第四話
夏が過ぎ、秋に入る。
手紙には、わたしのアルバイト(ピザ屋さん)での失敗をなぐさめてくれたり、前向きにしてくれることばかりが書かれてあった。
だけど、とうとう。
「自分への小包、多いですね」
郵便屋さんに声をかけられてしまった。
頭を短く刈って、チーズケーキみたいに目尻の柔らかそうな郵便屋さん。歳は、わたしより少し上、二十代前半というところかな。
そりゃ、郵便屋さんも気になるよね。七月の上旬からおよそ三ヶ月。ほとんど毎日おかしな小包を届けてくれたのだから、気にするなというのは無茶な意見だ。
「そうですね」
わたしがすんなり肯定すると、郵便屋さんは興味ありげにわたしを見た。今日の夜は生まれて初めての合コンに誘われている、というのも、わたしを陽気にさせた原因の一つだったのかもしれない。
「この小包には、わたしに宛てた手紙が入っているんです」
「え、誰からですか?」
「わかりません。でも、わたしを元気づけてくれる手紙ばかりなんですよ」
「それはそれは。日記みたいなものですかね」
郵便屋さんは簡単な会釈をして、階段を下っていった。
踊り場の吹き抜けから、ひとつあゆが潜りこんでくる。
わたしは前髪を押さえてドアを閉め、化粧用の鏡をテーブルに置いた。




