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悪逆の限りを尽くしたのに、バッドエンドになりません!  作者: るーく


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10/10

終幕 逃亡で逃走

場面は変わって、星々煌めく星月夜。


そう、ゲルディーナと第一王子の結婚式の夜。


寝所に彼女の姿はなかった。




 *




「じょ、うっだんじゃ」


すさまじいスピードで夜を駆ける旅装の淑女が一人。


「ないわ!!」


乗馬は貴族のたしなみ。

純白の馬を走らせて、目立つのも構わずゲルディーナは疾走し続けた。




 *




最高の終わりで、ゲルディーナは再び気づく。


「あら・・・?」


悲劇は私にとって最高のバッドエンド。



でも。



私、今幸せを感じちゃってるわ。



これは勝ちなの?

それとも負け?



マイアたんの勝ちなの?

私の勝ちなの?


思考がぐるぐると頭をめぐる。


だって、悲劇が叶うって最高のハッピーエンドになっちゃうし、ハッピーエンドが悲劇って分かったらバッドエンドになっちゃうし。



どっちなの???



でも。



だ・け・ど。



 *



「どっちにしたって、あの男の妃はイヤよ!!」


というか、取り巻き連中も別にどうでもいい。

同じ国でぐるぐるぐるぐる巻き戻るのはもう御免だ。

巻き戻り人生で彼らとの思い出は、身の毛のよだつ黒歴史と化していた。

当然のごとく、ゲルディーナは逃亡を企てる。


もしかしたら、途中で赤子になっているかもしれないが、やり切るだけやってみようと行動に移った。


深夜を過ぎたが、今回時が巻き戻る気配はない。


(神の手の中からはきっと逃れられないのだろうけど)


暮らすなら別の国がいい。


国境へ最短ルートで馬を進めていると、丘の上に一つの影がたたずんでいた。


月のない夜なのに、遠目からでもよく分かる美しい目には、あふれんばかりに涙を浮かべているのが見える。


「・・・マイア、たん!!」


いつもの上等なドレスではなく、目立たない国の民たちと同じような格好で、震えていた。


(待って・・・たの?)


背中には小さな荷物を背負っている。


「ゲルディーナ・・・」


小さく、名を呼ぶ声が聞こえた。


ゲルディーナは視線鋭く馬を駆り、丘を越えて行く。





後にはさわさわと草のたなびく音と、遠ざかる蹄の音だけが響いていた。




 *




ゲルディーナは迷うことなく手を差し伸べ、

マイアは迷うことなくその手を取った。



後に、隣国のそのまた隣の帝国で、二人の女性の活躍が世界中に轟いたという。


どちらが凄い女性なのか。


どちらも賢く、美しく、善く、悪く。


その様はまるで一対の盾と矛のようであったという。





おしまい。

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