プロローグ 最強の女海賊
※ 物語の舞台は異世界ですが、世界観は中世よりも大航海時代(16c~17c)に近いものとします。
※ この世界の地図は現実の世界地図と同じものであるとします
魔法が存在するとある世界。大西洋の大海原を、新大陸で手に入れた金銀財宝を乗せた船が大きな帆を張って進んでいる。船はこの世界で最も強大な力を持つ帝国の商船であり、新大陸からの財宝を本国へ届ける任務を受けている。航海は順調に進んでおり、明日には母国である帝国本土につくことができるという事実を目の前にし、商船の船長は甲板の上で自分を照らす太陽を見上げ、安堵の表情を浮かべている。
「船足を落とせ!!!」
難所に差し掛かり、船長は念の為に乗組員に船足を落とすように指示を出した。この海域での公開に離れてはいたが、危険な海域であることには変わりない。船旅の安全の為に万全を期す。これは最も優先されるべきことであると船長は知っていたのだ。
しかしその時だった。
「船長!後方から船が一隻、物凄い速度でこちらに向かってきます!」
「なんだと???」
船長は船の首尾へと走り、双眼鏡で後方を確認する。その視界に映ったのは黒い旗を掲げて近づいてくる不気味な一隻の船。
「海賊だ…」
船長だけでなく、乗組員全員がその正体を確認し、恐怖の表情を浮かべる。
「皆の物、全速前進だ!海賊船を振り切るのだ!」
この海域で速度を上げるのは危険であることは承知の上だが、海賊につかまるよりはましだと判断し、船長は船の速度を上げるよう命令した。
しかし、
「あ…あれは…」
乗組員の一人が怯えた声を上げ、船首の方を指さす。船長がその指さす方向を見ると、その視線の先には眼帯と偽腕をつけ、黒い帽子とマントを着た一人の少女が立っていた。間違いない…海賊だ。しかしなぜだ、海賊船はまだあんなに遠くに…。
「こんにちは。悪しき帝国の犬ども。天に召される準備はできたかな?」
船長が疑問を抱いたのも束の間、少女の美しい声が甲板に響き渡る。今この世界の海の男でその少女の名を知らないものはいない。金色の髪に、赤い悪魔のような瞳を持つ、隻腕隻眼の女海賊。海の龍と呼ばれ恐れられているその海賊の名はフランシス=ネルソン。7つの海を支配する、世界最強の大海賊だ。
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