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箱をあけよう  作者: ひろりん
第1章:船上編
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できることありました。

お昼ごはんの良いにおいがします。

献立はなんでしょうか?



朝と同じように、床を軽くはいて、机の上を

ふき、トレーをふきます。


「おい、並べとけ。」


声が掛かります。


赤い色の野菜とお肉がごろごろ入った

シチューです。

お肉は骨ごと入ってます。

豪快ですね。


それに、大きな籠に固めの丸いパン。



皆、各自でパンと皿をのせていきます。

そして、美味しそうに食べてます。



私たちの番がくるのが、待ちどうしい。

大変に、凄く、お腹すいてます。


私のお皿のかたづける速度が、速くなった気がします。

反対に、人が食べているのが大変のろく感じます。


私の目つきが怖かったのでしょう。


「小僧、あっち行ってろ。」

言われました。



まだ、誰が誰なのか、さっぱりわかりません。

皆、自己紹介とかしないんでしょうか。


でも、私が例の漂流者だと、皆知っているようです。

別に、秘密にしているわけではないので、怪しむことなく、

あたりまえですが、皆、私を小僧「ペッソ」って呼びます。



男のふりをしなくてはならない

ので、いいのですが。

小僧って、複雑です。



いやなあだ名だなあ。

そう思っていると、以前はルディもそう呼ばれていたそうです。

体が大きくなってくると呼ばれなくなったって

言ってました。

私には、永遠にその呼び名を挽回するチャンスは、

無いかもしれないね。


だって、もうハタチ過ぎてるし。

背はもう伸びないでしょう。


しぶしぶ厨房に入って、端っこに立って、じっと

コックさん?の様子を見ます。


なぜコックさん?となるのか。


それは、一番えらそうな大柄な人は

プロレスラー顔負けの体格、つるつるの頭、

猟師さんみたいにねじり鉢巻をしてます。

声は大きいし、しぐさはとっても豪快です。

包丁持つと、殺人犯みたいにみえる。


でも、そんな外見と反比例するように、

くりくりの小鹿のようなまん丸な目が印象的でした。

名前はレナードさん。


2人目は中肉中背で、よく見ると顔は

かっこいい部類にはいると思う。

でも、同じく頭つるつるでした。

彼は、バンダナを家庭科で使う三角巾のように

巻いてました。 バンダナの柄がヒヨコ柄でした。


話しかけても、ああとかそことか。

とにかく無口です。

名前はラルクさん。


3人目は見ててわかる一番下っ端。

私より年下だろうな。

とにかくよく喋ります。

口にラーマソフトって書きたくなるくらいに

とってもなめらか。

さっきからずっと、ジャガイモの皮を剥いているのですが、

口もほうがずっと動いてます。


彼はつるつるではなく、髪がふさふさでした。

名前はマートル。


自己紹介はしてないけど、

マートルがぺらぺらと話しかけていたので

わかりました。


じっと見ていると、マートルが私の前に

大きな籠を置きました。

中にはジャガイモが積まれてます。


「暇なら、剥いとけ。ナイフはこれだ。」


さっきまで君が剥いていた分ですよね。

まあ、いいですけど。


いすにすわって皮むきを始めます。


貧乏プータローでしたので、

自炊は得意でした。

特に、野菜の皮むきはお手の物です。


先に、ジャガイモの芽をとって、

皮を薄くむいていきます。


ジャガイモの皮は別の容器に入れておいて、

また、別の料理に使います。

海の上では食材は貴重なので、

捨てるとこはほとんど無いみたい。

エコですね。


くるくるむいでいると、

いつのまにか、レナードさんが私の後ろに立ってました。


「うまいし、早いな、明日から野菜の皮剥きを頼もう。」

つるつるの頭をなでながら

褒めてくれました。


「はい。ルディ、聞く、大丈夫?」


一応、ルディのそばにいることってことになってるから、

聞いておかないとね。


レナードさんが、食堂の窓口から頭を出して、

せっせとお皿をかたづけているルディを呼びます。


「おい、ルディ。こいつ明日から厨房でちょっと使いたい。

 いいか?」


ルディはびっくりした顔をして、こまった顔をしてます。

だって、船長さんによろしくって言われたものね。



レナードさんは豪快に笑いながら、

「ああ、船長には俺から言っておく。いいか?」


いいか?の疑問符は、

ちょうど、食堂に来て食事をしていた、

カースやセラン、レヴィ船長にむけて、

言ったようです。


話が早いですね。


「こまりますね。彼は雑用を覚えるように、ルディに任せたんですよ。」


あ、いじわるカース。


レナードさんはゆっくり歩いて、

船長たちが食べている机の方に、向かいました。

また、つるつる頭、なでてます。


レヴィ船長の前のいすに座り、レヴィ船長の目を見ながら

話してます。



「マートルより使えるかもしれねえし。コックの数が足りねえ。

 使える奴がひとりでも欲しいのは、知ってるだろ。」


「ですが、彼は正式な船員ではありませんし、厨房にいれるのは納得できません。」


「もともとマートルだって船員見習いだったのを、入れたんだ。

 それに、あんなへなちょこちび小僧が何かしたところで、

 俺達の目と舌をごまかすことも、できねえよ。」


セランが口をはさみました。

「まあ、そうだな。 それに、ずっと厨房にいなくても

 いいように、すればいいんじゃないか?

 雑用を半分、厨房半分で。

 メイが、慣れてくると、ルディは楽になるだろう。

 それに、厨房も。」



それまで、黙っていた船長が、

窓口から覗いていた私の顔を、じっと見て、

ふっと軽く笑いました。


「ああ、いいぞ。こき使え。」


言っていることは、酷いですが、突然の笑顔にどきどきします。

あの、緑の目が細められると、

私の何倍も色気があるような気がします。


ご飯を食べ終えたようで、席をたって、

私のほうに向かってきました。


歩いてくる姿に見とれてしまいます。



「しっかり、働けよ。」

そういって、レヴィ船長は私の頭をなでてくれました。

どうやら、私の頭のなでごごちが気に入ったようです。

ぽんぽん から なでなで に変わって、今ぐしゃぐしゃ

になりました。

子供ではないんですから、やめてください。


「はい。 頑張る。 ありがとう。」


レヴィ船長の手を押さえて、にっこりお返事しました。



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