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箱をあけよう  作者: ひろりん
第5章:遺跡編
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男達の内緒話。

メイ達が虫や蛇などに襲われている一方で、トアル達一行は平穏な道を歩いていた。

と、言うのも案内人のフィオンの差配のお陰であろう。


トアル達が右の道に入ったら、そこにはフィオンの部下という男が二人待っていた。

彼らとフィオンによって、実に見事に罠は回避された。


たとえば、最初の部屋は10cmほどの球体が所狭しと転がっている部屋。

その部屋には何かがあるのはわかるが、その何かを見ることはなかった。

というのも、出口から入り口までロープと滑車が備え付けられ、

足を地につけることなく部屋を素通りできたからだ。


そんな感じで、4つの部屋が何の苦労もなく通り過ぎる。

トアルもレイモンも、余りに拍子抜けして、気が抜けそうになった。


そして今、泥皮の部屋にいるのだが、

本来なら泥の上澄の乾表皮が何層にも重なった場所で、

その下は底が見えない落とし穴のはずなのだが、

その上にレールのように敷かれた太めの木の板が通路のように道をつくっていた。


それを見れば、この部屋には落し穴以外にあるのは5つの地点のみだとわかる。

その地点を繋ぐように板が渡され出口まで繋がっている。


その様子は沼を渡る橋桁のようだ。


その道をフィオン、レイモン、トアル、エリオットはすたすたと進んでいる。

フィオンにいたっては、実にスキップをしそうなほどに足取りは軽い。


「はあ、地図をみると、さっきの部屋は毒ミミズの部屋で、その前は毒矢が振ってくる部屋。

 最初は確か球の部屋だったよね。

 それを歩きもせず悠々と越えたし、楽といえば楽だけど。

 今回の泥の部屋も難所のはずなんだけどねえ」


トアルの長いため息に、レイモンは嬉しそうに歯切れよく笑う。


「がはは。いいじゃねえか。 体力を温存しておけってことだろ。

 正直、良い事じゃねえか。感謝、感謝だろ」


バンバンと背中を叩かれて、トアルはレイモンを睨む。


「痛いよ。 単純な奴はこれだからいいよね。

 でも、何も無いといろいろ考えちゃうんだよね」


レイモンが首を傾げる。


「何だよ」


「レヴィウス達の方は、どうなんだろうなってね」


レイモンは今始めて思いついたように手を叩く。


「ああ、そういやあそうだな。

 あいつらも同じ様に楽してっかな」


先頭を歩くフィオンがくるりと振り向くと、にやっと笑った。


「あっちはこんな単純な道できない場所ばかりだからね。

 苦労していると思うよ。

 実際、俺達里の人間でもあの蜘蛛の部屋まではよく行くんだ。

 どこにどんな罠があってどうしたらいいかなんて子供でも知ってる。

 だから、こんな道が出来るし、実際この道以外の抜け道もある。

 そっちのほうが安全だから、里の人間はあちらの方の道しか使わないけどね」


白い歯をきらりと輝かせて楽しそうにフィオンは話す。


「へえ、なら罠の場所を知ってればこんなに楽に行けるんだ」


トアルが感心しつつ、何かを探るような視線をフィオンに送る。

それに対して、フィオンはにこやかな笑顔で答える。


「あの蜘蛛の部屋までは、レグドールの子供達の遊び場でもあるからな。

 危険はあるが、怪我しないように幾つかは罠を潰してある。

 だけど、蜘蛛の部屋から先はなにもしてないよ。

 何もね、出来ないが正解だな。

 甲花虫の部屋に、断崖絶壁、蛇の部屋に、毒さそり。あと何だったか。

 大変だな、本当に」


その笑顔と何もしていないと強調した言葉に続く罠の種類、

思わずレイモンとトアルは合掌したくなった。


一足早く泥の部屋を抜けたフィオンの元に、

その場で待っていた部下によって一枚の紙が渡される。


フィオンはその紙を手早く見ながら、部下に頷いた。


「ご苦労。後は指示通りに」


軽く頭を下げると部下はすっと暗闇に溶けるように居なくなる。

それをみたら、目の前の男は本当に闇の影なんだと実感する。


フィオンは、持っていた紙を指先で小さく小さく、

正にみじん切りのようにちぎって松明の上で焼いた。


そして、にこやかに微笑みながら、トアル達に告げた。


「まあ、死にはしないだろ。 ゼノさんも居る事だし。

 もしかしたら何処かで止まっているかもしれないけどね。

 ああ、そうそう。さっきの手紙だけど、コナーさん、見つかったそうだよ」


フィオンが、けろっとした様子で手紙の内容を簡単に口に出した。

あんなにも真剣な顔で、手紙を微塵にして焼く内容なのだから、

実は大変なことなのかもしれないと思っていただけに、

予測の差異に戸惑いの方が先に来る。


4人とも、気がつけば泥の部屋を暢気に話をしながら抜けていた。

硬い岩の感触を足元に感じて、下を向いていた顔が一気にフィオンに向く。


「え? コ、コナーが見つかったって、ぶ、無事なのか?」


一瞬送れて、レイモンが口を噛みそうな様子でフィオンに尋ねる。


「ああ、足を軽く怪我している様子だけど、

 元気に学者達に混ざって仕事しているらしい」


フィオンの言葉に、トアルもレイモンも大きなため息をついた。


「はああ、なんだよ。心配させやがって」


「本当だよ、まあ、無事なら良いけど」


二人の明るい顔に、エリオットも普段は崩さない顔に笑みを浮かべて

労いの言葉をかける。


「よかったですね。ご友人が無事で、なによりです」


3人が明るい和やかな雰囲気で談義していると、

フィオンがとんとんっとトアルの肩を叩いた。


「この先に、俺達が用意した唯の部屋がある。

 今夜、そこにコナーを連れてくるように指示している。

 君達二人は、その部屋で待機していろ。

 エリオット、お前は俺の部下と祭りの進行の状況、人員配置の確認と、

 脱出の手筈を整えているはずだから、それを確認して最終確認を」


その的確な指示の出し方に、トアルもレイモンもレヴィウスを思い出した。

レヴィウスが自分達のリーダーであると同じく、

この男も闇の影を束ねるリーダーであるのだと納得する。


「わかりました。それで、貴方はどうするのですか?

 その口調では、我々と行動を共にするようには聞こえませんが」


エリオットの切り替えしに、トアルとレイモンも驚いた。

頼りになる案内人が突然いなくなることが解かって、

いきなりの不安に襲われる。


「え? そ、そうなんですか」


眼鏡をずり落しそうな勢いでトアルが尋ねると、

フィオンは軽く苦笑して肩をあげた。


「俺の仕事の一つは案内人さ。

 お目当てのコナーって学者の所まで案内する。

 それから先は、案内人は必要ない。

 部屋までは一緒に行くが、手筈は全て整っている。

 最終的に問題がなければ、俺は好きにする」


その口調にエリオットが眉を顰める。


「祭りの妨害、学者達の救出までが貴方の仕事でしょう」


そのとたんに、フィオンの雰囲気ががらりと変わった。

今までの親しげな顔が嘘のように冷たい顔になり、切る様な視線でエリオットを睨む。


「違うな。そちらは協力だ。仕事としては請け負っていない。

 俺達は、ゼノ総長の計画通りにことが運ぶよう協力するだけだ。

 つまり、邪魔が入らないように、極力協力を惜しまないというだけだ。

 間違えるな。俺達はお前達の部下ではない」


その眼光の鋭さに、エリオットも言葉をぐっとかみ締めるに留まった。

重く暗い、殺気にも似た威圧感が辺りに充満する。

ピーンと張り詰めたような空気が漂う。


その空気に息が詰まりそうになり、

雰囲気を変えようと慌ててトアルが話題を変える。


「あー、フィオンさん、もし差し支えなければどこにいくのか聞いても?」


フィオンの目から、鋭い眼光がふっと消え威圧感も感じられなくなる。


「俺はもう一つの依頼を受けているからな。

 あっちを遂行しに行くのさ。当然だろ」


くくくっと楽しそうに笑いながら、フィオンが歌うように話す。

無邪気な子供のような顔で、瞳を煌めかした。

余りの雰囲気の変わりように、些かついて行けないレイモンが質問した。


「もう一つの依頼って、なんだ?」


「あの子の護衛さ。あっちは俺が個人で受けたし、報酬も貰ってる。

 だから、完遂しないといけない。だろう?」


あの子という表現に、トアルの頭の中でメイの顔がポンと浮かんだ。


「ああ、そういえば、護衛を王城から頼まれたって言ってたね。

 ということは、あっちの大変な罠の所に行くのかい?」


トアルの顔が、いかにも同情に満ちた顔に変わる。

それに対して、フィオンがにこやかに笑う。


「同じ道は行かないさ。もちろん。

 里の住人だけが知る道があるのさ。 

 もちろん祭りの最中だから、里の住民がうろうろしている。

 よそ者は通れないけど、俺だけならば問題ない」


その言葉でほっとする一方で、なんだかズルイと思うのは、

トアルだけではないだろう。

ふと横をみると、エリオットもレイモンも複雑な顔をしている。


「俺は俺の仕事をしにいくのさ。

 結果的に、ゼノさんの手助けになるかもしれないが、

 あの子の側で護衛って楽しい仕事をするのさ」


問題ないだろうっと嬉しそうに笑うフィオンに、トアルはふっと疑問がわいた。

眼鏡に位置を直し、背筋を正して目上の人に対するような態度に改める。

そして、思いつくままに真剣な顔で言葉を口にした。


「フィオンさん、聞いてもいいですか?

 本当のところ、貴方はメイさんのことどう思っているんですか?」


フィオンは、にーっこりと深い作り笑いを浮かべて答えた。

一部の慇懃な態度を崩さす、当たり障りのない態度で応える。


「本当のところね。 面白いとしか今は言えないな。

 あの子は、エルダ(雑草)のようにしぶとく逞しい印象をもつ一方で、

 今にも何処かに消えそうな程儚く見える。

 目の前にいるのに掴めない、手を伸ばしても触れない。

 まるで、どこかの蜃気楼のような錯覚を思い起こさせる。

 会えば会うほどに、どんどん違う顔を見せる。

 その顔を見つけるごとに、子供のように心が弾む。 

 実に面白く興味深い女だアレは。今の俺の一番の関心事だな」


面白いおもちゃを手に入れようとしている子供のような言葉と、

かなりの執着心を感じさせる内容にトアルは眉を顰める。


「関心があるだけですか。特に異性としての興味ではなく?」


「さあね。先のことなど、まだどうなるかわからない。

 が、無くは無いとだけ言っておこう。

 なにしろ、ここまで面白い女はなかなかお目にかかれないからな」


楽しそうに何かを思い出して笑っているフィオンに焦りを感じて、

トアルは声をあげた。


「メイさんは、レヴィウスが……」


「なんだ、お仲間の心配か? 

 基本、男女の仲は、当事者以外は馬に蹴られるのがおちだ。

 アンタたちが気にすることじゃない」


その自信有りげな様子に、レイモンが首を傾げる。


「なあ、どっから来るんだ?その自信」


その質問に、フィオンは目を数回瞬かして、不敵な笑みを浮かべた。


「それは、男としての矜持だな。

 昔から自信のある男に女は惚れるものだ。

 俺に取られるなら、俺の方が男として上回っているだけのことだ」


その顔と言葉に、レイモンはむっとして返答する。


「お前がどうかは知らねえが、レヴィウスは最高の男だ。

 お前に安々と負ける訳ねえ」


フィオンは、指で顎を軽く摩り、その言葉に面白そうに答える。


「いいね。実に燃えるよ。

 だけど、最高の男が女心を掴むとは限らないさ。

 最低の男が、最高の男を負かすなんてことがあるのが男女の仲というものさ」


くくくっと喉を鳴らすように笑うフィオンに底知れないものを感じて、

レイモンは冷たい水を頭から掛けられたように、背中が寒くなった。



この話は終わりだとばかりに、そのままくるりと向きを変え、

フィオンは足を先に向けて歩き出した。

無造作に歩いているのに、足音一つ立てない。


その後姿は、しなやかな猛獣を思い起こさせる。

いつでも飛び掛り、牙を剥く獰猛な野生の猛獣。


その後姿を目で追いながら、トアル、レイモン、エリオットの3人は

メイに対して心の底から祈った。


近寄ると絶対に喰われる。

メイとフィオンじゃあ、羊とトラだ。

だから、絶対、メイがこんな男に捕まりませんようにと。


そして、同じく心の底から声援を送った。


レヴィウス、頑張れ! と。





**********











愉快な声援を違う場所で受けている肝心の2人は、

相変わらずの攻防を続けているようにゼノには見えた。


つまり、レヴィウスが迫って、メイが微妙に解かっていない。


一進一退に見える攻防だ。


今は、無事に全員揃って蛇の部屋を抜け、一息ついたところで休憩を入れた。

時間としては、真夜中。

ここで休憩を入れないと地下層に入るまで休む場所がない。


今居る場所は、さそりの部屋の入る手前のからくり部屋だ。


からくりを解くと次に行けるが、解けなければずっとこの部屋から出られない。

それ以外に問題らしい問題は特に無い部屋なので、ここで一息つくことにしたのだ。


自分達がからくりと先の道について話をしているのに対して、

メイは、猿を腕に抱いてカースの荷物を枕に、しっかりと寝ている。


実に平和的な光景だ。

こんな場所でも、すやすやと寝られる神経を持つメイは、実は、

緊張感が太いのではないかと疑いたくなるようなほど幸せそうに寝ている。



レヴィウスは、そんなメイからけっして目を逸らさず、

常に彼女を気にして、いつでも手の届く場所に移動していた。


メイが躓けば支え、転びそうになれば抱えあげる。


先ほども、疲労の色が見え始めたメイを、腰に手を回して抱き寄せていた。

メイが、真っ赤な顔であうあうと些か呼吸困難になっているのを見て、

やっと手を放したくらいだ。


随分と接触過多である。


そんなレヴィウスに、ゼノは面白そうにしながらも疑問を投げかけた。


「おい、メイちゃんに迫りすぎじゃねえのか?

 反応が面白いのはわかるが、お前らしくねえ、焦りすぎじゃねえか」


カースも苦笑いしながら、ゼノの言葉に賛同する。


「そうですね。真っ赤になったり、青くなったり忙しく面白いですね。

 唯さえメイは、注意力散漫気味なのですから、程ほどにしては」


レヴィウスは苦笑しながら首を振った。


「別に、メイで遊んでいるわけではない。

 俺は真剣マジメそのものだ。 

 だが、そうだな、確かに、俺は焦っているのだろう。

 メイの中に、俺に対しての好意は見える。

 だが、肝心のメイの心がどこか遠いところにある気がするんだ」


ゼノは、そのレヴィウスの言葉を、驚いて聞いた。


「レヴィウス、お前が弱音を吐くのを初めて聞いたぞ」


カースも、レヴィウスの言葉と表情に驚いた顔をしている。


「それは・・・メイは単純なのですから、気のせいでは?」


レヴィウスが首を振って目を細め、

今までに見せた事のない気弱そうな光を目に浮かべる。


「俺は、まだメイの心を捕まえていない。

 それは、解かるんだ。男だからな。

 惚れた女が心を返してくれたら解かるさ、だろう。

 何かが邪魔しているんだ。

 それが解からない。

 それに、何かがやってくるような気がして、焦っている。

 メイが俺の知らない何かを見ている気がしてならない。

 多分、俺は不安なんだ。

 メイの心の唯一になりたいのに、どうしたらいいかわからない」



その言葉に、ゼノは自分にも覚えがあると過去の苦い記憶を思い起こした。

これは恋に、愛に狂った昔の自分と同じ。

決して手に入らなかった女の姿を瞼の裏に思い浮かべた。


ゼノは過去を振り切るように首を振り、大きくため息をついた。


レヴィウスの肩を抱き、父親として、そして人生の先輩として、

息子を励ますように、その背をばんばんと叩いた。


「息子よ。お前もだなあ。

 本気で惚れると、女の心がわからなくて不安になるもんだ。

 俺も、お前の母さんに何度も、何度も、足掻いたし挫けた。

 男の沽券を捨て、頼むから側に居てくれと縋りついた事もある。

 それくらい女ってもんは、さっぱりわからん生き物だ。

 だから大きな顔では言えねえが、まあ頑張れ。

 俺は応援している」


カースも仕方が無いなあという顔をして、レヴィウスの背を軽く叩いた。


「レヴィウスが本気なのはわかってました。

 私は、メイの兄ですから、メイが応えるのならば応援しますよ」


レヴィウスは驚いた顔を一瞬したが、迷いの無いカースの表情に、

そうかっと小さく呟いただけに留まった。 


ゼノも、カースの表情をじっと見つめて、なにかあったなと思ったが、

悪い兆候は見られないので、まあいいかと肩をすくめただけにおさめた。


「お? そうすると、メイちゃんは将来、俺の娘になるのか?

 娘、いい響きだなあ。 よし、きりきりと落せよ。

 唯さえもライバル多めなんだからな。油断するなよ。

 早く手に入れないと、爺に先を越されて、

 気がつけばメイちゃんは爺の孫の嫁にされるかもしれん」


不吉なことを言うゼノに、カースの冷たい視線が落された。


「そんな輩にメイを渡すわけないでしょう」


「いーや、わからんぞ。

 お前達全員船に乗っちまうだろうが。

 メイちゃんは一人残されて、王城に働くことになるかもしれねえだろ。

 そうしたら、あのお人よしのメイちゃんだぞ。百戦錬磨の爺に敵うと思うか?

 知らない内に婚姻証明書とかに、チョロっとサインさせられるかもしれねえ。

 うわ、考えたらありそうな気がしてきた」


指で予想を数えながら、不吉な予言を言い放つゼノの足を、

レヴィウスが思いっきり踏んだ。


片足を押さえて涙目になるゼノの残りの足の上にも、

非情にもカースの右足が思いっきり踏み降ろされた。


うぎゃあああっというゼノの情けない鳴き声にメイが驚いて目を覚まして、

寝ぼけた顔でなにがあったのかと目で問いかけてくる。

カースとレヴィウスがメイの視界を遮り、なんでもないと極上の微笑みを向けた。


「気にしないでいいですよ、メイ」


「ああ、安心して休め、俺達が側にいる」



その微笑に、メイはほっと安心して重い瞼を下ろした。

後ろで転がっているゼノのことは勿論見えていない。


すうすうと寝息を立て始めたメイの寝顔をレヴィウスがそっと愛しそうに撫で、

その頬に、鼻先に軽い口付けを落していく。


カースは毛布からはみ出ているメイの肩を毛布の中に戻し、

毛布の上からその肩をゆっくりと撫でた。



夜は更けていく。


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