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箱をあけよう  作者: ひろりん
第4章:王城編
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嬉しいお知らせです。

ステファンさんのお陰で、ずいぶんと早くに書庫の本が片付きました。


「また、明日じゃの」


そういって、ポルクお爺ちゃんが手を振ってくれました。

随分ご機嫌で、さっき入れた美味しい紅茶の葉を、

頑張ったご褒美だと袋にちょっとだけ分けてくれました。

あれは本当に美味しかったですからね。

いつか疲れたときにでも、こっそりといただきたいと思います。


横を歩いているステファンさんは、なんだかげっそりと疲れてます。


「元気のいい、お爺ちゃんでしたね」


「あれは、元気の良いというだけで済まされないような気がしますが。

 あの調子で私の父も部隊長たちも遊ばれているんでしょう」


ステファンさんは苦笑いをしながら、

長く束ねた髪を後ろにさらっと流しました。


「ステファンさんのお父さんは、ステファンさんに似てますか?」


なんとなくに聞いてみたくなった。

ステファンさんのお父さんと言えば、レヴィ船長のお父さんでもある。


「兄からは、聞いてませんか?」


「いいえ。レヴィ船長は家族の話をめったにしませんから」


首を振ってレヴィ船長の姿を顔を思い浮かべる。


「そうですか。まあ、兄は話好きではありませんから。

 ですが私達の家族は、世間一般で言われている程、仲が悪くありませんよ」


世間一般って。

ああ、そういえば母親が違うっていってたことかな。


「父は、軍人なんですが、なんというか、その、それは豪快な人でして、

 その大雑把というか、男気のあるというかの性格に、大勢の人が慕ってます。

 ですから、私やレヴィウス兄上とは、性格はかなり違います。

 どちらかというと、一番上の長兄が一番父に性格は似ていると思います」


うんうん。

まだ上にお兄さんがいるんですね。

ということは、レヴィ船長、真ん中っ子ですか。


「根本的な本質は、レヴィウス兄上が一番似ているのではないでしょうか。

 父を語る時に特筆すべきは、その一種独特の存在感にあると思います。

 そこにいるだけで周囲の人間を従わせる圧倒的な力が、

 父とレヴィウス兄上にはあります。

 どうあがいてもマネが決してできない人の上に立つ気質。

 私が、長兄が、決して手の届かない頂」


う~ん、ステファンさんの表情が沈んできた。

仲が良い兄弟でも父親に対してなにか思うところがあるのでしょうか。


「では、ステファンさんはお父様似ですか?」


ステファンさんは、悲しげに首を振った。


「母曰く、レヴィウス兄上は父の若いときにそっくりだそうです。

 私は、どちらかというと母親に似ているとよく言われます。

 長兄も、亡き母親に似たのでしょう。丸顔ですから」


へえ。

お兄さんは丸顔なんですね。


「私は、どちらかというと、味噌っかすでして。

 末っ子ですし、立派な兄達には随分と見劣りしてしまうのですよ」


すこし自嘲気味に言う、その口調が悲しそうだった。


「幼い頃から、何をやらせても兄達には遠く及ばず、

 どんなに努力しても同じだけの結果を出すことが出来ませんでした。

 そんなふがいない弟を、貶すでもなく庇うでもなく、

 ただ、お前であればいいと言ってくれたのが、レヴィウス兄上です」


兄弟が多いと比べられるっていう話は聞いたことがある。

私は一人っ子だったから、兄弟っていいなってただ単純に思っていたけど、そんなに簡単なものじゃないんだね。


「ですけれど、同じ親をもつ身として、似て否なる雛である自分を

 日々疎ましく思うこともあるのですよ」


随分なコンプレックスを抱えてるんだなあ。

でもね、似てないって言うけど、

兄弟って言われて、納得できちゃうくらいには似てると思う。


「でも、ステファンさんの緑の目とか、

 ちょっとしたしぐさとかは、レヴィ船長にそっくりですよ」


そういうと、ステファンさんは、ぱあっと顔を笑顔に変えました。


「嬉しいです。レヴィウス兄上は私の目標なのですよ。

 我が兄ながら本当に素晴らしい人ですから」


その笑顔に、ああ、本当にレヴィ船長を慕ってるんだなって思いました。

でも同時に感じたのは、笑顔の裏にある劣等感いっぱいの影。

その影が、今のステファンさんの側にあってほしくない。


「ステファンさんは、レヴィ船長に負けないくらいに素敵な人だと思います。

 ステファンさんにしかないもの、ちゃんと見えますもの。

 それは、決して見劣りするものじゃありません。

 むしろ、レヴィ船長や、お兄さんやお父さんですら、

 誇りに思って自慢されてもおかしくないと思いますよ」


味噌っかすだなんて、そんな風に思って欲しくなかった。

気配り上手で、目端が利いて、優しくて、人の気持ちに敏感で、

欲しい言葉をするっと言ってくれる。

あれは、その人のことをきちんと見ているから。


誰かを守りたいって志願して、このお城の警護についているって聞いた。

軍部でも、体術剣術ともに、ぬきんでているってヨークさんが言ってました。

だから、お城の要人警護なんて大役を任されるって。

それって、努力してきたってことでしょう。


「ステファンさんの一歩一歩努力されてきた人生を、

 貴方が思っている以上に、人は認めているものです。

 ですから、貴方は自分を味噌っかすなんていわないでください。

 レヴィ船長やお父さんが、その言葉を聞いたら多分怒られますよ」


レヴィ船長のステファンさんがステファンさんであればいいって言葉、

あれは、そういう意味だと思うから。


「貴方は素敵な人です。

 他の誰かと比べるのではなく、ただの貴方として、

 一人の人間として、人の気持ちを思いやることの出来る貴方を、

 そして、誰かを守りたいって気持ちで働いている貴方を、私は素敵だと思います。」


自分を卑下しないで欲しい。

ステファンさんの人生は、光り輝くものであって欲しい。

自分で自分を否定することは、人生を腐らせることはあっても、

輝かせはしないと思うから。



私の言葉を目を見開いて聞いていたステファンさんは、

固まってしまったように動かない。

しばらく待ってみたけど三分たっても変わらなかった。


どうしたんだろうと、視線の先を手で遮って振ってみた。

そしたら、その手を、ぱっと掴まれて、ぎゅっと握られた。



「ありがとうございます。

 貴方の言葉は、私にとって千金の重みにも値します」


そういって、私の手を、ぎゅっと両手で握り締めて、

額の前に持ってきて、そして、手の甲にキスを落としました。


うおぉ、なんでいきなり。

ぼんっと顔が赤くなり、頭が途端に混乱し始める。

混乱? スクランブル交差点? ではなくて、落ち着け私。

あわてるな私。待て待て、そう、ちゃんと考えろ。


これは、そう、感謝のキスですね。

騎士の物語にもよくあるやつです。

ここで振り切って騒ぎ立てるのは礼儀違反っていうものですよね。


動揺しませんよ。これは文化の違い、外国人の感謝の挨拶。

でも、しかし、あのですね、長くありませんか。

長いですよ。明らかに長いよね。

信号機でも最長で1分くらいですよね。


「兄が、貴方を気に掛ける理由がわかったような気がします」


ふうっと軽くため息をつきながら、私の手をやっと離してくれました。

その手で、赤くなった頬をすりすりと擦って、よし、顔面体操です。


私の顔を見返すステファンさんの顔は、嬉しそうに微笑んでました。

その笑顔は、今までに無いくらいに明るい微笑みでした。

ステファンさんから、あの影が消えたわけじゃない。

でも、薄くなっていくだろうとその笑顔で確信できた。


ですが、ちょっと先ほどの言葉が気になります。

レヴィ船長が私を気にかける理由ですか。そ、それはなんでしょう。


「理由ってなんですか?」


折角尋ねたのに、ふふふと笑いながら誤魔化されました。


「それは、貴方から兄に直接聞いてください。

 私の口からは言いたくないです」


そ、そんな。

言いたくないって、言いたくないほどに酷い何かがあるってことでしょうか。

そんなこと、直接本人に聞けるわけないじゃないですか。


なんだか上げて落とされたような気がします。

大人な対応というか、言葉巧みに遊んでいるみたいな。

ステファンさん、そんなところまでレヴィ船長にになくていいと思います。


「さあ、早くシオン坊ちゃんの部屋に行きましょうか。

 美味しいものが用意してあるんですよね」


あ、そうでした。

楽しみにしておいてくれといわれたトムさんの新作おやつ。

急がないと、シオン坊ちゃんとライディスさんに、食べられてしまうかもしれません。


「そうでした。 急ぎましょう、ステファンさん」


転ばないように、且つ走らないように、廊下を早足で抜けていきました。




********

 



シオン坊ちゃんの部屋をノックして入ると、トムさんがいました。


その顔を、頭を、見たとたんに目が輝いているのを自分でも自覚できます。


「メイ。 お疲れ様。それでは、本日の新作菓子をご披露しよう」


机の上のガラス細工の入れ物を見たときに、

ぱあっと天からの光が降りてきたようでした。

この上に特別なオヤツが乗るのですね。


私が来るのを待っていたトムさんが、ワゴンから石の箱を取り出しました。

温石を普段いれている石の箱ですよね。

蓋を開けると、真っ白い煙とつめたい冷気。


これは、アイス? シャーベットぽいけど、アイスですよね。 

それに、その横のお皿は、クッキーかな。


トムさんは、そのガラスの器にドンと大きなスプーンですくった

アイスクリームを乗せてくれました。


私の器は、他の人に比べて一段と大きめです。

素晴らしい! これが特別ということですね。


そして、その横にカラフルな雲のようなふわふわの丸いもの。

真っ白なとろとろソースを掛けて、さあ召し上がれです。


ガラスの器は、縦に長い器ではなくて、横に長い器でした。

そこに、所狭しとおかれたアイスクリーム。

この世界に来て初めて食べました。アイスです。

まあ、どちらかというとジェラードに近いです。


ですが、ただのバニラのアイスではなく、中にはキャラメルのような甘い木の実が入っていて、こりっと口の中で実がはじけると、その上をアイスがふわっと溶けている感じです。アイスとの絶妙なるハーモニーです。


それに、いろいろな色をした雲が、アイスの横でふるふると揺れてます。

雲の色は、透明感のある色ではなく、かなり原色に近いもの。

赤とか、青とか、緑とか。雲自体は甘味は余りないのですが、

どうやらメレンゲのようなものらしく、口当たりはマシュマロっぽいもので、口に入れるとフルーツの味がふわっと口の中で広がります。


クッキーかと思っていたものをお皿の上をスプーンでつつくと、ぱりんと割れました。これはどうやら、薄焼きのウエハースもどきだったみたいです。

これをアイスやマシュマロと一緒に食べるのだとか。


これに、ミルクリームをとろかした練乳もどきのソースを

てろてろとかけて食べるのです。


見た目もかなり豪華ですが、食べてみたら、これは極上品パフェです。


「トムさん、私、生きてて良かった」


思わず、涙を流しそうになるくらいに美味しいです。

口のなかで甘いアイスが解けていくなんともいえない感触。

スプーンを持つ手が感動で震えます。


「大袈裟だな。そこまででもないだろうに」


そういって、一さじ口に入れたシオン坊ちゃんが固まりました。

ほら、言ったとおりでしょう。


「これは、美味しいですね。初めてこのような甘味を食べました。

 これは、貴方の創作料理ですか?」


ステファンさんは、上品にスプーンの上のアイスを口に運びながら、

トムさんに尋ねました。


「ああ。 いや、正確には俺の師匠の料理が元だ。

 それを、いろいろ工夫して俺なりにアレンジしたのがこれだ。

 結構、手間がかかるんで、めったに作れないんだが」


師匠ですか? 

あのつるつる頭信仰の師匠ですね。


「冷たい氷の甘味なんて初めてですよ」


ライディスさんは、ちゃかりとこの席に座って、ものすごい勢いで食べている。

それ、二杯目ですよね。

それも、練乳もどきソースてんこ盛りですよね。


「本当に美味しゅうございますね。料理長、作り方を聞いたら、この氷菓子、

 私どもにも教えていただけますか?」


マーサさんは幾分か小さな器に可愛らしく食べている。

セザンさんも同様だ。


「ああ、そりゃあ、教えても良いが、多分、この城でないと作れんぞ。

 これは、この城にある氷室を利用して作るものだからな。

 何重にも着込んで、氷の塊のなかで寒さを我慢しながら、

 手間隙掛けて作る最高に面倒な菓子だ。

 多分、普通の家では出来んな」


そうなんですか。

そういえば、冷蔵庫って基本ないのよねえ、この世界。


「でも本当に、口の中で蕩けるって感じね。

 一度に食べてしまうのが、本当にもったいないわ」


ローラさんが、私の隣で嬉しそう解けかけているアイスをつついていた。


「おい、これは日持ちがしないんだ。

 それどころか、あっという間に解けちまうんだ。

 だから、俺達弟子の間では、幻の菓子って言われる代物だ。

 とりあえず、今晩の夕食に使える位は残してあるがな。

 これも、あとほんの少しだ。

 解けて消える前に、皆で食べてくれればそれでいい」


「ワポルに自慢してやろう。残念だったなってな」


ゾイさんが、椅子の後ろで、スプーンをかじりながら、

満足そうなため息をついてます。

ああ、美味しかったんですね。


ここにいるのはは、美味しいスイーツと聞いて、トムさんに集められた面々です。だから、いつものメンバーに加えてローラさんもいる。

もちろん護衛のゾイさんも。


ワポルさんとヨークさんは、本日、王妃様とネイシスさんにびったりとついている為、ここには来てません。

来られないのがわかっている為、知らせてませんというのが正しい。

そんな自慢話をしたら、ワポルさん、泣いちゃうかもしれませんよ。


シオン坊ちゃんは、美味しかったらしく、

アイスの無くなった器の中をじっと見つめてました。


「シオン坊ちゃん、私の分、すこし多すぎるようです。

 もう少し食べませんか?」


私の器は他の人の倍ありましたからね、大変多いです。

そう提案すると、顔がぱあっと輝きました。


でも、その提案に対して、出された器は二つ。


「ライディスさん。貴方は食べすぎです。

 お腹を壊しますよ。だから、シオン坊ちゃんだけにあげてください」


マーサさんが、ライディスさんの器を取り上げました。


「お腹を壊したことなど、いまだかつて一度もありません。

 だから問題ないです」


「駄目です。大人げない、我慢なさい」


マーサさんから器を取り上げるライディスさん。子供のようです。


私は、シオン坊ちゃんにアイスを半分に分けてお皿に落としました。

半分といってもスプーンで3口ほどです。あっという間に無くなります。

ですが、シオン坊ちゃんも私も、アイスの美味しさを堪能できたのです。


ああっと大きな声を上げて皿をかじりそうになっていたライディスさんに、

トムさんが、苦笑しながら残っていたわずかなアイスをあげました。


取り合いになるほど美味しいデザートは、料理人として本望と言っているようなトムさんの満面の笑顔でした。







オヤツのお皿を片づけにトムさんとローラさんとゾイさんが、厨房に引き上げ、

ライディスさんは、もっと甘いものを求めて、ふらふらその後をついていきました。その姿は、蜂蜜に吸い寄せられる蝶々みたいです。

見かけは全くゴルゴなんですけど。


さて、ここにいるのは、いつものメンバーだけになりました。

マーサさんに促されて、いつものように紅茶の湯入れを持って、

ポットにお湯を注ぎました。


「ああ、本当に美味しかったな。

 幻の菓子か、本当に忘れられない味になりそうだ」


シオン坊ちゃんは、まだあの余韻に浸っているようです。

やめましょう。

口の中の唾液が、無駄に大量に分泌されます。



「ところで坊ちゃん、今日は訓練されたんですか?」


話をそらすべく世間話から入ります。


「あ? ああ、なんだか最近は体の調子が良いんだ。

 体が軽いというのか、以前はよく体がきしんでいたのだが」


「おそらく、体の準備が出来たと言うことでしょう。

 これから毎日鍛錬されると、どんどん体は軽くなります」


ステファンさんが、マーサさんから紅茶を受け取りながら、

坊ちゃんの言葉に答えていきます。


「そうか、強くなれるかな」


「毎日の鍛錬を欠かさなければ、強くなれます」


坊ちゃんは、嬉しそうにステファンさんを見返しました。

麗しの師弟愛って感じですね。

少年よ、大志を抱けだね。


「シオン坊ちゃん、頑張ってくださいね」


筋肉がほどよくついた、かっこいいシオン坊ちゃんの姿を楽しみにしましょう。

私は紅茶を揺らしながら微笑みました。



*****



なんとなく後味に塩味が欲しいなって思っていたら、

セザンさんのお手製のガレットが出されました。


このガレット、蜂蜜が使ってあって、美味しいのですが、さっきのアイスを食べた後だと、なんとなく甘味とバターが口に残る感じなのです。


ですが、これは単体で食べると大変美味しい物なのですよ。

以前にこのお城に来た時に出されたクッキーはセザンさんのお手製だったのは、

これを食べればわかります。


セザンさんにお断りをして、またもやポケットにお弁当作戦にします。

今、私のポケットには、朝のサンドイッチ、ガレット、紅茶と

ほくほくする内容物が詰まってます。

今なら充実した引きこもり生活を送れそうです。

仕事が終わった後、ゆっくりと自分のお部屋でいただきましょう。

とっても楽しみです。



「そうそう、メイさん。 貴方に伝えることがあります」


セザンさんが、胸ポケットから一枚の紙片を取り出しました。

なんでしょうか。

首をかしげていると紙を渡されました。


「貴方のご家族の方が、明日の夕刻に面会に来られるそうです。

 警邏の方より連絡がありました」


明日?家族って、セランが来るの?


慌てて紙片を見るけど、誰がくるとかはかかれていない。

でも、明日かあ。


家を出てから、まだ一週間も経ってない。

でも、なんだかとっても懐かしい。そして、楽しみになりました。

なんだか、明日が来るのが待ち遠しくて、そわそわしてしまいます。


「警邏から? どうしてでしょう」


ステファンさんが、いぶかしげに眉を寄せました。


「ああ、メイさんは、警邏からの要請で、この城に裁判が終わるまでと言うことで滞在してもらっているんですよ。正確には、法制館からの要請ですね。

 ですので、警邏を通しての家族の面会申請は可笑しなことではありません」


ああっとばかりに納得したステファンさんが、紅茶のカップを持ち上げました。


「裁判まであと一週間です。そして、公判の結果が出るまで一月です。

 その間、こちらで働いてもらっていますが、

 メイさんは、思っていたよりよく働きます。

 私としては、裁判が終わっても、こちらで引き続き働いてくださると嬉しいのですが」


セザンさんが、さりげなく褒めてくれました。

それに、後の就職先まで面倒見ると言ってくれました。

この先はどうなることかはわかりませんが、そういってくださることは大変嬉しいです。ありがとうございます。

 

その褒め言葉も嬉しいのですが、今は、明日の予定に頭の中が侵食されてます。

明日には、セラン、レヴィ船長、カース、バルトさんの誰かにあえるのです。

嬉しくて嬉しくて、踊りだしそうでした。


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