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Chain  作者: 進道 悠輝
5/7

act 4.堕天使 [Angel or Devil]

闇に堕ちた


―天使。



「誰……?」

「誰、か……あんたこそ誰だよ?」

少年は苛立ったような口調で、吐き捨てるように言った。

隣に座り込む、狼のような魔物は牙を見せて唸っている。

しかし、思ったよりも小さく、子犬程度の大きさである。

「コイツ、腹減ってんだよなぁ……」

「だから……なんですかね?」

グレイは、威圧感を持った力強い口調で聞き返す。

グレイは右腕に、左手を支えるように重ねる。辺りの空気中に目に見えるほどの大きな閃光が蠢き、一点、グレイの右腕に集まる。刃を形成するかのように、光は形を変えた。

「知ってます? 僕も鎖術師なんすよ」

「ハハ。その程度の鎖術じゃあ……ざっと階級は、クラスDってとこか?」

少年は笑いながら、グレイの右腕を見てつぶやく。

「甘く見られたもんスねぇ……これでもクラスBっスよ」

紅い光で造られた剣を突き立て、グレイは軽快な足取りでフットワークを踏む。

次の瞬間、凄まじいスピードで少年の後ろへまで移動した。

「ふぅん。なかなかだね。でも―」



―まだまだ。



「うおっと!」

グレイは少年が腕を一振りしただけで、払い落とされた。

「何っ!?」

「それより……僕はそこの女に興味があるんだ」

少年は顔色一つ変えずに、圧倒的な力を見せつけて言った。

「僕らの仲間にならない?」

「ハァ? 私はね…他人の関係を壊すあんた達がだいっきらいなの!」

時雨は、少年を睨んで言い放った。

「そうか、残念だなぁ。行け……ルーガス」

少年は隣の小さな狼に手から放たれる、黒い光を浴びせる。

見る見るうちに、ルーガスと呼ばれた狼は身体を変化させ、巨大な猛獣に姿を変えた。

「"鎖迅龍槍"(サジンリュウソウ)!!」

時雨の左腕から、青白く輝く鎖が伸びる。

その鎖は一本の槍のように、鋭く形を変えた。

「さぁ、行くよ」時雨が槍を振り回し、ルーガスの腹部を一突きする。

先端の刃を引き抜くと、右足で蹴りを入れ、叩きつける。

「なかなかやるねぇ……さすがSクラスだな」

「へぇ……結構、調べてきてるのね」

時雨は不適に笑みを浮かべながら、浮遊する少年に槍を突き立てる。

「おや?そこの君……まだ、生きてたんだ」

少年は地に伏せるグレイがゆっくり動き出したのを確認し、つぶやく。

「グレイ…!!」


(まぁ、いいや。楽しみは後にとっておこう……)

細い紫色の閃光は鎖のように形どられ、ゆっくりとグレイに絡み付く。



……"紫色闇鎖(シショクアンサ)"……!




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