ち合わせてないし。

 笑えばいいよ……。あたしだって、思ったことをそのまま言えたらどんなにか楽だと思ったことか。

 だけどね、これが遺伝子レベルで刻まれた日本人の性なんだよ。  

 ぱっと手が離された瞬間に、やっぱりそのままのが良かったかもって思ったりしても決して口には出せない。  

「う、うーん……」    

 途端にうつむきながらいかにも残念そうな顔をするカイ。

 そんなにあたしと手を繋ぎたかったの!? そ、それなら我慢して繋いでやらないことも、な、ないかな~なんて、あたし何言ってるんだろ。いや、違う違う。ここはそう。日本人の性だ。かわいそうな人をほっとけないというのは日本人の美徳よね。

 うん、そういうことそういうこと。だからただ心配してるだけというか、もう、そんな顔しないでよ!

「んと、嫌って訳じゃないんだけど、ほら、ちょっとね。ここ日本だからさ、うん。人目を気にしよう人目。周りの人が見るから。あ、人目がなかったらいいって訳でもないよ!? いや、嫌いな訳じゃないけどそこはやっぱりまだ早いっていうか……って違うっ! ああ、もう! そういう訳だから普通に歩こう!」

 パニクったあたしは言い訳に言い訳を重ねて、なんとか落ち込んだカイを慰めようとして支離滅裂な言葉を発する。

 そんなあたしにカイは眉を潜め、困ったような笑みを浮かべて言った。

「いや、マコトが女の子だっていう実感が持てなくて……。ほら、雰囲気とか昔のままだし、僕もホームステイでここに来ておばさんに話を聞くまでずっとマコトは男だと思ってたから」

 あ、さいですか。

 今度はこっちが落ち込む番だった。女っぽくないって。

 まあ、確かに自分でもそう思いますけどね。春って風強いから面倒で、こないだ髪切ったばっかだし、そういえば服もふわっとしたカワイイ系じゃなくて男でも着れそうなぐらいの短パンと七分袖のシャツですけどね。どうだいこのキャップ。決まってるだろう?

 く、くそう。女子らしくなくって悪かったね!

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