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箱をあけよう  作者: ひろりん
第4章:王城編
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マリアの決意と意地

侍従長達が、拝殿の下の仕掛けに気づいたようだ。

メイは、万が一の望みを掛けて、鍵を天窓から落とそうとロープをよじ登った。

こんな瀬戸際なのに、未来を決して諦めていないメイの姿は、若さゆえであろうか。

マリアには眩しく、どこか羨ましかった。


そして、私にもあんな風に諦めない自分が、かつて存在していただろうかと、

ふと自分の過去を振り返り、苦笑した。

かつての自分は、メイの様では決してなかったことを、思い出したからだ。


マリアは、上に居るメイの姿を憧憬をまじえながら見つめた後、

ほぼ無意識で、側に居た紫の腕を引っ張っていた。


振り返った紫に、感情に浮かされるままに言葉を放つ。


「貴方は、急いでベッドの下に隠れなさい。

 彼らは、貴方の存在を知りません。

 隠れていれば、貴方の命は助かるやもしれません。」


マリアのその言葉と態度に、紫は目を瞬かせる。


「僕の命を貴方が惜しむの? 何故?

 僕の存在がばれても、今更なんだろう。」


紫の顔が、今までに見たことの無い泣きそうな顔に歪んだ。

その顔を見た時、マリアは、自身の顔が緩むのがわかった。

そして、自分が言った言葉は、正しい言葉であったと確信する。


この顔は、シオンとそっくりだ。

この子も確かに、私が生んだ私の子なのだと。


そう確信したら、今まで押さえてきた蓋が外れ、

何かが、マリアの心から溢れ出て零れていくのがわかった。


(神が全てではない。)


メイの言葉は、本当は私が望んでいた真実。

頭で否定し、知ろうとしなかった真実。


(この子は悪魔などではない。)


それがわかった時、私は、今度こそ本当に、今まで信じていた司教様や

彼らの言う神の教えを疑い、そして、理解したのだ。


私が、今まで信じていた全てこそが陽炎であったと。


本当の陽炎は逆だったのだ。

神を信じ、神を求めていた私のあの世界こそが、陽炎。


本当は、私は陽炎から出たいのだとメイは言った。

そこから出てきたら、私は、私に戻れるだろうか。


神の責任ではなく、私がしたことは、私の責任。

そう認めてしまえば、私の意志は、きっと私に帰る。

それでいい。


心にすとんと落ちてきた。


これから受け入れる真実が、陽炎であった世界を消すだろう。


神と言う名の陽炎は、消える時なのかもしれない。


今まで私を守ってきた神と言う名の陽炎、それを消し去るのは、

闇に足を踏み入れるがごとくに恐怖を感じる。

だけど、上に居るメイを見上げて、メイがそこに居てくれることに力が抜け、息をつく。

私は一人ではないのだとメイは言ってくれた。

そのことが、たとえようもなく、マリアを落ち着かせていた。


私を私として見てくれる、私を知るためにあがいてくれるメイがいる。

私が何をしていたとしても、彼女は私を、私として見てくれるだろう。


メイの真っ直ぐに私を見る目は、その私の勝手な憶測を希望に変えて、

今、力強く私を支えてくれていた。



私は、私になるために、陽炎から足を踏み出す。


今が、その時。



「今更でしょう。ですが、貴方を助けさせて下さい。

 私は、私のしてきたことに対しての責任をとるのです。

 貴方には、何の咎もない。

 ならば、親として子供を守るのは私の役目。」


発した親という言葉の響きが、マリアには耳に甘く残る。

今のマリアにとって、自分が親であることは唯一残った確かな称号となっていた。

事実を伴った暖かな響きが心地よい。


「最後に親になるって。貴方は、勝手過ぎるだろう。」


勝手なことを言っている事は、マリアも十分承知している。

だけど、反論するも掴まれた腕を紫は振り払おうとはしない。

それどころか、マリアの手の上にそっとその細い手を重ねた。

そのしぐさに、何故だか涙がつうっとマリアの頬を伝った。


(紫は優しい子ですよ。)


先程聞いたメイの言葉に、今ならそうだと言える。

この子は、優しい子だ。 私よりもずっと。


「そうね、勝手だわ。 でも、紫、貴方は生きて下さい。

 私は、今まで、何者にもなれなかったし、成ろうとしなかった。

 だけど今、やっと私になれる。

 最初で最後かもしれない、私が決めた私の決断。

 紫、貴方には生きていて欲しいのです。」


マリアの手がそっと紫の頬に伸ばされた。


自分の頬を勝手に流れていく涙に、感情なんてない。

悲しいのでも、嬉しいのでもなく、ただ、何かの感情が溢れて涙が止まらないのだ。

だけど、始めて自分から触れた我が子の温もりに、心がたとえようもなく震える。



「そんな自分本位な理由で、僕だけ隠れてろっていうの。」



紫が初めて触れるマリアの手のぬくもりは、初めて知る親の手の暖かさ。

その温もりと共に、紫は気がついていた。


マリアが、自分を始めて紫と呼んだ意味を。

その意味がもたらすものこそ、自分がものごころついた頃から欲してきたもの。


失くしたくない、そんな思いでその手の上に、自身の冷たい手を重ねていた。

同時に、マリアの瞳の強さに、迷いはないのだと理解していた。

だからこそ、紫の選べる答えは一つしかなかった。


「わかった。」


マリアの懇願にも近い提案を、紫は受け入れる。

初めて浴びる親からの子供への視線と言葉、それを失いたくなかったから。



男達の足音が近くまで迫っていた。


この部屋の、小さな出入口についている小さな扉。

ぱっと見たところ、簡素な鍵がついているだけだ。

あれでは、あっという間に押し入ってくるだろう。


もう、時間が無い。


「さあ、紫。ベッドの下に隠れなさい。

 いいですね。 何があっても決して出てきてはいけませんよ。」


紫は、背中を押されて、床にしゃがみ込む。

床に体を這うようにして、ベッドの奥まで腹這いで進んだ。



**********




上がってくる男達の足音が近づいている。


鍵を投げた時、腕輪の中から、照が鍵を追って飛び出したのに気がついた。

照ならば、必ず、ステファンさんに鍵を届けてくれる。


そう信じて、呼吸を整える間も惜しく、急いでロープをつたって下に降りた。

帰ってくる照の為にあけたままにしていた天窓が、強風に煽られて、

バタンと大きな音をたてて閉まった。 その衝撃で窓の掛金が落ちる。


床に降りたとき、紫の姿は見えず、王妃様が一人私の側に立っていた。


「あの子には、隠れているように言いました。

 ここに私達が居て、無事に彼らに捕まれば、彼らはあの子を探しはしないでしょう。」


マリア王妃は、私に向かって、目を細めて優しく微笑んだ。

何がどうなって、そうなったのかわからないが、

とにかく、隠れていることで紫は、難を逃れることが出来る。


それならば、問題無い。

うん。


王妃様に頷き、私は王妃様と一緒に部屋の隅まで、移動した。


何度も何度も、蹴りつけているのであろうと推測される音が外からする。

みしみしと、入り口の小さな木の扉が壊れていく。


王妃様は、ごくりと唾液を飲み込み、左手を胸に、そして、右手を空中に彷徨わせた。

私は、伸ばされた王妃様の手を、ぎゅっと握り、その瞳を見返した。


絶対に、生きて帰る。


そんな意志をこめて、しっかりと王妃様の目を見つめる。

私の視線に、王妃様もコクリと頷き、手を私に負けないくらいに強く握り返してきた。



バリッ、バアン。



小さいながらも、思ったよりも長く持ちこたえられていた木の扉が、

ついに、蹴り破られた。


そして、先程と変わらず、場所を選ばないニコニコ笑顔の侍従長さんを先頭に、

部屋の中に3人の男が入ってきた。


「やっと見つけましたよ。

 まさかこのような仕掛けがこの塔にあるとは、思いもしませんでした。

 お陰で、随分と不味いことになっています。」


部屋に入ってきた侍従長は、部屋の中を改めて見回した。

そして、感嘆するように、ため息を漏らした。


「それにしても、見事なものですね。

 ここは、隠し部屋というものですね。 なんと、下が全て見通せる。

 なるほど、貴方の秘密の部屋というわけですか。

 このような仕組みを早くに教えていただいていれば、我々で有効に活用できたものを。」


侍従長さんは、ニコニコ笑顔のままで、私達に近づき、1mほどの手前で立ち止まった。

そして、とっさに王妃様を庇うように両手を王妃様の体に回した私を見下ろし、

その右手がふいに上がった。



ガツッ。



私の左頬に、侍従長の握りこぶしが、容赦なく振り下ろされた。


くる。

そう思ったから、反射的に顎を引き、目を閉じ、歯をかみ締めていた。


だから、その痛みとじんじんするような熱さには耐えられたが、

目を開けたら、目の前に星が飛んで、頭がくらくらした。

口の中に、ざらっとした血の味が広がる。

どこか、口の中が切れたのだろう。 左の口の端から、血が滴り落ちた。


「ふん。 お前のお陰で、随分と不味いことになった。

 軍部の雌犬め。 本当に、この国のことを憂えているのは、私なのだぞ。

 それを、理解しようとしない愚民は鬱陶しいことこの上ない。」


「女性に暴力を振るうのは、お止めなさい。シグルド。」


王妃様の言葉が、私の頭に反響する。

あ、耳の鼓膜もおかしいし、なんだか視界がぐらぐらする。



「王妃様、いや、偽王妃様と言うべきですかな。

 貴方に私に命令する権利など無いと言う事が、まだお分かりでないのですか?」


まさか平手ではなく、拳だとは。

予想外の痛さに、頬骨が、目の淵が痛いです。


「これは、命令ではなく、お願いです。」


足を覚束なくさせ始めた私の肩を、王妃様が後ろから支えてくれた。

あ、なんとか、耳のゆれが治まってきた。

二人の会話が、少しずつ耳から脳に届き始めた。



「ふん、そうでしょう。 貴方は、私どもに従うしかないのですよ。

 貴方にとって全ては、アトス信教の神の指示ですからね。

 貴方や教皇がアトス神に選ばれた民であるように、 

 この国は、私達、選ばれた民によって、導かれるべきなのです。

 王は、それをわかっていらっしゃらない。

 それどころか、私達を罪に落とそうなどと、馬鹿なことを考えているのです。」


下から、見上げる侍従長の顔は、先程と変わらず鉄壁のニコニコ笑顔。


「情報を隣国に売り渡し、報酬を得ることは罪でしょう。」


「王に、我々の価値をきちんと評価していただけなかったからです。

 私達にふさわしい地位と身分と用意して、選民としての自覚をもっていただく。

 そのための苦渋の選択です。」


「不幸にも孤児になった子供達を、隣国に売り渡すのは罪ではないのですか。」


「孤児ならばこそ、新しい主人に仕えるのになんの支障もないでしょう。」


は?

侍従長、話が捻じ曲がってませんか。

解釈の相違というには、あまりにもだ。


「この国の若い女性を騙して、売り飛ばしたり、海賊に差し出すのは罪でしょう。」

 

「愚民は、選民を支えるものなのですよ。

 私達の糧と成れて、彼らも喜ばしいというものです。」



ああ、話が通じない。

宇宙人と話している気がする。


「この国の人々に、麻薬をばら撒くのも、罪ではないというのですか?」


「麻薬とは人聞きが悪いですね。

 あれは、我々の言う事を聞いてもらうためのちょっとした薬ですよ。

 そもそも、あの薬は王妃様、貴方の父上であった教皇の派閥の方々が、

 普段からお使いのものですよ。

 教会で説法の合間にたかれる香炉には、あの薬が入れられているのです。

 だからこそ、簡単に我々が手に入れられるのですがね。

 解毒薬を先に飲んでおけば、我々に害はありませんし、素晴らしい薬だと思いませんか。

 まあ、切れると麻薬と同じく、禁断症状が出ますがね。」

 

「そんな……教会の香炉で薬をたいていたなど。」


「おや、今までおかしいと思いませんでしたか?

 アトス信教の信徒は、教区の司祭の教えや言いつけには、絶対に逆らわない。

 そして、アトス教徒は定期的に教会に通ってくるのですよ。 供物とともにね。

 教区の司祭達は、そんなふうにして人間を操っていたのです。洗脳の一種ですね。」


ま、麻薬に洗脳ですか。

そんなことまで。

そういわれれば、王妃様の神に傾倒していたころの顔って、何かに酔ってるみたいだった。

王妃様も、薬で洗脳されていたということでしょうか。



でも、侍従長さん、本当は馬鹿だけじゃなく、アホなのかもしれない。

人を導くのは自分だとかなんとか言っちゃって、その導く民を薬漬けにしてどうするのだ。


「国費を私的に流用するのは、罪ではないのですか?」


「この国は、我々のもの。

 ならば、我々が自由に使って何が悪い。

 貴重な国費を、役に立たない愚民達のための孤児院や病院にあてることこそ、無駄というもの。

 王にはそれが、わかっていらっしゃらないのですよ。」


なんと、使い込みですか。

いやあ、そこまで堂々と言い切るのは、ちょっと呆れを通り越して、

天晴れな極悪人と言いたいところですが、ここに乗り込んできた時点でアウトでしょう。



「それらを知っていながら、黙認していたのは貴方ですよ、王妃様。

 私達を罪というのなら、貴方は私達と同罪です。

 今までと同じく、持ちつ持たれつで仲良くいこうではありませんか。

 さあ、王妃様、貴方は私達にとって最後の切り札です。

 私達が、無事にこの塔を、この国を出る為の人質になっていただきます。」


侍従長が一歩後ろに下がり、私の顔を見て、くっと笑った。


「軍部の雌犬、お前は、ここで死んでもらう。」


侍従長の後ろから進み出た、鼻を赤くした人が、シャッと短剣を抜いた。

そのまま、私に向けてゆっくりと近づく。

逃げる場所はないし、今、ここで、私に出来ることなどない。

私は、その男を、向かってくるナイフを、ただ睨みつけるしかできなかった。


あれで、切られたり刺されたりしたら、痛いじゃすまないよね。

4つ柱の神様達は、死なない保証をくれたけど、

あれは、天で死なない、地で死なない、海で死なないだったような気がする。


ここは、塔の上。

と言う事は、加護が受けられないかもしれない。

心臓が、今更のように漠々と音を立てる。



刺されても切られても、絶対、死ぬもんか。

人間気力でなんとかなるもんだって言ったのは、高校の時の体育の先生だった気がする。



こんな馬鹿に殺されるなんて、絶対に嫌だ。

明日には、レヴィ船長に会えるのに。

レヴィ船長の緑の目に、会わずに死ぬなんて、そうなったら絶対化けて出てやる。



鈍く光る短剣の切っ先を、怨念を込めながら息を殺してじっと見ていたら、

王妃様が私の手を解き、私の前に進み出た。


「おや、なんのつもりですか?」


「この子は、私の侍女で、私は王妃です。

 私は、私の国民を守る義務があります。

 この子を殺したなら、私はここで、舌を噛み切りましょう。

 舌を噛み切れないまでも、絶対にあなた方の人質にはなりません。」


私の前に立ちふさがった王妃様は、ぎゅっと服の端を掴み、

いつもの人形顔で侍従長に言い返していた。

だけど、握った手はかすかに震えていた。


「ふん。偽者ごときが偉そうな口を利くものよ。」


「私は本気です。 偽であろうと私は王妃。

 それは、間違えようも無い事実なのですから。

 そうでなければ、人質にはなりえないでしょう。」


侍従長は眉を顰めて、ニコニコ顔を崩して、嫌悪を露にする。

だが、頭の中で何かの計算が働いたのだろう。

小さく息を吐き、肩をすくめた。


「……まあいい。 おい、その侍女を殺すのは止めだ。

 ここで殺しても、面倒なだけだしな。

 ここを無事出たら、あの方を通してこいつも売り払えばいい。」


侍従長は、いかにも汚いものでも見るかのように、私を見下した。

侍従長の言葉に、王妃様がほっとため息をついた。


王妃様は、自分の命を掛けて、私を助けてくれたんだ。

やっぱり、紫の母親で、シオンの母親だ。

二人に似て、優しい人だ。

いや、この場合、二人が王妃様に似たのか。


「とにかく、この部屋から降りるぞ。

 ここに居ても、時間が過ぎるだけだ。

 朝が来るまでに、この塔からでて、約束の場所まで向かうぞ。」


侍従長が、王妃様の左腕をぐいっと掴み、そのまま出入口に向かって引っ張って行き、

階段を降りていった。

私は、そのすぐ後を、男達に突き飛ばされるように背中を押されて、出入口から降りていった。





*********





誰も居なくなった部屋のベッドの下で、自分が本当に何も知らなかったのだと、

いや、知ろうとしていなかったのだと、紫はただ実感していた。


マリアの本当の姿も、自分自身の本当の望みも、メイの言葉の意味も。


マリアの本当の姿。

凛として、侍従長に罪の有無を問答していたマリアは立派な王妃に見えた。


そして、自分に見せた迷いの無い瞳。

あれは、メイによって変えられた、きっぱりと意志のみえる瞳。


初めて、親と宣言した時の表情と涙。

暖かな柔らかみのある頬に伸ばされた手のひら。

その全てが、紫が始めて見るものだった。



ほんのわずかな時間で、マリアは変わってしまった。

その変化は一様に良いものなんだろう。

人形が感情豊かな人間に変身したとしか思えない。

マリアの強い瞳は、メイに対する信頼を一身に寄せていた。


ほんのわずかの会話で、紫はメイを信じてもいいと思い始めていた。

なぜならメイの言葉には嘘がないとわかるから。

全身で真っ直ぐに返してくれる感情と態度が、自分とマリアに確かな信頼を積み上げた。


メイに叩かれた頬はまだほのかに熱い。

そっと、頬に手をあてた。

ぼろぼろと僕の為に泣いてくれ、怒ってくれたメイの顔を思い出した。


どうして、あんなことが出来るのだろう。

そして、どうして、僕はメイの言葉を嬉しいと思ってしまうのだろう。

わからない。


マリアを庇って殴られていたメイの姿が、目に焼きついていた。

王妃が何をしていても、王妃が偽者と言われても、

それでもなお、マリアを守ろうとしたメイ。


働き始めたばかりで、アトス信者でもないメイには、王妃を体を張って庇う必要など無いはずだ。

なのに、彼女は侍従長に一歩も引かない。


忠義とか、正義とかではなく、それは、一体何のため?

まったくもって、さっぱりわからない。


そして、知りたいと思った。

メイの行動の心理を。


知りたいと思った。

メイを信じ始めている自分の心を。


知りたいと思った。

自分に何が出来るのか。


そして、わかりかけてきた。

メイの言葉の、僕の真実という意味が。

知りたいと思うことの、本当の意味を。


紫は、自分の未来を、真実を初めて見つけたいと思った。


そのためには自分はどうするべきか、じっと考えて、ベッドの下から這い出した。



 

 

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