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第8話 二人三脚のコピーデッカー

 突然だが、この少女(細井さん)はコピーデッカーである。

 大会上位入賞者のデッキを、丸々コピーして大会に挑む。それがデッキビルドが苦手な、彼女のカードゲームとの付き合い方だった。

 

 しかし、借り物のデッキを回す事は難しく、最初は全く勝てないでいた。

 

 元々まじめで研究熱心だった彼女は、レシピをコピーするだけに留まらず、大会の配信動画でプレイングも学び始めた。


「そうか……これが……」


 月日は流れ、彼女は数々のデッキを使いこなせるようになった。



「3体で攻撃!」

「もらい! 返し、アウルで全除去! 全展開して攻撃!」

「そこガード! 残りはスルー、待った! トリガーで最後を破壊!」


 話を盤面に戻そう。

 ミカと細井さん、2人は実力者同士激しく火花を散らしていた。

 宣言や処理は最適化され、制作者である俺の理解を越えつつあった。


 戦況としては、ミカが微有利と言ったところ。手札を多く残し最小限のダメージでターンを迎える。

 一方の細井さんは攻撃が暴発気味。確かにダメージは稼げているが、リソースの消耗が激しく引き運に頼っているイメージだ。



 突然だが、剣の達人は太刀筋を見ただけで相手の本質を理解できるという。

 悔しいがこの少女(細井さん)は、すでにその領域に足を踏み入れている。


 コピーデッカーとして経験を積み、デッキへの理解を深め続けた彼女はいつしか、デッキの向こうに秘められたビルダーの作為、心って奴が見えるようになった。


 その力のおかげで、ミカの心の傷は癒されて俺達はめでたく夫婦になれた。

 まあそんな話は、今は関係ないか。


 細井さんは一番初めに、ゲーム制作者である俺が何をしたいか考えた。俺がカードにどんな役割を持たせたのか、それを理解したうえで彼女はゲームを動かしている。

 その証拠にリソース不利を覆して、細井さんはミカに王手をかけていた。


「へへへ、追い詰めたで。どうや、これが必殺二人三脚や」

「前にも見たけど流石だね。本当に2人で戦ってるみたいだ」


 そこまで言い終わると、細井さんは最後の攻撃を仕掛けミカはそれをおとなしく受け入れた。その口元は、安らかな笑みを浮かべていた。


「残念だけど、ボクの勝ちだよ!」

「??!!」


 偶然にも、いや何ターンも前に仕込んでいたそのカードがデッキからダメージゾーンに置かれ効果が発動する。

 ミカのライフが回復し、生き残った。


「まだや! まだ次のターンで!」

「やってみなよ」


 ミカは今まで広げてきた手札差を活かして、細井さんの攻撃を捌いていく。


「…………(負けました)」

「ありがとうございました」


細井さんも今引き勝負で喰らいつこうとするが一歩及ばず、王手をかけてから3ターン後に敗北を喫した。


続く

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