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カ・ル・マ! ~水の中のグラジオラス~  作者: 后 陸
水の中のグラジオラス 三の章
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策束静巡 弐 その3

 中学を卒業して、その日、2人はまた愛花の部屋で手を(つな)いでいた。


 明日から、(はな)(ばな)れになる。


 当初東京へ行く予定だった愛花。

 親の説得もあり神戸に残る事になったが、顕正は、、、和歌山へ行く。


 高野山にある高校で、宗教科を選択。

 学生寮に入る。

 予定ではそこで三年。

 そのまま専修科に進み、二年で僧侶の階級を貰う事を目指す。

 単純に考えると、五年、会えない。

 その間に、愛花がアイドルとして成功すれば会えない時間はもっと、、、。


 2人は、確かめるように手を握り合う。

 最後の、お家デート。

 次に会う時は、2人とも、願った自分に成っているように。




 、、、それが。


 あの夜、、、。




 尊文のスマホの画面に映ってたのは、確かに、愛花。

 他の知らない女性に混じって、裸で(あえ)いでいた。

 見たこと無い愛花が、喘いでいた。

 別人の顔をした愛花が、喘いでいた。

 画面に映った下っ腹の出た男の短い性器が、横たわる女の膣から抜かれると同時に射精する。

 スマホの画面が角度を変えると、()()を愛おしそうに見つめる愛花の姿が映った。

 近付き、舐めに来る愛花。

 もう1人の女と、奪い合って舐め合う。


 それを観て、バカ笑いする尊文(そんぶん)と、2人の兄僧。

 その瞬間、、、。


 ――あ、この3人殺す


 、、、と思った。

 殺す道具があれば、スグに殺す。

 そんな想像をするが、実際は出来ない。

 それでも、何か出来ないのか?


 ――訴える?


 何処に?

 どうやって?

 知識が無さ過ぎる。


 ――弁護士に頼む?


 どの弁護士が良いのか?

 お金も掛かる。

 そうなると、証拠もいる。


 ――証拠?


 あの動画を、弁護士にも観せるのか?

 裁判所で、動画を流すのか?


 ――、、、え?


 裁判所で、(みんな)であの動画を観るのか?


 ――、、、そんなん、、、


 あの愛花が、、、。

 知らない愛花が、、、。


 ――アカン! 将来アイドルになんのに、こんな騒動アカン!!


 やっぱり殺すしかない。

 殺す手段を、、、。


 ――考えろ、、、考えろ、、、


 週末恒例の、この部屋で4人が集まった時にイキナリ暴れ出して殺すのも良いが、それだと多分、1人目を殺したところで反撃に合ってしまうと思う。

 この2人の兄僧は、見るからに腕っぷしは強そうだし、事あるごとにケンカの話しをして、笑う。


 普段の素行(そこう)の悪さも、寮内で噂になっている。

 僧侶にあるまじき人格。


 これだとどちらかを殺せば、残った方に反撃される。

 ましてや最初に尊文を殺すと、2人(がか)りで反撃される。


 これは、困った。

 それでは3人、殺せない。

 愛花を笑ったこの3人は、ちゃんと殺さないとイケナイ。


 画面に映ってる愛花は、本当の愛花じゃない。

 クスリを飲ませた、と言っていた。

 愛花じゃない愛花を観て笑った、この3人は殺す。

 愛花を知らないくせに、愛花を観て笑ったから殺す。


 ――あたりまえや!


 何も知らんクセに、これはクスリの所為(せい)やのに、、、。

 将来、アイドルになんのに、、、。


 ――!! こういうんは、世間に出る前に消しとかんとアカンやつ!


 、、、と、気付く顕正。


 ――って言う事は、尊文の親父も殺さんとアカンな、、、


 行き当たりばったりでは、動けない。

 キッチリ3人を殺して、尊文の親父も殺す。


 ――どうする?


 ラインが来た。

 愛花から。

 開いた画面の文字が、泣いていた、、、。




    あたし、アイドルに相応(ふさわ)しくなくなってもうた。。。

    ケンちゃんごめん。

    約束、わすれてください。

    ごめん。。。




 見た瞬間、とにかくラインを送った。

 なんども何度もラインを送り返した。

 既読にならない。

 それでも送った。

 なんども何度も、、、。


 返事が返って来ないまま、2日後、、、。

 地元で活躍するアイドルが自殺したネットニュースが、スマホに流れた。



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