焔が肌を焼く
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
生態的に、弱く、脆くなったと実感します。
燃えるだけ燃えて、尽きるのでは無いかと思ってます。
深夜、布団で横たわっていると、体の内側から炎が吹き出した。それは毛穴から吹き出すと、容赦なく肌を焼く。首と背中が特に酷く、涼しい部屋なのに熱くて仕方がない。
あぁ、熱というのは、こんな症状だったか。背中と首が焼かれる症状だったか。
久方振りに体調不良になった。一時間に一度は喉の痛みや熱さで起きる。頻繁にうがいを重ね、幾度となく布団に丸まる。それでも安眠に繋がる様なことは無い。体調不良の時には寝て治せ。なんて言うもんだが、寝れないのだ。それでも一抹の願いを掛けて、瞼を閉ざす。
レジスターのチンっ……とした音が鳴響く。茶と橙に彩られた純喫茶のボックス席で、紅茶を傾けていた。前には一人の青年が無表情にも私の顔を見据えていた。
「人と言うのは、皆首周りに異常に汗を掻くの?」
涼しい部屋の中なのに、私の首と背中の汗は止まらない。拭いても、拭いても滲み出て、延々と首周りを濡らす。けれども額には汗一つ浮かばない。極端な汗の掻き方をしている。
「さぁ。分からない」
医者じゃないんだから。そんなのは体質だろうと、彼の質問を蹴り飛ばす。その間にも、服一枚を濡らす程の汗を掻く。
彼が此方に手を伸ばす。私の濡れた首周りに指を這わせると、黙って自分の指を見据える。何とも神妙な顔は、私の異常性を静かに確認している様だった。
「此処に蝶がいたら、君の首元に群がるだろうね。そして病ごと汗を吸い取ってくれるだろう」
そう、意味深な事を吐いて、彼もカップを傾ける。
「……でも蝶は舞わない。私は遂に見捨てられたのかも知れない」
私が休むのは大抵、出席停止を言い渡された時だ。体に無理を強いて、限界を迎えるの、必ず何かしらの感染症に掛かる。でも今は……そのどれでもない。ただの風邪。ただの微熱。体に鞭を打てば、誰も私を止められない。確固たる理由が、ない。
「強制さえされない病態だから、動く、動かないは私の判断に委ねられる。だから……」
「判断を君に委ねられた事を、見捨てられた。と同義にするものでは無い。
事実として言えるのは、君の体は悲鳴を上げ、休まなくてはならない程に、疲労を抱えたと言うこと。其れは周りが止めなければ、自らの意思で止めなくてはならない事。巡り巡った必然だ」
そう言うと、また私の首周りに指先で触れた。
「酷い汗だ」
其れが最後だった。唐突に目が開くと、やはり首周りと背に大量の汗を掻いていた。体が怠く、思う様に立ち上がれない。
手短に置いてあった体温計で体温を測ると、微熱なんてとんでもない。三十八度を超える熱が出ていた。とりあえず、連絡をする。来いと言われれば這ってでも。其れが私である。
――熱が出たら出席停止ね。
どうやら、私はまだ見捨てられてはいない様だった。
物凄く分かりにくいですが、彼等の最後の会話は巡り合わせについて。
インフルエンザ、コロナ、胃腸炎、ならば人に移ってしまうので、休まなくてはなりません。
でも彼女のは風邪から来る熱です。
確かに移る可能性はありますが、上記のように出席停止になるようなものではありません。
強制力がないんですよ。
今まで、本当に体が辛い時には、そのレベルのものに掛かった。運命が自分を休ませた。
けれども今回はそうじゃない。
だから運命に見捨てられたのかも知れない。
と言ってるんです。
其れに対し、『自分が辛いなら、休んで良い。運命が休ませなくても、体は動かないのだから、それはもう「休んでいい」という事に同義でしょう。
出席停止じゃないからって、『運命に見捨てられた』と定義するのはおかしいでしょう? 』と返してるんです。
タイトルは『熱』という意味です。
悪寒を伴わない、ただ肌を焼く為の熱。
インフルエンザとか、コロナとは違う、強制力のない熱。という意味で、このタイトルです。
体も大分脆くなってきたので、限界を迎えたら、尽きてしまいますね。