表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
箱をあけよう  作者: ひろりん
西大陸砂の国編
196/240

交渉は恙なく。

レヴィウス達のお話です。



今の帰還編とは関わりないですが、遺跡編の最後に、

閑話として新しい話を差し込んでいます。

気が向いたら読んでやってください。

*********



レヴィウスとカースが案内されるままに中に入ると、

屋敷内は驚くほどひっそりと静まりかえっていた。

5年前にこの屋敷を訪れた時は、領主家族の暖かな歓待と共に、

大勢の使用人が気持ちよく働いて彼等を迎えてくれていた。

しかし、今のこの屋敷は寒々しい程に人の気配が無かった。


廊下や階段の手摺など屋敷の清掃が滞っているわけではないので、

一概に使用人がまるでいないとは言わない。

だが、コツコツと自分達の足音がしんとした屋敷内にやけに反響する。

生活の音というものが全く聞こえてこないからだ。


足音が反響する音が耳に届く度に、

人が住む温かみと言うものが感じられないでいた。


外から伺った中庭や外壁の荒れ方も気になったが、

こんな大きな屋敷に人がいない方がもっと寂しい印象を受ける。


洗練された調度品や美々しい内装は以前となんら変わらないのに、

全く別の屋敷かと思うほどに寒々しい。


わずか5年、されど5年ということだろう。

この5年の間に一体何があったのか。


カースは尋ねてみたい気もしたが、

偶々立ち寄っただけの赤の他人である自分達が、

そこまで踏み込んだ事情を聴いてどうなるのかと思い沈黙を続けていた。


だが、視線はカースの意志を間違うことなく伝えたのだろう。

前を颯爽と先導していた執事たる青年が、

上に向かう階段途中で唐突に振り向いた。


「貴方がたがおっしゃりたいことはよくわかります。

 ですが、私の口から申し上げることは出来かねます」


先回りして感情を読まれたような気がして、カースの眉間に軽く皺が寄った。

だが、そんなカースを気にすることなく、青年はさっさと階段を上って行った。

そして、階段を上りきった先の二つめの扉の前で止まった。

執事な青年が軽く扉をノックする。


「旦那様、お申し付け通りにお客様をお連れ致しました」


その呼びかけに中から見知った声が返ってきた。


「よい。入れ」


レヴィウス達が見知っているラドーラの領主の声だ。

執事が導くままに、部屋の中に歩を進めた。


部屋の中は、日の光が等身大の窓から差し込み大変明るい。

扉の真向いで、ちょうど窓辺に寄りかかる様な形で、

ラドーラ領主は立っていた。


「ご主人様! そのようなご無理をしてはなりません」


執事の青年が、驚き咎めるような声で主人である領主の傍に急ぎ駆け寄った。


「いや、いい。私にかまうな。

 大事な友を迎えるに私が伏したままでは、礼儀が成り立たぬ」


領主は青年が伸ばしてくる手をやわりと押し返して、

右手に持つ杖を使いゆっくりと脚を踏み出した。

だが、杖を持つ手は震え、踏み出した足も覚束ない。


そんな領主の状態を傍観することなく、レヴィウスも急ぎ領主の傍に向かい、

その震える手を取った。


その手は、成人男性の手としては驚く程細かった。

そして、レヴィウスの手を握りかえした手の力は、あまりにも弱い。


骨ばった大きな手には肉らしい肉が付いておらず、

正に骨と皮以外が一切そぎ落とされたような手であった。

手を取って尚その震えは収まらず、体全体が痙攣している様にも見えた。



これが嘗ては文武両道で知られたラドーラの領主、鋼のシャールの手なのか。

顔には出さないが、そんな驚愕がレヴィウスの脳裏にちらついていた。


「領主殿、我らを前にかしこまった礼儀などと必要ない。

 我らを貴方の友として迎えてくださるなら、

 どうか我らに友の体を労る権利を与えてほしい」


レヴィウスは、領主の何か言いたげな視線を受けながら答え、

更に領主の震える肘を持ち、執事の青年と共にその体を支えた。


カースは、領主が部屋で使っていたであろう安楽椅子を部屋の中央まで移動させ、

領主が座りやすいように向きを変える。


レヴィウスと執事は、震える領主を支えながら、

カースが待つ椅子までゆっくりと誘導した。


領主は、一歩一歩だが弱弱しい足取りで安楽椅子にたどり着き、

震える体を落とすようにして座った後、長い息を吐いた。


執事の青年が部屋の隅に用意してあった水差から水をカップに注ぎ、

領主の口元にそっと添えた。


斜めに傾く水が、一口、二口と領主の喉を通った。


「ああ、もういい。 十分だ。

 私はもう大丈夫だから、客人をおもてなししてくれ。

 レヴィウス殿、カース殿、いろいろと気を遣わせて済まない。

 さあ、そこに座ってよく顔を見せてくれ」


領主に視線で促された通りに、領主の前の長椅子に二人は腰かけた。

そして、改めてお互いに目の前の相手を観察する。


先に口火を切ったのは領主の方だった。


「久しぶりだ。もうかれこれ5年ぶりになるのか」


その口調は、当初とは違いやや砕けた物言いとなる。

領主の調子に合わせて、レヴィウスも親しみを込めた物言いに変えた。


「そうですね。5年ぶりです。 ご無沙汰しておりました」


だが、カースはまだ少し何かを警戒するように硬い口調のままだ。

 

「ラドーラは遠く、航路的にも頻繁には赴くことが出来ませんから、

 気軽に立ち寄りるわけにもいかず不義理を致しました。

 申し訳ありません」


言い訳をしたカースを追撃するように、領主は元気よく二人に返す。


「全くだ。この薄情者共め。

 来れないなら時折一筆書くこともできようが、それもない。

 開口一番で言い訳を吐く口だけが達者とみえる」


「……申し訳ありません」


「本当に、近頃の若い者ときたら、飛んで行ったっきり戻ってこない。

 仕事が面白くなってきて忙しいのは解るし、

 お前たちの仕事上、頻繁に交流を深めることは出来んことは解っておる。

 だが、やっとよこした便りの宛名は息子宛てのみ。

 忙しい息子に代わって歓待の用意をしようかと尋ねようも、

 あのバカ息子はさっぱり帰ってこない。 いつ来るのかも分からないから、

 君達を迎える準備が出来なかった。 全く、私は不満だらけだ。

 そもそもだな。目上の者に対して……」


そのまま延々と不平不満が続く。

言っていることは苦情に違いないが、領主は満面の笑みを浮かべていた。

その口調も悪意が感じられない至極軽いものだ。


5年間、連絡らしい連絡を取っていなかったから、

不義理と言われるのは覚悟していたが、

前半部分はともかく、交換部分は息子に対する不満だろうかとも思う。


ぶつぶつ聞こえてくる愚痴の矛先が、

聊かずれていると解っていても、二人は口をつぐむ。


老人の愚痴に文句を言おうものなら、これだから若い者はと、

確実に三倍いや五倍になって帰ってくるものと、

レヴィウス達は経験から知っていたからだ。



「ご主人様、お客人が困っておられるようです」


レヴィウス達を助ける様に、執事が主人に進言した。


「おお、そうか? まだまだもの足らない気がするが、

 まあ、若者を苛めるのもこのくらいでやめておこう。

 古今東西、老人の愚痴は若者を迎える言葉の定番だ。

 そういうものだと思って諦めてくれ。


 というのもだな、実は、私にも覚えがある。

 私が君達ぐらいの年の時にも父に同じように言われたよ。

 あのころは鬱陶しいとしか思わなかったが、

 自分が言うようになるのだから。

 ははは、因果は巡るとはよく言ったものだ。

 

 しかし、まあ、君達は一段と精悍な顔つきになったものだ。

 男ぶりが増したといえばいいのか。

 あれから五年しかたたないと言うのになかなかに大したものだ」


領主はカースとレヴィウスの顔をみて感心した声を上げた。


父親と同じ年頃の明らかに尊敬できる人物に、

真正面から褒められる感覚は、実に悪くない。

レヴィウスはややくすぐったいような感覚に苦笑しながら答えた。


「そう思ってくださるなら、我々にとってこの五年間は、

 実り多き時間だったということでしょう」


領主はゆっくりと背を安楽椅子に倒して、

窓から見える青空を見上げて小さなため息をついた。


「そうだな。 君達を見ていると、

 若者の時間は我ら老人とは進む速度が違うということを、痛感するよ。

 我らにとってはとても長く、日々を振り返り噛みしめる5年間だが、

 若者の5年間はあっという間だ。

 

 なんだろうな、この気持ちは。

 君達の成長が嬉しい反面、酷く眩しく感じてしまう。

 

 いや、これではただのやっかみになってしまうな。

 老人の感傷と取られることは解っているが、言葉にしたい時もあるんだ。

 気にしないでくれたまえ。


 さて、話を元に戻そう。 

 そうそう、君達のことは噂に聞いている。

 グレンが時折どこからか君達の噂を聞き付けて嬉しそうに教えてくれるのだよ。

 今や、航海を生業とするものに名を知らぬものはいないそうだな。

 一部では女神レアナの海獅子とも呼ばれているとか。

 名を上げたものだ。

 私もグレンも友人として実に鼻が高い。

 本当に、この5年の間に随分と立派になられた。

 あのファシオン公爵の自慢げな顔が目に浮かぶよ」


いきなり話に出てきたことで、

レヴィウス達の脳裏にゼノのドヤ顔がポンと浮かんでにやりと笑いを残す。

出発直前に見たにやけ顔である。


下手な幻想を振り切る様に、レヴィウスは軽く肩をすくめ、

カースはやや冷たい口調で切り返した。


「ゼノ総長の顔ははっきり言ってどうでもいいのですが、

 他でもない貴方から高い評価を頂けたのは実に光栄です」


5年前の談話で、領主は妻を通してだが、

ゼノと面識があったことをレヴィウス達は聞いていた。

何があったのかは領主は詳しく語らないが、ゼノを語るとき、

夫妻の瞳は面白そうに輝いていたことを覚えている。


「ははは、君達のあの騒がしい父上は相変わらずなのかね。

 ああ、思い出すね。 あれから30年近くになるのか。

 この30年を改めて振り返ってみても、

 私の人生においてあそこまで面白い人間はいなかったよ。

 まあ、いろいろと大変で、なかなか強烈だったよ」

 

にやにやと思い出し笑いをする領主の顔を見ると、

多分、当時の若かりしゼノはよほど騒がしく馬鹿なことをしたのだろうと、

簡単に予測できる。


昔のゼノに与えられた、面白い、騒がしい、大変、強烈との評価に対し、

今はどうなのかと聞かれたら、二人に応えられる返事はこれしかなかった。


「父は相変わらずです」


「害虫並みの生命力ですからね。変わりようがないでしょう」


ゼノを思い出したことで、二人の顔がやや緩む。

緊張がほぐれたと言う事だろう。


「ふむ、変わりようがないか、確かにな。あの男は生涯変わらんだろう。

 それが嬉しくもあり、苦々しくもありと言ったところか。

 君達はあの父君のことを良きご存じだ。

 さすが、ご自慢の息子達ということだろう」


レヴィウス達の肩の力も抜けたのを確認して、領主が唐突に話題を変えた。


「さて、私の話はここまでにして、先に君達の要件を聞こうか。

 老人の昔話や愚痴に付き合いにここまで来たのではあるまい」


レヴィウス達の前のテーブルにそっと暖かい紅茶が置かれた。

執事の気配の無さに聊か驚くが、これで二度目だ。

さほど動揺するほどではない。


レヴィウスとカースは少し目を合わして軽く頷き合った。

口を開いたのは、副船長でいつも交渉役であるカースだ。


「実は、本日は領主様にお願いがあってまいりました。

 今回、我々はマッカラ王国宛ての書状を運んできております。

 我々直々に赴くようにとの厳命もあり、人伝には出来ないのです。

 ですので、なるべく早くマッカラ王国に行きつくために、

 馬と優秀な案内人を借り受けたいのです」


今回、領主との交渉につき、領主には大凡のことを話していた方がいいだろうと、

事前にレヴィウスと話し合って決めていた。

ラドーラの領主にあってみて、特に問題がなければ、

彼等の話せる範囲のみ話して、協力を仰ぐことにしていた。


マッカラ王国行についても、そしてメイ探しについてもだ。


だから、カースは一気に要件を述べる。


「ふむ、急ぐのかね?」


「早急に。出来れは三日の内に発ちたいのです」


「理由を聞いてもいいかね?

 マッカラ王国に行かねばならぬのなら、今回のラドーラ滞在期間は、

 当初から一月か二月の猶予を持って計画しているだろう。

 時間があるなら、そこまで急ぐこともあるまい。

 それとも、その書簡の内容が急がねばならない理由ということか」


「急ぐ理由は、書簡の内容とは関係ありません。

 我々はこの国で人探しをするつもりだからです」


「人探し?この国で?」


「ええ」


「……わかった。 その件についても、後で相談に乗ろう。

 三日後だな。問題ない。全てこちらで手配しよう。」


領主の確約を取ったことで、カースがほっとした表情を見せた。 

そんなカースの瞳を領主はじっと見つめた。


「それで、書状はマッカラ王国の誰宛てか聞いても良いかね?」


カースは答えを返す前にレヴィウスの方をちらりと見た。

そして、レヴィウスの瞳に否の意志が無いことを確認すると、

こくりと頷いた。


「マサラティ老師宛てとなっております」


顎に指をあてて少し斜め上をみるようにしながら領主は口を開く。


「ふむ。マサラティ老師か。なるほどな。

 それは、例の遺跡の事件に対する報告であろうか。

 半年程前にファブリアド遺跡が崩壊したと聞いたが」


それに対してカースが応えられる返事は一つだけだ。


「申し訳ありませんが、我々は手紙の内容は知りません。

 預かっただけですので解りかねます」


「君たちの様な人物に態々伝令のような役目をさせるからには、

 差出人は国のそれなりの地位にいる者。

 そして、手紙の内容については、

 君達が関わっている要件について書かれていると考えるべきだろう。

 ふむ、君達は、あの古代兵器が眠っていると言われた遺跡崩壊の、

 一体何を知っているのだね?」


カースもレヴィウスも領主の考察力に流石だと言いたくなるが、

顔にも口にもそれは見せない。

国を出てくるときに、遺跡での件は口外無用との忠告を、

ロイド軍団長から暗に命ぜられていたからだ。


「大袈裟な捉え方ですね。 私達は唯の船乗りです。

 手紙の配達は、偶然にこの時期にこの国までくる船が我々の船だっただけ。

 手紙の内容についてなど、まるで見当もつきません」


「いやいや、そう無下に大人しい老人の推理を切る物ではないよ。

 宛先が世俗欲に全く興味が無いマサラティ老師というのが重要だ。

 私が推測するに、彼が昨今発表した古代文明の解明と解析の学説。

 その重要な特記事項があの遺跡だ。それが崩壊したらしい。

 それを聞いて老師から問い合わせという名の厳しい詰問があったので、

 この書簡と君達はその返事の一つということだろうね」


全く、この領主ときたら。

昔から人のすること成すことを預言者の様に推測し、

パズルを組み立てるように面白そうに真実を暴く。

実に頭の切れる男だ。

流石、ラドーラの領主、鋼のシャールと呼ばれた男である。


何が大人しい老人だ。

こういう手合いが一番大人しくないのだ。

鋼が丸くなったところで、こっちに投げようが、どこに転がそうが、

重たく厄介、当たれば痛いのは変わらない。


「さあ、知りません。ご想像にお任せしますよ」


「相変わらず君の返事は素っ気ない。

 すこしは老人を敬いたまえよ」


老人の代名詞を全面に出す様子も、

老いてない証拠と言っていいのかもしれない。


「とんでもない。敬っているからこそ、この返事なのですよ。

 それに老人などと、貴方はまだ50代。

 まだそのような歳ではないはずでしょう。

 都合のいい時だけ老人代名詞を使わないほうがよろしいのでは?」


カースの記憶によると、ラドーラの領主はゼノと同じ年か、

一つ違いくらいの近い年齢だったと思う。


「はは、それでも敬っているつもりなのかい。 まあいい。

 手紙の内容については、マサラティ老師近辺から直接探るとしよう。

 これでも、それなりの伝手があるのでね。

 君達にはこれ以上迷惑を掛けんよ」

 

和やかに、そして穏やかに笑っていた領主の顔が、

一転して真面目な顔に戻って瞳に強い光が揺れた。

その光に、一瞬だがカースが気押される。


領主は、ゆっくりとだが真っ直ぐに体を起こした。


「君達の要望に添えるよう、私が出来る限りの力を尽くそう。

 安心したまえ。 探し人についても、協力は惜しまない。

 だからと言ってはなんだが、君達に一つ、私の頼みをきいてもらいたい」


レヴィウスもまっすぐに緑の瞳で領主を見かえした。


「まずは、話を聞こう」


「ええ、お話しください」


カースもまっすくに領主を見つめた。


 

「君達は、私のこの姿を見てどう思うね」


領主は細い指を胸の前で交差させ軽く首を傾げた。


「……お加減が幾分悪いと執事の方から伺いました」


カースが言葉を選ぶように曖昧に答える。


だが領主は、カースがあえてはぐらかした言葉を、

なんともないように口から放った。


「正直に言ってくれて構わんよ。

 この痩せ細り方は尋常ではないとね。

 そう、ご推察の通りだよ。 私はもう長くない。砂漠病だ。

 ご存じのとおり、治療薬などどこにもない。

 砂漠病の寿命は大体3年程度、私はもう2年を超えた。

 おそらく来年のこの時期には死して砂の欠片となっているだろう。

 だが、これも天が定めた私の寿命だ。私は疾うに受け入れている。

 だから、君達も気を使わないでくれたまえ」


領主の青い目は実に淡々としたもので、

その表情にも態度にも悲嘆の色や死への恐怖は見えない。


「……グレンは知っているのですか?」


レヴィウスの問いに、領主はにっこり笑って頷いた。


「ああ、病にかかってすぐに伝えた。

 あれはまっすぐな気質だから、当初は大層動揺していたが大丈夫だ。

 私の言うことをきちんととらえて受け入れた。

 今は、次代の領主となるべく真面目に研鑽をつんでいる」


「グレンらしい」


「ええ。 彼は実直で素直な気質のいい青年です。

 彼ならラドーラの次代領主に申し分ないでしょう」


友人二人のグレンの評価に、領主の瞳に親らしい嬉しさが浮かぶ。


「ああ、まっすぐすぎるところが心配だが、

 優秀な手足となる実直な部下も、苦言を呈してくれる朋輩も、

 支えてくれる愛すべき領民も息子には居る。

 それについては心配はしてない」


領主は、心配していないと言いながらもどこか懐疑的な言葉尻は、

もっと大変なことがあると言わずもがな告げていた。


「他に気がかりなことがあると?」


当然続くであろうレヴィウスの問いに、領主が真剣な顔で頷いた。


「今のこの国の状態は、君達も知っているだろう」


領主はまっすぐに二人の顔を見つめる。


「20年前から国が二つに割れていると言うことですか?」


カースの答えに強く頷く。


「そうだ。今のこの国は、先代の王の子供二人が、

 各々権利を主唱して互いに王を名乗っていがみ合っている」


「民衆にとって迷惑ばかりな話だ。」


「全くですね。」


二人の感想に、領主はやや苦笑しながら話の続きを話始めた。


「ラドーラ辺境伯は王都から遠く離れ、権力にも地位にも興味が無い。

 今まではそういう姿勢を保つことで、直接火の粉が被ることがなかった。

 所詮、似たもの同士の兄弟喧嘩だから、なる様になるだろうと放置していたのも、

 不味かったかもしれない。

 傍観一方に徹していたが、とある事情から、そうもいかなくなった。

 私はこの有様なので国に領主交代を神殿に手続きとして申し出たのだ。

 今までは、何を言っても何をしても気にも留めなかった貴族共が、

 突然ラドーラに現れて、此度の領主交代の儀に、

 王の許可を得る為に王都に参上しろと言明があった」


「王の許可ですか? どちらの?」


「両方だ。

 王の腰ぎんちゃくの腰抜け貴族が鼻高々に命令書を掲げて来おった。

 厄介なことに、どちらの王もラドーラの所有を主張しておる。

 彼等は利益を生むラドーラの港を手に入れる為に、

 我々から自治権を取り上げようとしているのだ」


領主の眉間に深い皺が刻まれる。


「しかし、初代領主が得たラドーラの永久自治権は決して破れぬはずでしょう。

 神殿が管理しているその任命書が存在する限りラドーラ領主任命に、

 国家元首といえど口出しできないはずでは?」


ラドーラが安全港神話の要素の一つが、移り変わらない領主の存在にあった。

他の国々では見られない一つの一族がもつ永久自治権の存在。

初めて聞いたときは、カースも面白いものだと思った記憶がある。


「ああ、本来ならばそうだ。

 だが、問題は私の血筋にある」


「血筋ですか?」


世に知られている彼の血筋は、代々続く領主一家だろう。

それが何故問題なのかと、レヴィウスも密かに目じりを細めた。


「ああ、これはごく一部の人間しか知らぬことだ。

 君達を信頼して話すが、決して口外せぬよう願う。

 グレンもまだ知らぬことだが、私は先先代王の落とし胤なのだ。

 つまり、王の直系の子孫にあたり、先代王の弟という形になる」


「は?」


思ってもみない言葉に、レヴィウス達の思考が一瞬止まる。


「だが、私が領主の子供でないと言う事ではない。

 そのころのラドーラの領主は早くに夫を亡くした領主の一人娘でな。

 女だてらにラドーラ領主を勤め上げていた有名な女傑が、

 偶々訪れていた先先代の王と、男女の仲になり私を産んだ。

 つまり、私は領主の子には違いないのさ」


世に言う父無子というものだ。

世間一般には珍しいことではない。


「領主が、父の居ない子を産んでも問題なかったのですか?」


だが、地位のある貴族が奔放なことをすれば醜聞となって、

世論を騒がせ、問題となるケースが多い。

カースが疑問に思ったとしても当然だろう。


「問題? そこはラドーラということさ。

 とかく変わり者が多い領主の一族だからね。

 民からも、一族からも、そんなこともあるだろうと、

 まあ、簡単にではなかったが、受け入れられたようだよ。

 私は父がいなくても男勝りな母や砂漠の民たちが、実質上、

 私の父親のようなものだったから特に不自由も不満もなかった」


その言葉通りなのだろう。

領主の顔には楽しい昔を懐かしむような、優しい表情が現れていた。


「つまり、貴方は、ラドーラの血筋と王の血筋両方を引いている」


レヴィウスの言葉で領主の顔が目が覚めたように引き締まる。


「ああ、そういうことだ。

 だが、兄である先代王の妃の子供達が兄の血を引いていれば、

 何の問題もなかったはずだった」


領主は、小さなため息をついて安楽椅子の手の部分に寄りかかり、

目を瞑った。


「では、そうではなかったと?」


カースの問いに、領主はゆっくりと目を開けて答えた。


「今、王を名乗っている二人の男は、先代王の王妃と側妃の子ではあるが、

 王の血を引いていない。なぜなら、先代は後宮に一切手を付けなかった。

 そして、生まれた子には、王の血筋がもつ印がなかった」


「印?」


領主が左袖を捲り上げて、二の腕に浮かぶ星形の痣を二人の前に晒した。


「これだ。これは月の女神と初代王が契約時に付けた印だそうだ。

 神殿は、この印を持つものでなければ、王として決して認めない」


それはたかが痣ではないかと笑えぬほどくっきりはっきりとした印。

後天的な火傷で出来たようなものではなく、黒子に似た先天性の痣。


「そうだ。この国では、神殿が認めなければ国王として立つことは叶わない。

 なぜなら、王は神と人を繋ぐ大切な役目を背負うと言われているからだ。

 神殿は神の意志に従い、神と人の契約を助ける者を育てるとされている。

 神話では、もし神殿が偽の王を認めたならば、

 この国は神に見放され終焉を迎えると言われている。


 そんな神殿の力は、実は国家権力よりも大きな力をもつ。

 神殿は民衆に根付いた心の支えであり拠所だ。

 神の名の元に貧しきものを救い、清貧に務め、苦しむものに手を差し伸べる。

 神官の多くは北の大神殿から外に救済の旅と称して僻地に下る。

 医者としての心得もある神官は、人々の生活を支えながら、

 神の教えを説いていく。


 彼らに助けられた民衆は、神を湛え、苦難に耐え、

 巫女が告げた託宣通りに、正しき王を待つ事にしたのだ。

 

 だからこそ20年も馬鹿をしている国家が、

 生き延びてこれたとも言えるだろうな。

 

 そして、神殿側は、今になって何らかの過去の証拠を見つけたらしく、

 私が先先代王の隠し子であることを知った。

 だから、神殿は別の意味でグレンの領主拝命を認めまい」


二人の馬鹿王だけでなく、

神殿がグレンのラドーラ領主就任を認めないということは……。


「神殿は、もしや、グレンを王にと?」


レヴィウスの疑問に、領主は困ったように顔を顰めた。


「ああ、密かに要望書が届けられた。

 だが、グレン以外をラドーラの領主とするなど、

 このラドーラの民も砂漠の民も認めないだろう。

 そして、おそらくグレンも望まない」


「なるほど」


確かに、グレンは領主になることを欲していても、

この国の王になることは決して望まないだろう。

彼にとって領主とは、彼を若と慕ってくれる、

彼の家族のようなラドーラの民を守る為の地位だ。

いきなり大家族にしてくれと国全体が押しかけても、迷惑千万としかならない。


「だから私は、行方不明になっていた先代王の遺児を探し続けてきた。

 もし見つからなければ、この国の王座という名の面倒事が、

 グレンに向いてくることはわかっていたからだ」 


「先代王の遺児ですか?」


領主が語った内容は、確かにグレンにとって幸運にも等しき事実だろう。


「ああ、20年前、兄は亡くなる前に王都から1人の侍女を逃がした。

 その侍女の腹には確かに兄の子が宿っていたらしい。

 それを知った王妃や従兄弟たちが兄と侍女を殺そうとした。

 いち早く彼等の計画を悟った兄は、侍女を逃がし、

 自身が殺される前に私に手紙と正式な遺言書を託したのだ。

 

 手紙には兄の苦悩と悲しみが書かれていたが、

 重要な事実も書いてあった。

 王妃と側妃は後宮に入る前から王を裏切り、二人の従兄弟と通じていた。

 王妃と側妃が産んだ子は従兄弟の子供であり、兄の子ではないと。

 

 問題の二人の従兄弟は、もともと王の血筋を全く引いてない。

 先先代の妹の嫁ぎ先の子供であるというだけだからな。

 先先代の妹は子に恵まれなかった為に、縁者の子が家督を継いだに過ぎない。

 

 先代の遺言書には、兄の唯一の妻であり、兄を愛し支えた侍女が産んだ子に、

 その子が男であれ女であれ、すべてを譲ると書いてあった。

 私は、密かに探し続け、10年後やっとその侍女の消息を掴んだ」


「10年。 一体どこにいたのですか?」


追手を逃れ、女性が一人、子供を抱え生きていくには、

世間の風は厳しいものだ。

普通に考えても、誰かを頼るしかない。

泣く赤子の存在はそれだけでも人々の注意を引く。

赤子を隠して生活を送るなど、実質上不可能だ。

とすれば、普通ならば1年ほどで見つかっても可笑しくない。

それが10年とは。


「なかなか見つからないはずだよ。女は墓の中だった。

 産後の肥立ちが悪く、出産後すぐに亡くなっていた」


「亡くなったのですか。 子供は?」


「子供は引き取り手が無く、売られたらしい」


「売られた?王の子がですか」


「しかたない。

 侍女は追手を避ける為に街から街を旅する楽妓団に身を寄せていたらしい。

 弦楽に才があったらしく、素晴らしい奏者だったと聞いた。

 だが、旅の楽妓団にとって、金を産まない親無し赤子は邪魔にしかならない。

 ましてや、父親の身元不確かな子供だ。金を絞れる親戚もない。

 生まれたばかりの子が、王の子供だと名乗る筈もない。

 結果、生まれてすぐに人買いに売られたらしい」


淡々と状劇的な事実を語られるが、その悲惨な事実があったからこそ、

10年以上追手に見つからなかったともいえるだろう。


「……それで、その子供はどこに」


「子供は男の子だったそうだ。 女なら育てて売れば金になる。

 だが、男は一銭にもならん。

 だから、一番扱いが酷い炭鉱に1/3クレス程度で売られたそうだ」


1/3クレス。

港の人足達が、一日に働いて得る金が大体1クレスから2クレスの間だ。

一日の日当よりも低い額で売り買いされる子供。

その事実に、思わず眉を顰めたが、

このようなことは奴隷を持つ国ならば、よくある事実だ。


赤子の奴隷の値段が安いのは、生存率が低いせいだ。

売られた赤子が10年後、生きている可能性は限りなく低い。


「……それで? 赤子は生きていたのですか?」


「ああ、それから2年後、私の配下の者がやっと探し当てた時、

 炭鉱の口減らしの為に、体の大きくなってきた彼は、

 今にも殺されるところだったらしい。

 ぎりぎりで間に合った。 それが彼が12歳のころだ」


生きていたと聞いて、ほっとする。

その子供の為にも、グレンの為にもよかったと思う。


「生きていたのですね。

 ご無事で、喜ばしいことではないですか」


「ああ、そうだ。 私は彼を密かに匿い十分な教育を施し、

 国を背負って立つに相応しい正しい人格者に育て上げる様に厳命したが、

 まあ、少し、いや、聊か斜めに育ってしまったようなのだ」


「というと?」


「本人は王位を継ぐ気はあると言っている様なのだが、

 その行動が、どうも腑に落ちん。それに、あの恰好が……。

 いや、まあ、それは会ってみて直に確めてくれ」


領主の目が斜めに泳ぐ。

何か隠したいことがあるのだろうかとつい勘ぐってしまう。


「つまり、俺達への頼みはその子供に会うことですか?」


「いや、そうではない。

 その子を君達の手で大神殿に連れて行ってほしいのだ。

 ひと月後、大神殿で月の儀式がある。

 国の繁栄を願う古来からの大事な儀式だ。

 神殿からは、儀式のために正式な血筋であるグレンをよこすか、

 私の参列を望むと言ってきた。正式な戒告状と共にな。


 だが、私は元より、グレンを参列させることは即ち、

 王位を受ける意思があると見なされる。

 それだけは避けなければならん。


 だから、君達がマッカラ王国から帰り道に、

 彼を連れて大神殿に赴いてほしい。


 儀式より前に神殿に行き、彼を王の遺児として、

 神殿のお墨付きを神官長の裁定の元、取ってきてほしいのだ。

 グレンが領主就任の許可を得に神殿に赴く前に」


つまり、その子供を連れて旅をしろということか。


「どうして我々に」


ラドーラの領主であれば、砂漠の民といい、屈強なラドーラ守備隊といい、

忠誠心ある優秀な人材は溢れるほど居るはずだ。

まして、グレンが行く予定があるのなら、一緒に行けば済む話ではないか。


「理由の一つに君達がこの国の人間でないことだ。

 神殿にあの子を連れて入っても、敵がこちらの意図に気づかない可能性は高い。

 

 二つ目は、敵は私が兄の遺児を探していることをおそらく知っている。

 もしかしたら、見つけたことも知っているかもしれない。

 私達に繋がる者が連れ歩くことで、彼の命が狙われる可能性がある。

 

 三つ目は、私とグレンが王の直系の子孫であることを奴らは知っている。

 神殿側から漏れたのだろう。

 昨今、脅迫状のようなものが多数送られてきている。

 もちろん、命を狙う刺客も一緒にだ」


「ああ、だから、あれだけたくさんいた屋敷の使用人の姿が見えないのですね」


これで人の気配が無い理由に納得した。


「自分で自分を守れぬ老人、女、子供は、他家へ奉公に出すか、

 言い含めて解雇した。ここに居ては、彼等の命が危ない」


領主としては当然の判断であろう。


「神殿にも奴らの間者や刺客が潜んでいよう。

 領主就任の為には、グレンも神殿に行かねばならぬのも事実。

 だが、幸いにして、グレンは自分で自分の身を守ることが出来るし、

 領主として信頼できる手練れな配下を持っている。

 君達の後から行動すれば、十分な目くらましになろう」


グレンの存在自体が囮も兼ねていると言ったも同じだ。

実の子を囮に使う。

息子を信頼していると言えば聞こえがいいが、

その判断は領主としての非情な決断。

これが、鋼と呼ばれた所以なのだろう。

大事なところで、決して感情に流されない。


「なるほど、だからこその別行動なのですか」


カースの言葉に領主も意図に気が付いてやや苦笑する。


「現在、我々には常に監視が付いていて容易に動けない。

 だから、私が信頼する君達に頼みたいのだ」


領主の真剣な目と、懇願する絞り出すような声。

船のこと、国からの書簡、メイを探すこと。

レヴィウスには、いろいろ気になることも沢山あって、返答に少し迷う。

カースもいろいろと懸念があるのだろう。

その目は、レヴィウスの返事をじっと待っていた。


不意に、レヴィウスの脳裏に以前聞いたメイの言葉がよみがえった。


(私を必要とし求めてくれている声があるならば、私は行くべきなの。

 助けを求めている人の声を私は断りたくない)


あれは、セラン相手に説得する為の言葉だったか。

もし、メイがこの場にいたなら、

あの時と同じように即答していただろう。


レヴィウスが考えている間に、カースが領主に質問をした。


「外国人が神官長に安易に会うことはできるのですか?」


普通に考えたら無理だろう。


「そのことについては、マサラティ老師に協力を頼むつもりだ。

 今回、私の手紙も一緒に届けてほしい。

 彼は、神官長と懇意な仲で奇人としてよく知られている。

 その彼からの使者と言う形なら、外国人だろうがタコだろうが、

 誰も疑うものはいないだろう」


「それが協力の条件なのか」


レヴィウスはまっすぐに領主の瞳を見た。


「ああ、そう取ってもらっても構わない」


「わかった。引き受けよう」


レヴィウスの返事に、領主がほっと大きく肩を撫でおろした。

そして、なぜか少しの間沈黙が流れた。


三人が、沈黙を誤魔化すように、

目の前に置かれた冷めた紅茶のカップを手に取った。


領主は冷たくなった紅茶をすすって、浅いため息をついた。


「私達の問題に君達を巻き込むのは辛いのだが、

 私にはもう時間も伝手も残っていない。

 私の最後の頼みとして、怒りをなんとか収めてもらいたい」


領主は深く腰を折り、頭を下げた。


「領主殿、我々は別段怒っていない。頭を上げられよ。

 元より、友の心からの頼みを我等は断るつもりはない」


そんなことをすれば、メイに顔向けができなくなる気がした。

レヴィウスの脳裏ににっこりと笑ったメイの笑顔が浮かぶ。

その笑顔に応える様にレヴィウスは笑みを浮かべていた。


領主が初めて見るレヴィウスの穏やかな表情。

彼等ならばと大丈夫だと、

信頼するに相応しい確かな手ごたえが領主の胸に湧き上がった。



「領主殿、我々は貴方達との友情の為に協力を惜しみません。

 ですが、我々が居ない間の船のことが心配なのです。

 後を頼んでもよろしいでしょうか。

 丘に上がった船員の滞在費やもろもろの経費が過ぎる日数分嵩みますし、

 港の使用料なども便宜を図っていただけると助かります」


レヴィウスの表情を見て、カースも黙って従うことにした。

そして、脳裏にそれに伴って片付けなければならないもろもろが、

いろいろと浮かんで来たため、それを片付けるべくにっこり笑って口を開いた。


どちらにしても、全てはひと月以内に終わること。

出航に間に合うか間に合わないか、それが微妙な線だ。

その際に出てくる更なる出費に関しては、全て領主持ちと、暗に提示する。


カースの言葉に、領主の瞳が驚きで瞬いた。

そして、久しぶりに大きな声を上げて笑った。


レヴィウスもカースも領主の大声に釣られて笑う。

穏やかな空気が流れた。


ひとしきり笑ってしまうと、領主はパンと勢いよく膝を叩く。


「よし、わかった。そちらは何とかしよう」


転んでもただでは起きない。

何かを求められたら、それ相当な返礼を求めるのが、交渉をする上で大事な要素だ。

そうすることで、お互いに力を出し合ったと対等な関係を保つことが出来る。


本当に、二人は立派に成長したと領主がつくづく思った瞬間だった。




カースは値切り上手な主婦にも負けない交渉術を会得してます。

いつかメイにも見習わせたいですね。


この話で大体の話の流れが解るかもしれません。

メイがどの時点で絡むのか楽しみにしておいて下さい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ