第6話 雌雄を決する……
「よし! 初期手札とマーカーの用意が出来たな。じゃあミカ、やりながら教えるから先行で頼むぜ」
「うん。まずはスタートフェイズ、カードを2枚ドローそして手札から1枚を選んで墓地へ。今ボクは先行1ターン目だから2枚引いたけど、次からは3枚引けるんだ」
「先行の方が多分有利やもんなあ、ハンデって事やな」
そこはまだ調整中だな。
実は後攻が有利かもしれないし、ドロー以外で調整するかもしれない。俺的には、俺の先行ドロー! って言いたいから初手ドローを無くしたくはないがな。
「スタートフェイズではドローの他に、カードを縦向きにするのも忘れないでね」
「その辺は基本どおりやな」
「続いてメインフェイズ、手札からユニットを自由に並べられるよ」
「コストとかは?」
「無いよ。……あ、ごめん基本的には無いよが正しいかな」
そう言ってミカは、手札からユニットを召喚した。
筋肉竜 サニー・サンシャイン
野戦闘力:3
攻城戦闘力:3
追加コスト:デッキの上から1枚をマーカーとして取得する。
『(能力名:仮1)』(このカードが場から離れる場合、マーカー1枚を捨てて場に残せる)
『(能力名:無敵(仮))』(このカードは戦闘以外では場を離れない)
このカードの時は停止しない。
「ほら、ここに追加コストってあるでしょ。基本的にはユニットはタダで使えるんだけど、中にはこんな風にコストが発生する事があるんだよ」
「なあおっちゃん、これ何? (仮)とかって」
「お~い、話聞いてたか」
「聞いとる聞いとる、コストがテキストに書かれとんのやろ。んで、この(仮)とか無敵とかの他に「じゃあ次、魔法カードについて」まま待って、な、な!」
テキストのワードチョイスについても今後の課題だな。口にしたくなるぐらいカッコよくて、なおかつ状況がイメージしやすいようなワード。効果名やキーワードは楽しさに直結する大事な部分だから慎重に選ばないと。
仮に戦隊ヒーローの必殺技が、おっ〇いボヨヨンミサイルとかだったら視聴率半減間違いなしだろうからな。
「さて次は魔法カードの使い方、まずはアクションマーカーを横向きにします」
「おお? やっとマーカーの出番か」
やっべ! カードテキストとアクションの両方にマーカーってワードを使っちまってた。早速ワードチョイスがいかに大事か学べちまったな。
「マーカーを使ったら、後はユニットと同じように書かれてるコストがあれば払って効果が発動するよ」
「ほほう、つまり魔法カードはターンに1枚しか使えへんのやな」
「大正解!」
ミカは魔法カードの効果でカードを2枚ドローした。
「メインフェイズが終わったらバトルフェイズ、ここではプレイヤーは基本見てるだけ。ユニットは自分の正面の相手に攻撃、敵ユニットがいればその子と戦いに、誰もいなければ相手ライフを削れるよ」
そこまで説明を受けて、細井さんは一瞬考えこむ。
「なあ、それやと攻撃と防御の為に手札がなくなるまでユニット並べて倒し続けるだけにならへん? ちゃんと決着つくか心配やわ」
「ふふ、そこでさっき使ったアクションの出番、これは魔法のコストなだけでなくユニットに指示を出すのにも使うんだよ。指示を出せば、正面を無視して直接ライフを削りに向かってくれるよ」
そこまで聞くと細井さんは、ピコン♪ と何かに気が付いた。
「つまりこのゲームはターン1回のアクションをどこで使うか、攻撃か防御かそれともドローか、その判断が勝敗のカギを握るわけやな」
「大大正解!!」
俺は時々……いや、割と頻繁にこいつの事を恐ろしく思う。
たったこれだけの会話で、俺がこのゲームに込めた作為ってやつを理解しちまうんだからな。
「ふふん♪ なかなかのガチゲーみたいやな、これ」
「ふふふ、そうだね」
ぞわっと、一瞬にして部屋の温度が上昇する。
空調の故障ではない。
2人の闘争本能がぶつかり合い、激しく火花を散らしているせいだ。
熱い。
思い返せば2人はライバル同士。去年の某TCG全国予選でぶつかって以来、デッドヒートを繰り広げる間柄だった。
その決着を、今この場で付けようとしてんのかこいつらは……
「ルール説明はここまで、仕切り直しと行こうか……」
「あいかわらずのおまじないやな、フェアな戦いのほうが勝率がええなんてなあ」
軽快なシャッフルの音が部屋に響き渡る。
「あああぁぁぁ……決着なら、よその場所で別の方法でやってくれぇぇ」
続く




