act FINAL.未来へ [Evolution]
刻まれた
―残酷な運命。
「最後の使命……鎖牙を……いや、鎖術界をなくすことが……僕の使命」
「鎖術界そのものを消す……?」
少年はフッと吐き捨て、バカにするように笑い出す。
「ハハハッ!! 鎖術をなくしたりしたら、人間の絆は……鎖牙たちのやり放題だ!!」
「ああ、それがどうした?」
「は?」
グレイのあっさりとした返事に、聞き返してしまう。
「鎖牙に鎖……つまり絆が砕かれる。だから何だ?」
「…何だと?」
「砕かれた鎖を……再び繋ぎあわせることが、人間にはできるんだ!!」
グレイはそう言って、円を描く。これは鎖術陣と呼ばれる、上級以上の鎖術を使うために用いられるものだ。
「馬鹿馬鹿しい!そんな綺麗事っ!」
―\"永劫封鎖"(エターナル・チェインズ)!!
その空間一帯を青い光が覆い尽くす。
「こいつ……本気かっ!?」
「ぐああぁあぁっ!!!」
グレイの叫び声が、あたり一帯に響き渡っていた。
光が収まったころ、周りを見渡しても、グレイの姿はなかった。
そして、あの鎖牙の少年も。
気づけば、鎖が見えなくなっていた。
「グレイ……が、鎖を消したんだ…」
グレイの最後に使った鎖術"永劫封鎖"が、私たちの世界にどんな影響をもたらすのかは、わからない。
けど、人間が変わるために、必要なことだったかもしれない。
人が、解かれた絆を再び固めるため。
人が、結ばれた絆を繋ぎ留めるため。
―人が、強くなるため。
読んでくださった皆さん、ありがとうございます。
この作品、展開等が唐突すぎな感じがありましたが、自分なりに伝えたいことは表現できたかと。
次回作を書く機会があれば、そちらもよろしくお願いします。