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『黒鋼ノ戦旗 ― 奪われた未来を取り戻すために』  (裏)  作者: 田舎のおっさん
第4部

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第15話(裏) 『境界震動 ― 三者の光、ついに重なる』

――刃向 蓮 視点


白い空間が、脈動していた。


壁という壁が薄く透け、

無数の光線が空間内部へ向かって吸い込まれている。


その中心へ――

蓮は少女の手を引いて歩いていた。


少女の身体は半透明になりつつあり、

光の粒が風のように体から漏れている。


『……蓮くん……

 もう……限界かもしれない……』


蓮は歩みを止めず、

少女の手を握る力だけを強めた。


「限界なんか知らねぇよ。

 お前はもう“檻の中心”じゃない。

 檻から外へ出たんだ。

 だったら――俺が支える。」


少女の目が潤む。


『でも……わたし……

 もともと“ここ”にいた存在だよ……

 外に出る資格なんて……』


「資格なら俺がやる。

 お前を外へ連れていくための資格を。」


蓮は空間の中心へ視線を向けた。


そこには、白い渦があった。


物質でも光でもない。

時間と空間が折り重なって、

“境界の子宮”とでも呼べる場所が蠢いている。


調停官がその前にひざまずくように立ち尽くしていた。


「これが……“本当の境界”……

 人が踏み込んではならない領域……

 蓮……あなたは……」


蓮は調停官を見ない。


ただひたすら、渦の中心へ進む。


その瞬間――

空間が“鳴った”。


白い渦が、青へ変わった。


少女が息を呑む。


『……にいちゃん……!』


蓮の胸が熱くなる。


(朔夜……

 来るのか)


胸の中の光が拍動する。

少女の光と完全に重なり、

その脈動が境界全域へ波紋となって広がる。


渦の色が三色に分かれた。


蒼(朔夜)


白(蓮)


灰(少女)


三つの光が――

同時に“接続”を開始した。


世界意思の声が空間に落ちる。


『――同調率、99%』


『境界、開放準備完了』


『三者の座標が揃う。

 世界は対価を求める。

 誰か一者を深層へ――』


蓮が遮るように言った。


「黙れ。」


白い空間が震えた。


世界意思が揺らぐ。

その揺らぎはまるで“恐れ”のようだった。


蓮が一歩、前へ出る。


「何度言わせる。

 三人で抜けるって決めたんだ。」


世界意思の声が重くなる。


『構造上、不可能――』


「構造を壊すんだよ。」


白い雷のような光が蓮の足元を走った。


調停官が震えながら叫ぶ。


「蓮……!

 あなた……“異位相覚醒”している……!

 人類の枠を越えた……

 世界と対等な存在になりつつある……!」


少女が蓮の袖を握った。


『蓮くんは……怖くないの……?

 世界に逆らうのって……

 存在そのものが消えるかもしれないのに……』


蓮は小さく笑った。


「俺だって怖いさ。

 でもな――」


蓮は手を少女の頬に添えた。


「怖いからって、

 お前と朔夜を深層に落とす未来なんざ、絶対に許せねぇ。」


少女が泣きそうな顔で頷く。


世界意思の声が再び降る。


『――ならば試練は続行される』


『三者が境界中心へ揃う瞬間、

 統合儀式が開始される』


『成功すれば三者は世界の鍵となり、

 失敗すれば――』


蓮が目を細めた。


「誰かが深層に落ちる……だろ?」


世界意思が沈黙する。


蓮が挑むように言い放つ。


「成功させればいいだけだ。」


少女が蓮の手を握り返す。


『蓮くん……行こう……

 にいちゃんが……待ってる……』


蓮は深く息を吸った。


「行くぞ。

 境界の中心で――三人で世界を変える。」


蓮が白い渦へ踏み入れた。


世界意思が震える。


『三者の位相、100%同調!!

 境界開放まで――あと一歩……!』


光が弾けた。


境界が開く。

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