表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『黒鋼ノ戦旗 ― 奪われた未来を取り戻すために』  (裏)  作者: 田舎のおっさん
第4部

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/116

第10話(裏) 『連結 ― 檻は外界へ触れる』

――刃向 蓮 視点


《檻》の奥底で、

黒い渦がゆっくりと回転していた。


第二段階で生まれた“穴の予兆”は、

いまや渦を形成し、

檻の基盤そのものを引き裂いている。


《安定度:12%》

《座標衝突警告:継続》

《外因性波形:増大》


蓮は渦の前で立ち止まる。


「……そろそろだな。」


少女は不安そうに蓮を見上げる。


『……これ……

 もう……“壊れる”んじゃ……』


「壊れていいんだよ。」


蓮は優しく答える。


「壊れなきゃ、

 外とは繋がれない。」


少女は唇を噛む。


『……でも……

 本当に……出られる……?

 この先……何があるかも……』


「関係ねぇよ。」


蓮は少女の手を取った。


「出口が見えなくても、

 “外へ行く意思”があれば道になる。」


少女の光が揺れた。


怖い。

けれど進みたい。


そんな混ざった光。


調停官が慌てて駆けてきた。


「刃向蓮!!

 今すぐ干渉をやめて――!」


蓮は振り向かない。


「やめるつもりなら、最初から壊してない。」


調停官は顔を歪めた。


「あなたは、檻を破壊すれば自由になれると考えている……

 だが違う!!

 檻は“世界修復装置プロトセラ”の破片!」


蓮の眉が動いた。


「プロトセラ……?」


調停官は苦悩の表情のまま説明した。


「古代文明が最後に残した“世界の修復機構”。

 その破片を組み替えて作ったのが、この《檻》……」


「つまり檻は、

 世界のバランスを保つための『残響』そのもの。」


蓮は、一瞬だけ息を呑む。


(なるほど……

 だから外界の揺らぎにこんなに弱い……

 “残響”の上に作られた檻なんて、

 安定してるわけがない)


調停官は続けた。


「檻が壊れれば、

 世界は――」


「――壊れない。」


蓮は静かに言った。


少女が目を見張る。


調停官は怒りに震えた声で叫ぶ。


「根拠は!?

 あなたは一体何を――!」


蓮は答えなかった。


答える必要などなかった。


蓮が感じた感覚。

少女が感じた光。

そして――

檻全体を震わせている“外の戦い”の波形。


(檻が崩れたら、世界が壊れる?)


(――違う。)


(檻が壊れたら“世界の嘘が剥がれる”。

 本来の姿が露になるだけだ)


それが蓮の確信だった。


少女の光が渦を照らし始めた。


『……向こうに……

 だれかが……戦ってる……』


蓮は頷く。


「朔夜だ。」


少女は胸に手を当てる。


『ちがう……

 一人じゃない……

 “場所”も……

 “命”も……

 いろんなものが……

 苦しんでる……』


蓮はふっと笑った。


「それは――

 外界が檻を呼んでる証拠だ。」


「繋がり始めてるんだよ、

 外と檻が。」


少女は驚いて蓮を見た。


蓮は前を向いたまま言う。


「第三段階、行くぞ。」


少女が深呼吸し、蓮と手を繋ぐ。


蓮が渦の中心に手を伸ばす。


その瞬間。


外の戦場の雷鳴が、檻の内部へ直撃した。


調停官が絶叫する。


「嘘……!!

 外界の“直接波形”が檻に届くなんて――!」


少女も蓮の腕を掴んだ。


『……来てる……!

 すごい……!

 こわい……!

 でも……!』


蓮は確信した。


(朔夜の力が、

 ここまで届いてる)


(外で戦っている意思が、

 檻と少女の光を“導いている”)


蓮は渦へ拳を突き出した。


「第三段階――“開通”だ。」


渦が割れた。


白い空間が裂け、

その奥に“別の空”が見える。


風が吹き込む。


土の匂い。

霧の匂い。

外界の匂い――!


少女は涙をこぼした。


『……外……だ……

 外の空気……!』


調停官が膝をつく。


「あり得ない……

 開いた……

 外への通路が……

 実体化……!」


蓮は少女を抱き寄せながら言う。


「まだ完全には繋がってない。

 ここは“境界”。」


「でも――

 第三段階は完了した。」


少女が震える声で言う。


『じゃあ……

 次は……?』


蓮は静かに答えた。


「“脱出”。

 檻の全部を捨てて、外へ出る。」


「次が――

 最終段階だ。」


渦の向こうで、雷が閃いた。


それは、

朔夜の戦場の光そのものだった。


蓮は微かに微笑む。


「待ってろ、朔夜。

 お前の戦い――

 ここまで確かに届いてる。」

読んでくださって、ありがとうごさいます。

こちらは黒鋼連邦から見た“裏の戦場”。

蓮の揺れる正義や、黒鋼の影の動きまで追っていただけて嬉しい限りです。


もし「裏側の真実もおもしろいな」と思ってもらえたら、

ブックマークや評価をポチッとしていただけると助かります。

その一押しが、続きを書く原動力になります。


これからも蓮の選ぶ未来と、黒鋼連邦の闇を

一緒に追いかけてもらえたら嬉しいです。

次の更新でまたお会いしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ