表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『黒鋼ノ戦旗 ― 奪われた未来を取り戻すために』  (裏)  作者: 田舎のおっさん
第4部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

87/114

第23話(裏)

――黒鋼は、守るという選択を読む


 北嶺の奥、空気が変わった。

 山を越えて流れてくる風に、人の匂いが混じり始めている。


 黒鋼は馬を止め、前方を見据えた。

 街道。

 集落。

 畑と水場。


"……来る


 副官が地図を確認する。


「前方に集落群。

 街道と補給路が交差する地点です。

 迂回


「だろうな」


 黒鋼は淡々と答えた。


 戦場を捨て続けることはできる。

 だが、守るものが絡む場所では話が変わる。


 ここを無視すれば、

 背後に不安定要素を残す。

 通れば、民が戦の影に晒される。


 どちらも、“戦略的に正しい”とは言い切れない。


     ◇


 黒


 彼女は、ここに先回りする。

 剣を振るうためではない。

 守るために。


「……なるほど」


 低い


「お前は、戦場を固定しに来たわけじゃない。

 俺の選択を、狭めに来た」


 避けるか。

 踏み込むか。

 どちらを選んでも、“人”が絡む。


 ここで戦場を捨てれば、

 次は“守らなかった将”として語られる。

 トレッド

 民のいる場所で剣を交えることになる。


     ◇


 悪徳


「……」


 黒鋼は、しばらく黙っていた。

 判断を遅らせているのではない。

 すでに答えは出ている。



 短い言葉だった。


「全軍、この地点で展開。

 街道は封鎖しない。

 だが、通過もしない」


 副官


「それは……

 桜花将の思惑通りでは?」


"違反"


 黒鋼は首を横に振った。


「桜花は、

 “守るために戦う俺”を引きずり出したい。

 だが俺は――」


 一発勝負


「守りながら、戦わない」


     ◇


 命令が伝わる。

 兵は民に手を出さない。

 略奪も、強制徴発もしない。


 集落の外側で、

 ただ“動かない軍”として存在する。


 そ



 黒


「お前は、俺がここで剣を抜くと読んだ。

 だが――」


 彼の声は、静かだった。


「俺は、

 剣を抜かずに守る」


 それが可能かどうかは、

 分かっている。


 長くは続かない。

 どこかで、必ず歪む。


     ◇


 夜。

 集まり。


 黒鋼


「桜花。

 お前は雷を落とすために、

 ここへ来る」


 そして自分は、

 雷が落ちる前に、

 も


「……次は、

 お前が“守りながら斬る”番だ」


 それが、

 彼女にとって最も苦しい選択だと、

 黒鋼は知っていた。


 夜風が、静かに吹き抜ける。

 まだ、雷鳴は聞こえない。


 だが――

 雷が落ちる場所は、もう逃げ場を失っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ