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EX stage 7 交渉決裂? 成立?

前回のEX stageはこちらになります


https://ncode.syosetu.com/n3877hu/45/

「しゃおらぁ!! 俺の勝ちだぁああああ!!!」

「負けた……この私が……」

「勝者、五門 六花!」


 リズ様とゴモンのダンジョンバトル。

 両勢力の行く末を占う、このバトルにゴモンは勝利した。


「さてと、最初の約束通り、俺達に従ってもらう。いいな」

「それは……できないかな」

「何!?」


 リズ様とゴモンに割って入ってきた、進行役の男マオウ。

 彼が合図を送ると、ゴモン達は何者かに取り囲まれた。


「リズ様、お怪我はありませんか? ここはお任せください!」


 緑の服を着たエルフの女性。

 構えたレイピアをゴモンへと向けている。

 名は、メヌエット。


「ニャハハ、お兄ちゃんたち動いちゃだめだぞ、キシ」


 赤い服を着た勝気な少女。

 火炎弾を生み出し攻撃の合図を待っている。

 名は、ボレロ。


「まさかリズ様にケンカ吹っ掛ける奴がいるたぁなあ……死んだぜお前ら」


 土色の服を着た中年男性。

 刀を腰に下げ、タバコをふかしている。

 名は、キテキ。


「ウオー、ウオー、ウオー!」


 魚(人間の手足が生えている)。



 エレメンタルナイツ。

 各属性に特化した、人型ダンジョンコア。

 そして、リズを守護するナイト達である。 



「おいおいおい、こりゃどういうことだよ、約束が違ぇぞ」

「どうもこうも、誓約はただの占いだ、そこに拘束力はない。君たちの思想はあまりにも危険だ、世界を揺るがしかねない。よって実力行使もやむなしと判断した」

「ははっ、負けた時を考えて日和ったのが裏目にでたか。こんなことなら、制約で縛っておくんだったぜ……」


 さてどうしたもんかと、考えをめぐらすゴモン。

 その表情に焦りは見られなかった。


「ナイツの皆さん、下がりなさい」


 この状況に待ったをかけたのは、他でもないリズ様だった。


「神竜エクスマキナ、天之御中主神そして大国主……見た目は人でも神は神、あなた方など物の数になど入っていませんよ」

「し、しかし!」

「マオウさんもですよ。数で脅せば引き下がるなどと、神を侮りすぎです」

「いやはや、彼女たちがどうしてもというのでね」


 はははと笑いながら、ナイツたちを下がらせるマオウ。

 しかし状況は大して変わっていない、リズ様1人でゴモン達3人を消し去ることが可能なのだから。


 ――状況を変えるそれは、文字通り飛び込んできた。


「やっほー六花ちゅあ~ん、みんなでオセロやっるって聞いて飛んできたぞ~」


 黒のスーツをきっちり着込み、眼鏡をかけた小柄な男性。

 いかにも仕事ができそうなその男は、緊張した空気と部屋の壁をぶち壊して現れた。

 やあやあと、どもどもと、あいさつをして回りながらゴモン達に合流する。


 彼の名は、三上カズキ。

 神器,少名毘古那(スクナビコナ)をスサノヲより継承した男で、ゴモンの相棒であり右腕である。


「あっれー、オレ来たばっかでよくわかんないけど、オセロ(話し合い)じゃなくてチェス(殺し合い)の真っ最中? そりゃあ困るなぁ」


 事態を見るや、カズキは自身の得物を取り出すと目にもとまらぬ速さで振り回す。

 ナイツたち含めリズ様たちは、一斉に壁にたたきつけられる。


 三上カズキ、ゴモンの相棒であり右腕である。

 そして、戦神スサノオも舌を巻く喧嘩っ早さと腕っぷしを持っている。


「さってと、こっちの威は理解してもらえたよね? じゃあ平和に仲良く、みんなでオセロをしよう」


 カズキがパンパンと手をたたき、話し合いの再開を求める。

 ぐったりと膝をつくナイツたちと、ゆらりと立ち上がるリズ様とマオウ。

 2人はカズキに促されて、卓につく。

 

「これは、我々への宣戦布告ととらえてよろしいかな?」


 まずは、マオウが口を開く。

 その問いにカズキが答える。


「いやいや、むしろ逆でしょう。ぶっちゃけ、敵を全滅させて領土や施設を奪うのが一番楽ちん。それをさせないために武力を誇示して、戦うと損ですよ危険ですよって牽制しあうことで戦争を回避する、どぅーゆーあんだすたーんど?」


 というか、とカズキは続ける。


「まあ現場見てないから予想だけど、先に仕掛けたのはあんたがたでしょ? うちの大将がよそ様にケンカ吹っ掛けるなんてマジあり得ないし、となると今のは正当防衛ってことでしょでしょ」


 ぐうの音も出ない様子のマオウ。

 しかし、引き下がるわけにもいかない。


「あーあー、まあそのなんだ。プロジェクトヴァベルを俺達がこのまま進めたとして、世界はそんな混乱しない、と俺は思います」

「その根拠は?」

「創成の時代、当時でいう西暦2000年ぐらいぃだったかな」


 西暦2xxx年、新時代の始まりの日。

 地球と異世界はぶつかり合い混ざり合い、大いなる混乱が訪れた。 

 竜や精霊、妖怪そして世界の創造主たる神々が姿を現した。


「けど人類は、創造主達を世界から追い出した。偽物だって、俺達の神はこんなのじゃないっつって。ひでえ話だよ、ちゃんとご本人様だってのによ」

「それが根拠になるのかい?」

「なるさ。たとえ俺達が真実の歴史を公表したところで、誰も信じない。結局各々が都合のいい歴史を信じて、俺達が嘘つき呼ばわりされて終わりだろうな」


 ゴモンはマオウたちから目をそらし、側にいるエクスマキナに顔を向ける。


「でもそれじゃあ、兄貴の願いは叶わねえ。だからまず、兄貴には名ばかりの創生竜から本物の創生竜になってもらおうと思います


 そこまで宣言して、プロジェクトヴァベルの資料をもう一度見せる。


「まずはこのプロジェクトヴァべルには、現在大きく分けて3つの勢力が参加しています。まず世界の歴史と民話の収集を目的とした帝の一族。ゲーム開発で会社を大きくしたい、ホビーメーカー侍来堂(サムライドウ)。そして、エクスマキナの濡れ衣を晴らすべく動く俺達。各々が、予算や影響力、人材等を求めて協力関係を築いています」


 さらにさらにと追加資料を吐き出しながら、ゴモンは演説を続ける。


「売り上げが安定してきたら、各国の開拓惑星に生産工場を拡大させ、工場や従業員に対するインフラ整備による生活基盤の安定化、それと同時に図書館の建設と学校教育を推し進めます」

「土木工事を祭事に置き換えてしまおうというわけか……」

「理解が早くて助かります。ちなみに我が国日本では、食の基本となる米や麦、生活に欠かせない水や電気、道路整備や建築まで、全て専門の神々が取り仕切っております」


 専門の神々、とどのつまり公務員をそう呼んでいる。

 日本では古来より、家を1軒建てるために壁の神や屋根の神、その材料となる石や砂利や木の神の力を借りてきた。

 そして現在、帝の一族はその古来の習わしになぞらえて職人達に神としての名前と特権を与え国の基盤を守っているのだ。

 ゴモンの持つ大国主の名も、親分であるスサノオから与えられた役職名である。


「さて、これらの設備投資は全て兄貴の意志に従った結果だ。その兄貴を神または神の使いとでも名乗らせたうえで正しい歴史を教え込んだらいい。どうだ?」

「暴論もいいところだ。だいたい宗教も価値観もバラバラ、種族だって違う、それら全てをまとめ上げようだなんて不可能だ」

「その不可能を可能にするために、今日ここまで足を運んだんでさあ」


 ここまで話して、やっと最初の話題に戻る。

 ゴモンが求めているのは情報。

 異文化人が何を重んじ何に魅かれ何を信じるのか。

 それを学び、互いにとって最善の方法が何なのかを見つけたいのだ。


「リスクは承知しています。人死にが出ないよう、万全を尽くします。俺が死ぬまで、いえ俺が死んでも下の人間に引き継がせます。だからどうか、ご協力お願いします!!!」

「…………採用!」

「ちょ! リズ様!」

「おままごとでやってるわけじゃないのは分かった。共同開発という形で予算と人材はこちらからも用意します」

「ですが!」

「落ち着きなさい。歴史の完全修正なんて100年仕事よ、彼の寿命が尽きた後計画がどうなるか見てからでも遅くはないわ」


 リズ様の鶴の一声により、商談は成立した。

 一触即発、下手を打てば惑星間戦争に発展しかねない状態だったが、何とか無事に仕事を終えることができた。


「でも肝に銘じておきなさい、私はあなたの掲げた利益を信じて力を貸す。けれどそれを踏みにじり、ましてやどさくさ紛れで我々の大地を侵略するつもりならば、私は刺し違えてでもお前達を後ろに控えた帝の一族もろとも消し去る。肝に銘じておきなさい(2回目)」


 リズ様の城を後にして、緊張と疲れから帰りはカズキが乗ってきた船に乗せてもらうことになった。なんでも戦闘に発展した時のために暇な人間を集めて待機していたと、カズキは語った。


「なあゴモン」

「なんすか兄貴」


 改まった様子で、ゴモンの船室を訪ねてきたエクスマキナ。


「こんなこと、まだ続けんのか?」

「こんなこと?」

「なんで赤の他人のために命はれんのかって聞いてんだ、今日なんて下手すりゃ戦争だぞ!」

「そりゃあ、兄貴の願いだからっすよ」

「だから、なんでオレなんかのために!」


 ゴモンは、あーとかうーとか顔を泳がした後答えた。


「俺、兄弟が大勢いるんっすよ、上に兄が5人」

「そりゃ賑やかで楽しそうだ」

「全ッ然ッ! 全員ろくでもない奴らで、家の金かってに使って遊びまわって、それがばれたら今度は会社の金横領するような奴らなんすよ」

「そりゃひでえ……」

「結局それも会社にばれて借金背負って、やばい連中に絡んで行方知れずなんでさあ」


 再び顔が泳ぐゴモン。


「……なんで……そんな感じで、1人ぐらい強くてかっこいい兄貴が欲しかったんすよ俺」

「兄貴が?」

「兄貴の夢をかなえられたら、今度は本当の兄貴に……なってくれるんじゃあないかって……。すんません兄貴! 今の話はやっぱなかったことn「そっかそっかぁ! 兄貴が欲しいってか、そっかそっかぁ、じゃあこれからもよろしく頼むぜ」」

「え、あ、はい! 絶対成功させて見せますんで」


 がははと笑いながら、部屋を後にするエクスマキナを見送るゴモン。

 次の目的地は青の大地、ニューヒーローシティ。



 続く


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