第六話
小包の受けとり拒否を始めてから、もう二週間になる。
はっきりいって、あんな手紙に一瞬でも頼ろうとしたわたしがバカだった。
最悪の思いをした夜の、次の日。
届いた手紙の文面は、とてもあっさりとしたものだった。
『大変なことがあったね。
まあ、それも美紗子ちゃんの糧になるはず。がんばろう』
なにが、がんばろう、だ。
差出人は、わたしが合コンで飲まされるのを予想していたんじゃないか。ほぼ、確実に予想できていたからこそ、次の日に届くタイミングで『大変なことがあった』と書くことができた。つまり差出人は、わたしの未来を予見していた。
だったら、止めてくれたってよかっただろう。
それだけわたしの行動を読めるのなら、電話をかけても、それこそ窓の外で叫んでくれてもよかった。そうだ、叫んでくれたのならわたしは不気味に思って出かけなかったに違いない。どうして、そうしてくれなかったのよ。
呆れた。
この手紙はわたしをからかっている。
すぐに喜び、すぐに泣くわたしを観察して面白がっている。
だったらそんな手紙、二度と受けとるものか。
そうしてスタートした、断固受けとり拒否。
最初のうちは不在通知がどかどかポストに届き、しまいには郵便局から電話がかかってきた。いちいち反応するのに疲れてきたから、三回の着信以降はそれも無視だ。
だけど大学に行って学食で天津飯を食べている時、ピザ屋さんで一つ後輩の女の子と映画トークしている間、そして実家に「きょうもへいおんぶじでした」と電話をしている際にも、溜まっていっている小包のことがどうしても頭の中から消えてくれなかった。
そして、十一月に入ってすぐの土曜日。
ピンポーン、ピンポーン! とやかましい呼び出し音に苛立ってドアスコープから廊下をのぞいたわたしは、あまりの光景にひっくり返りそうになった。
引っ越しの一ページを彷彿とさせるくらいに、大量の小包。郵便屋さんはそれらを廊下にずらりと並べ、ゴホゴホ咳をしていたんだ。




