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第5話 新作ゲームを遊んでみよう

「うわぁぁぁん、ひっく、おっちゃああああああああん、おっちゃんおっちゃん、おっちゃ~ん(号泣)」


 土曜の静かな昼下がり、玄関扉を蹴破るように1人の女子中学生が現れた。

 彼女の名は細井さん、俺の年の離れた友人だ。


「いらっしゃい細井さん、お菓子食べる?」

「お、Kちゃんサンキュー! (くるりと向き直り)おっちゃんおっちゃん、おっちゃ~ん(号泣)」

「いやなんで仕切り直すんだよ!」


 遊びにやって来た細井さんを、妻の小鳩が出迎えた。菓子を受け取り泣き止むかと思いきや、俺を見るなり再び泣き始めた。


「んで、なんかあったのか?」

「これ……」

「これは? おお、エースオブワンの検証結果じゃねえか!」


 彼女が手渡してきたノートには、テストプレイの結果が書き込まれていた。手札やライフの数、先攻後攻の勝率までびっしりとだ。


「すげえじゃねえか! ……んで、何で泣いてんだ?」

「それなデータ取り切れてないねん。今日までに完璧に仕上げたろ思うとったのに、まだ半分も終わってないんよ」

「そんな事かよ。あのなあ、カードゲームは引き運やデッキ構築で勝率なんてころころ変わっちまうんだ、それ全部データ取ろうと思ったら一生終わんねえぞ」

「けど……」

「前も言っただろ、ゲームは面白けりゃいいんだよ」


 そう言って俺は、1枚のカードを取り出した。


創世神竜 エクス・マキナ

コスト4 エースカード

攻撃:8

防御:6

手札を1枚捨てるとコスト2として場に出せる。

[デウス・エクス・マキナ]

自分のデッキを10枚破棄する、相手の場のカードを全て除外する。


「これ? この前使ったやつやん」

「俺はな、このカードを初心者救済用カードとして作ったんだ」

「初心者?」

「ああ、盤面をひっくり返す一発逆転のカードとして。そして、例え負けても盤面がひっくり返る爽快感を味わってもらおうと思ってな」


 細井さんは、しばらくエクス・マキナのカードを眺めていた。口元で「デウス・エクス・マキナ、デウス・エクス・マキナ」と何度か唱えながら。


「確かに面白かった……試合中は毎回、こいつをどう使うかで頭使っとった気がする……」


 さてと、俺が細井さんをなだめている間に小鳩の方も準備が整ったみてえだな。

 俺は細井さんをテーブルへと招く。


「え!? これなに……こんなカード前はなかったで!」

「俺の新作カードゲームだ」

「新作! もう新しいの作ったん!!」

「ああ」


 俺はカードゲーマーだからな、どんなに頭の中で強そうなデッキも組んでみたらゴミだったなんてことも、逆に適当デッキがいい線いってたりなんてことは何度も経験済みだ。だから俺はゲームを作ろうと思ったとき『2つだけ』ルールを決めた。

 『思うままにたくさん作る』と『実際に作って遊んでみる』の2つだ。


「勘違いすんなよ、俺達はゲーム作りの素人なんだ、最初からうまく作ろうなんてしなくていい。だからあんまり焦んな、それと泣くな」


 俺は細井さんから預かったノートを、本棚にしまった。


「これを活かすには、俺の方ももうちょいレベルアップしないとだからな、しばらく預からせてもらうぞ」

「かまへんかまへんって、それはおっちゃんのもんやからな」

「……サンキューな」

「あの~、早く始めないボクずっと待ってるんだけど」

「ミカお前ぇ、随分手際がいいと思ったら自分が早く遊びたかったてわけかよ」

「えへへ、ばれた」


 俺は細井さんと俺の嫁(小鳩(通称:ミカ))を席に座らせ、自分は審判として横に立った。


「まずはデッキをシャッフル、初手は4枚だ」

「エースとは違って手札が最初からあるんやな(1,2、3~)」

「そしてフィールド中央にアクションマーカーをセットだ」

「アクション……あ、これか、何に使うんやろ?」

「よくぞ聞いてくれた」


 俺は、ゲームの大まかな概要を説明を始める。


「タイトルはコマンダーVS、

 世にも珍しい自軍ユニットが勝手に行動するカードゲームだ!」

「なんやて!!」


 続く

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