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karma!! ~水の中のグラジオラス~  作者: 后 陸
水の中のグラジオラス 二の章
21/73

偽風道落 壱 その3

 蛇骨会の沢部と、そんな話しがあった事をユキオンナに伝えた。


 「それって、乗っ取られたな、、、」


 ポツリと言った。

 モコも、同意する。


 「多分な。それ以外、無いやろ」

 視線を再びFFに戻したユキオンナ。


 「今天王寺に()るヤツ、全員殺そっか、、、」

 「?!」


 ギョッとした。


 これだけ驚くのは、マジでヤるかも知れないと思ったから、、、。

 正確に言うと、全員殺そうが反対に殺されようが()()()()()()()()()()()この女(ユキオンナ)は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だと、モコの中で確信めいていたからだ。


 ――道連れにされんのはゴメンや、、、


 サイラーなんかのために、死にたくない。

 この女の私闘に、巻き込まれたくない。


 ――FFなら、、、どう言う?

 「今は、()めといた方が()えんちゃうかな」


 FFを頭に浮かべたら、自然にそんな言葉が口から出ていた。

 そう言ったモコに、思ってもみない答えだと()うような表情でユキオンナが見返してきた。


 「(なん)で~な?」


 普段見せない、ドロドロとした内面のヘドロ状の念が湧き出る。

 加虐性欲者(サディスト)の、獲物を欲する眼、、、。


 ――ビビるな!


 ビビる心理も、“魅惑”の好物、、、。


 「今、天王寺に行くってのんは、ここで苦しんでるFFを置いて行くって事や。それはつまり、FFを見殺しにするって事ちゃうの?」


 正論ぽい言葉を吐きながら、モコは心の中で『死ぬなら一人で死んでくれ』と願う。

 全否定の感情を隠しながらユキオンナを見ると、ポツリと独り言のように話し始めた。


 「あたしなぁ、あの()()()サイラー、、、結構好きやってん。虚勢を張る人間ってなぁ、小っちゃい針でチョンって刺すだけで、ボロボロ崩れるやん。崩れながらまだ何か言い訳()って来るやろ? それがオモロかってんけどな、、、」


 暴力で権力を誇示(こじ)していたサイラーは、ドM。

 それをいち早く気付いたユキオンナは、ドS。

 二人は、たま~~に“秘密の関係”になっていた。


 どうやら口調から、天王寺に行くのは考え直してくれてるみたいだが、話しがこれまたヤバい方向へ行きそうなので、モコは慌てて次の話題を考える。

 考える、、、。


 ――何か無かったっけ?

 思い出す。


 「あ、あぁ~、そんな天王寺より、今は桃谷の方が大変らしいで」

 ツインピンクスの話題を振ってみた。


 「何かあったん?」

 興味を示したユキオンナに、モコは見えない角度でガッツポーズ。


 「サイラーがおかしなったって()う通天閣との戦争で、桃谷のツインピンクスがトバッチリ喰うてどっか()()()らしいで」

 「え?」


 この話題は、ユキオンナにとって、なかなかにビッグトピックだったみたいだ。


 「あの二人が、、、飛んだ? マジで?」

 「マジらしいわ、、、」

 「何で?」

 「いやそれが、飛んだんは事実やけど、何でそうなったんかは解らん。肝心の目撃者が()らへんねん」


 しばし眉を(しか)めて考える。

 ユキオンナは想像する。


 あの二人を相手に、そんな事が出来るEG使いはそうは居ない。

 それは自分も、一度対戦してみて身に染みている。


 特に、()()()をひけらかしている女の方。

 そっちが曲者(くせもの)


 ユキオンナは思い出し、同時に感じた恐怖を脳裏に浮かべてしまう。


 ――()()()が波動を上げて、EG波を畝らせて能力を展開し始めた瞬間に()()()って、、、


 認めたくないが、身震いする。

 京弁天ほどでは無かったが、何か強烈なモノを感じた。


 感じたら身体が反応して、あの時、一目散に逃げた。

 イキッた方の女との戦闘を、放り出して逃げた。


 思い出すだけで、、、

 ――ムカつく!!


 なので正直、どんな能力なのかは解らないが、ユキオンナの感覚が危険と判断した。

 味わった事の無い、EG波の畝り。

 それに、(おび)えた。


 ユキオンナはまだ知らないが、それはツインピンクスぱるるが放つ、インダイレクターの波動。


 これまで能力の力勝負みたいに、ダイレクターとの戦闘ばかりを体験していたユキオンナには、それがとても異質なものとして感じた。


 それくらい、桃谷のツインピンクスは強かったハズ。

 それが、トバッチリ程度で何処(どこ)かに飛ぶなんて思えなかった。


 ()()()()()()()だ。

 ツインピンクスを飛ばすほどの何か、、、。

 考えられるのは、、、


 ――また、デンタイか、、、?

 「状況からみると、やっぱデンタイの仕業かな、、、」


 何気に言ったモコの『デンタイ』って単語が、頭の中で考えていたモノと一致してしまい、ユキオンナの中で『デンタイがツインピンクスを飛ばした』ってのが()()になった。


 ――やっぱり、()()はJK、、、か?

 「やっぱデンタイのJKって、相当強いねんやろな。なんせNGも使えるEG使いやねんから、、、」


 これもまた、勝手な想像に()うよう、モコの口から頭に浮かべてた名前が出たので、二人を()ったのはデンタイのJKに()()となった。


 ちなみに、、、

 モコが言った『なんせNGも使えるEG使いやねんから』は逆で、正しくはEGも使えるNG使い。

 モコの代りに、お詫びして訂正。


 「しゃーから今、桃谷は“空き”状態やねん。なんやったらスグ()れんで」


 モコの顔を見て、ユキオンナが可愛く笑った。


 「()らんわ。いっこンとこでジッとしてンのん、(なん)か合わんわ」


 それを聞いて、モコが鼻から大きく溜息。


 「やっぱそうか。おユキやったら桃谷くらい、簡単に獲れんのになぁ~」

 「前に言うたやん、、、」


 ユキオンナは立ち上がり、テーブルの上にあるペットボトルを取りに行った。

 行って、キャップを開けてそのカワイイ唇に含む。

 飲む水が、少し口から零れた。

 顎に(したた)る。

 拭こうともせずに、モコを見る。


 「あたしは、“浮遊層(ふゆうそう)”やって、、、」


 アイドル級の笑顔から覗くパッチリ二重の瞳から、加虐性欲者の暗い光がモコを見つめていた。



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