幕間劇~神様のあそび~
作者はその世界の神である。
人が作りし物語には、神の力が介在していることもある。
と、いうか。
そのお話は、神様が書いていた。
名探偵マイア。
神様はずっと退屈していた。
天の国で、子供たちを新たな世界へ送り出すとても大切なお仕事に。
暇つぶしに人の世界で流行っている文筆を取り入れる。
マイアとゲルディーナが出てくる陰謀推理もののお話だ。
書けた時にはうれしくて、神力を使って、ある世界の書店に並べて喜んでいたのだが、そのうちに書いた神様は飽きてしまった。
登場人物も神様の考えでできた者ばかりだったから、結果はずっと変わらない。
思いもよらない動きなんて、絶対しない。
だから。
小説に選ばせた。
この本を大好きだと言ってくれて、誰よりも没頭している人物を。
全員を外の世界から入れてしまうと、それはあんまり面白くない。
故に主人公と好敵手、二人を招くことにした。
そしてとある時、小説の扉が開く。
神様の書いた物語に熱狂的に没頭した二人の少女が天の国へと強制的に導かれ、神の前に現れた。
なんという僥倖であろうか。
これでまた当分楽しく暮らせるだろう。
神らしくないことを考えて、神様はひっそりとほくそ笑んだ。
ついうっかり天の国へ呼んでしまったのだ、と二人に言って、一つだけ願い事を叶えてあの世界へと送り込む。
二人が望んだのは、思いがけず相反するものだった。
ハッピーエンドとバッドエンド。
世界に同時に存在することは可能だが、物語の中の、ごく狭い範囲ではどうだろう。
しかも彼女らが望むのはパーフェクトな勝利だ。
最強の盾と最強の矛。
一体どちらが勝つのだろう。
どちらも勝つはずがない。
だって世界は完璧を嫌うから。
それに、彼女らは神ではないから。
人は、流される。
人は、思いがある。
願い事はかなわないのだと、二人が気づいたら、時を流すつもりだったのに。
「99回目になっちゃったよ」
諦めたくないとマイアが言ったものだから。
ゲルディーナが死んだ魚のような目をするから。
神様は時を巻き戻してあげたのだ。
そこにルールは存在しない。
ひとえに神の気まぐれで、時は戻されていたのである。
乾いた笑いを神様はこぼす。
「気づかないもんかねえ」
自分だけで作った世界には一度で飽きてしまったのに、全く別の意識が加わることで、神様はずっと退屈しなかった。
これだから人間は面白い。
「まあ、でも・・・・」
そろそろ決着がつきそうだよね。




